2021年6月6日日曜日

出鼻をくじかれたけど…

リハビリ散歩に出かけようと外に出ると雨…
自転車なのでいったん引き返しました。
車だと少しくらいの雨なら出かけるのですが…
しばらくすると西の空が明るくなってきたので出かけました。

毎日、下を向いてまだ咲いていないかなと探していたのが…
ネジバナ(捩花) ラン科・ネジバナ属
 こぼれダネからもふえる丈夫な日本の野生ラン。
日の当たる草地や芝生などに生え、都心でも見られる。
 
見分けるpointらせん状に咲く花
・紡錘状に肥厚した白い根がある。
・葉は先が尖って広線形で、長さ5~20㎝。
柄がなく基部は短い鞘になって茎を抱く。根生する。
・花は長さ4~6mm、唇弁は白色。
らせん状にねじれた花序に、ハチが蜜を吸いやすいように横向きに咲く。
(『道草の解剖図鑑』金田初代 エクスナレッジ 2021年)
根生する葉の中心から白い短毛がある茎を立ち上げ、その上部に、小さなピンクの花がらせん状に並んでつく。
花は横向きについて、ねじれながら下から咲き上がるのが特徴で、これが名の由来。
花序のねじれ方は右巻き、左巻きがあり、中にはねじれないで真っすぐなものもあるようだ。
まれにシロモジズリと呼ばれる白花を見ることもある。
(『道草の解剖図鑑』金田初代 エクスナレッジ 2021年)
上野千鶴子さんのTwitter(6月5日)に

尾身発言への政権与党の政治家の反応を見ていると、この国の政権が専門家というものをどう見ているかがよくわかる。
尾身さんはせめてもの「専門家の責任」を果たそうとしているのだろう。
原発事故のとき原子力安全委員会(当時)の専門家たちがだれひとり責任を取らなかったことを思い出す。


 仲野徹さんのTwitter(6月5日)に

「わたしたちは政府の追認機関ではない」尾身茂
岩波の『世界』で、河合香織さんの『分水嶺Ⅱ』が連載開始。
いきなりあの「手のひら返し会見」のシーンから始まる。
すごい緊張感。
押谷仁は「勝とうと思うから負けるのです。私たち専門家としてはできるだけ被害の少ない方向に持っていきたい」と。


7月号から新連載が始まるようです。
6月号には著者からメッセージが載っていました。
河合香織
 著者からのメッセージ

分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議

 コロナ対策の「一丁目一番地」でどんなせめぎ合いがあったのか?

 新型コロナに翻弄された2020年でしたが、本書の取材も「想定外」が続きました。
尾身茂氏や脇田隆字氏ら専門会議メンバーへの取材を始めた昨年7月は、第一波が落ち着き、専門家会議も分科会へと移行。
初期対応の検証を記録するつもりでした。
(『世界 2021年6月号』岩波書店)
 ですが、その取材の途中に第二波、第三波、そして二度目の緊急事態宣言となり、専門家たちは休みなくその対応に追われることになりました。
それにもかかわらず、時間を捻出くださったのは、未知のウイルスに手さぐりだった時期に何を考え、どんな行動をとったのかを考えることは、今後の波に備えるために必要だという思いからだったように感じます。
  本書では、「前のめり」で対策にあたった専門家たちや、西村大臣、小池都知事、厚労省の官僚、自治体職員、現場の医師など、多くの方の証言から、その連携とせめぎ合いを立体的に描くよう努めました。
 コロナはまだ終わりではありません。
専門家や政治、行政に任せておく問題ではなく、私たち市民も一緒にあるべき姿を考えられる記録になればと願っています。
(『世界 2021年6月号』岩波書店)
 ひめゆり平和祈念資料館のTwitterに

【ご寄付のお願い】
感染症による影響の長期化で、当館は経営上の危機に直面しています。
昨年度は入館者が前年比86%減となりました。
民間で、入館料収入によって運営してきた当館にとって大変苦しい状況となりました。
どうかご無理のない範囲でご寄付いただけますと幸いです。

昨年度は、この状況が落ち着き、また多くのみなさまをお迎えすることを見据えて、かねてより準備してきた展示リニューアルの作業を進めていました。
今年4月に無事にオープンすることができましたが、感染の終息はまだ見えません。
事態の長期化によって先が見えない状況となりました。

経済的に厳しい状況は私たちだけではありません。
このようななか、ご寄付のお願いをするのは心苦しいことですが、私たちは、資料館という場所を大切に、当館の活動を継続したいと考えています。
どうか、ご無理のない範囲で、ご支援いただけますと幸いです。


公益財団法人 ひめゆり平和祈念財団(ひめゆり平和祈念資料館)
  夢十夜
    第五夜


 こんな夢を見た。
 何でも余程古い事で、神代(かみよ)に近い昔と思はれるが、自分が軍(いくさ)をして運悪く敗北(まけ)た為に、生擒(いけどり)になつて、敵の大将の前に引き据ゑられた。
 其の頃の人はみんな背(せ)が高かつた。
さうして、みんな長い髯(ひげ)を生(は)やしてゐた。
革の帯を締めて、それへ棒の様な剣(つるぎ)を釣るしてゐた。
弓は藤蔓(ふぢづる)の太いのを其の儘用ひた様に見えた。
漆も塗つてなければ磨(みが)きも掛けてない。
極めて素朴(そぼく)なものであつた。
(『漱石全集 第十六巻』夏目漱石 岩波書店 1956年)
  敵の大将は、弓の真中を右の手で握つて、其弓を草の上へ突いて、酒甕(さかがめ)を伏せた様なものゝ上に腰を掛けてゐた。
其顔を見ると、鼻の上で、左右の眉が太く接続(つなが)つてゐる。
其頃髪剃(かみそり)と云ふものは無論なかつた。
 自分は虜(とりこ)だから、腰を掛ける訳には行かない。
草の上に胡坐(あぐら)をかいてゐた。
足には大きな藁沓(わらぐつ)を穿(は)いてゐた。
此の時代の藁沓(わらぐつ)は深いものであつた。
立つと膝頭(ひざがしら)迄来た。
其の端(はし)の所は藁を少し編残して、房の様に下げて、歩くとばらばら動く様にして、飾りとしてゐた。
 大将は篝火(かゞりび)で自分の顔を見て、死ぬか生きるかと聞いた。
是れは其の頃の習慣で、捕虜(とりこ)にはだれでも一応はかう聞いたものである。
生きると答へると降参した意味で、死ぬと云ふと屈服(くつぷく)しないと云ふ事になる。
自分は一言(ひとこと)死ぬと答へた。
大将は草の上に突いてゐた弓を向ふへ抛(な)げて、腰に釣るした棒の様な剣(けん)をするりと抜き掛けた。
それへ風に靡(なび)いた篝火(かゞりび)が横から吹きつけた。
自分は右の手を楓(かへで)の様に開いて、掌(たなごゝろ)を大将の方へ向けて、眼の上へ差し上げた。
待てと云ふ相図である。
大将は太い剣をかちやりと鞘(さや)に収めた。
 其の頃でも恋(こひ)はあつた。
自分は死ぬ前に一目思ふ女に逢ひたいと云つた。
大将は夜が明けて鶏(とり)が鳴く迄なら待つと云つた。
(とり)が鳴く迄に女を此処へ呼ばなければならない。
鶏が鳴いても女が来なければ、自分は逢はずに殺されて仕舞ふ。
 大将は腰を掛けた儘、篝火(かゞりび)を眺めてゐる。
自分は大きな藁沓(わらぐつ)を組み合はした儘、草の上で女を待つてゐる。
夜は段々更ける。
 時々篝火が崩れる音がする。
崩れる度に狼狽(うろた)へた様に焔(ほのほ)が大将になだれかゝる。
真黒な眉の下で、大将の眼がぴかぴかと光つてゐる。
すると誰やら来て、新しい枝を沢山火の中へ抛(な)げ込(こ)んで行く。
しばらくすると、火がぱちぱちと鳴る。
暗闇(くらやみ)を弾(はじ)き返(かへ)す様な勇ましい音であつた。
 此時女は、裏の楢(なら)の木に繋(つな)いである、白い馬を引き出した。
(たてがみ)を三度撫(な)でゝ高い背にひらりと飛び乗つた。
(くら)もない鐙(あぶみ)もない裸馬(はだかうま)であつた。
長く白い足で、太腹(ふとばら)を蹴ると、馬は一散(いつさん)に駆け出した。
誰かゞ篝(かゞ)りを継ぎ足したので、遠くの空が薄明るく見える。
馬は此の明るいものを目掛けて闇の中を飛んで来る。
鼻から火の柱の様な息を二本出して飛んで来る。
それでも女は細い足でしきりなしに馬の腹を蹴つてゐる。
馬は蹄(ひづめ)の音が宙で鳴る程早く飛んで来る。
女の髪は吹流しの様に闇(やみ)の中に尾を曳(ひ)いた。
それでもまだ篝(かゞり)のある所迄来られない。
 すると真闇(まつくら)な道の傍(はた)で、忽(たちま)ちこけこつこうと云ふ鶏(とり)の声がした。
女の身は空様(そらざま)に、両手に握つた手綱(たづな)をうんと控へた。
馬は前足の蹄を堅い岩の上に発矢(はつし)と刻(きざ)み込んだ。
 こけこつこうと鶏(にはとり)がまた一声(ひとこゑ)鳴いた。
 女はあつと云つて、緊(し)めた手綱(たづな)を一度に緩めた。
馬は諸膝(もろひざ)を折る。
乗つた人と共に真向(まとも)へ前へのめつた。
岩の下は深い淵であつた。
 蹄(ひづめ)の跡はいまだに岩の上に残つて居る。
(とり)の鳴く真似をしたものは天探女(あまのじやく)である。
此の蹄の痕(あと)の岩に刻みつけられてゐる間、天探女(あまのじやく)は自分の敵(かたき)である。
(『漱石全集 第十六巻』夏目漱石 岩波書店 1956年)