明日からは、天気が崩れるみたいですね…
午後1時からワクチンの予約受付でしたが、
1回目はかかりつけ医でとれたのだけど2回目が取れなかったのでキャンセルしました。
つぎの機会にチャレンジしますp(^^)q
妹は別の病院ですが、かかりつけ医でワクチン予約がとれました(^_^)v
「近畿で真夏日予想も こまめに水分補給し熱中症に注意」(関西NHK) Eテレ0655の「朝めし前クイズ」
カタツムリの殻のうず巻き、どれが正しい?
①右巻き、②左巻き、③どちらもある答えは「③どちらもある」だそうです。
右巻きが多いそうですが、関東地方や中部地方には左巻きもいるそうですよ。
ちなみに↑のカタツムリは右巻き
「カタツムリの多彩な世界」(東京大学大学院理学部)安田登さんのTwitterに
大坂なおみ選手のうつ。
メンタルの強弱はカテゴリーで違う。
僕のメンタルは豆腐ほどだが、舞台や講演では高野豆腐。
人から何か言われる時は絹越し。大坂なおみ選手をうつになるほどに追い詰めたのは心ないインタビューだろう。
そういう意味でも心配なのは五輪選手。
国民の多くが反対する大会で戦う。
でも、五輪の場合は悪いのは反対する国民ではなく、これだけ国民が反対しているのにごり押しする日本政府や東京都や、そして何よりIOC。
大坂なおみ選手を批判して罰金まで課したフランステニス連盟のモレトン会長が、記者の質問に応じないで、すぐに退席している。
夢十夜第二夜
こんな夢を見た。
和尚(をしやう)の室を退(さ)がつて、廊下伝ひに自分の部屋へ帰ると行燈(あんどう)がぼんやり点(とも)つてゐる。
片膝を座蒲団の上に突いて、燈心を掻き立てたとき、花の様な丁子(ちやうじ)がぱたりと朱塗の台に落ちた。
同時に部屋がぱつと明るくなつた。
(『漱石全集 第十六巻』夏目漱石 岩波書店 1956年)
襖(ふすま)の画(え)は蕪村の筆である。
黒い柳を濃く薄く、遠近(をちこち)とかいて、寒(さ)むさうな漁夫が笠を傾(かたぶ)けて土手の上を通る。
床(とこ)には海中文珠(かいちゆうもんじゆ)の軸(ぢく)が懸(かゝ)つてゐる。
焚き残した線香が暗い方でいまだに臭(にほ)つてゐる。
広い寺だから森閑として、人気(ひとけ)がない。
黒い天井に差す丸行燈(まるあんどん)の丸い影が、仰向く途端に生きてる様に見えた。 立膝(たてひざ)をした儘、左の手で座蒲団を捲(めく)つて、右を差し込んで見ると、思つた所に、ちやんとあつた。
あれば安心だから、蒲団をもとの如く直して、其上にどつかり座つた。
お前は侍(さむらひ)である。
侍(さむらひ)なら悟れぬ筈はなからうと和尚(をしやう)が云つた。
さう何日迄(いつまで)も悟れぬ所を以て見ると、御前は侍ではあるまいと言つた。
人間の屑(くづ)ぢやと言つた。
はゝあ怒つたなと云つて笑つた。
口惜(くや)しければ悟つた証拠を持つて来いと云つてぷいと向(むかふ)をむいた。
怪(け)しからん。 隣の広間の床(とこ)に据ゑてある置時計が次の刻を打つ迄には、屹度(きつと)悟つて見せる。
悟つた上で、今夜又入室(にふしつ)する。
さうして和尚の首と悟りと引替にしてやる。
悟らなければ、和尚の命が取れない。
どうしても悟らなければならない。
自分は侍である。 もし悟らなければ自刃(じじん)する。
侍が辱(はづか)しめられて、生きて居る訳には行かない。
綺麗に死んで仕舞ふ。
かう考へた時、自分の手は又思はず布団の下へ這入つた。
さうして朱鞘(しゆざや)の短刀を引き摺り出した。
ぐつと束(つか)を握つて、赤い鞘(さや)を向(むかふ)へ払つたら、冷たい刃(は)が一度に暗い部屋で光つた。
凄いものが手元から、すうすうと逃げて行く様に思はれる。
さうして、悉(ことごと)く切先(きつさき)へ集まつて、殺気(さつき)を一点に籠めてゐる。
自分は此の鋭い刃(は)が、無念にも針の頭の様に縮められて、九寸五分(くすんごぶ)の先へ来て已(やむ)を得(え)ず尖(とが)つてるのを見て、忽ちぐさりと遣り度くなつた。
身体の血が右の手首の方へ流れて来て、握つてゐる束(つか)がにちやにちやする。
唇が顫へた。 短刀を鞘(さや)へ収めて右脇へ引きつけて置いて、それから全伽(ぜんが)を組んだ。
――趙州(でうしう)曰く無(む)と。無とは何だ。糞坊主めと歯噛(はがみ)をした。
奥歯を強く咬(か)み締(し)めたので、鼻から熱い息が荒く出る。
米噛(こめか)みが釣つて痛い。
眼は普通の倍も大きく開けてやつた。
懸物(かけもの)が見える。
行燈が見える。
畳が見える。
和尚の薬缶頭(やくわんあたま)がありありと見える。
鰐口(わにぐち)を開(あ)いて嘲笑(あざわら)つた声まで聞える。
怪(け)しからん坊主だ。
どうしてもあの薬缶を首にしなくてはならん。
悟つてやる。
無(む)だ、無(む)だと舌の根で念じた。
無(む)だと云ふのに矢つ張り線香の香(にほひ)がした。
何だ線香の癖に。 自分はいきなり拳骨を固めて自分の頭をいやと云ふ程擲(なぐ)つた。
さうして奥歯をぎりぎりと噛んだ。
両腋から汗が出る。
背中が棒の様になつた。
膝の接目(つぎめ)が急に痛くなつた。
膝が折れたつてどうあるものかと思つた。
けれども痛い。苦しい。
無(む)は中々出て来ない。
出て来ると思ふとすぐ痛くなる。
腹が立つ。無念になる。
非常に口惜(くや)しくなる。
涙がほろほろ出る。
一(ひ)と思(おもひ)に身を巨巌(おほいは)の上に打(ぶ)つけて、骨も肉も滅茶々々に砕いて仕舞ひたくなる。 それでも我慢して凝(ぢつ)と坐つてゐた。
堪へがたい程切ないものを胸に盛(い)れて忍んでゐた。
其切ないものが身体中の筋肉を下から持上げて、毛穴から外へ吹き出やう吹き出やうと焦(あせ)るけれども、何処も一面に塞(ふさ)がつて、丸(まる)で出口がない様な残刻極まる状態であつた。
其の内に頭が変になつた。
行燈も蕪村の画(ゑ)も、畳も、違棚(ちがひだな)も有つて無い様な、無くつて有る様に見えた。
と云つても無(む)はちつとも現前(げんぜん)しない。
たゞ好加減(いゝかげん)に坐つてゐた様である。
所へ忽然(こつぜん)隣座敷の時計がチーンと鳴り始めた。
はつと思つた。
右の手をすぐ短刀に掛けた。
時計が二つ目をチーンと打つた。注解
丁子 「丁字頭(がしら)」のこと。燈心の燃えさしの頭に出来た塊が、丁字の果実のような形になっているのを言う。
海中文珠 普通「文珠」は「文殊」と書く。獅子に騎乗した文殊菩薩が侍者を従えて雲に乗り、悠々と海を渡ってくるさまを描いた仏教絵画で、「渡海文殊」とも言う。
入室 禅語。入室独参の意。住持の室に入って公案の答を述べたり、疑問を質(ただ)したりすること。禅書では「にっしつ」と読む。
全伽 普通「伽」は「跏」と書く。結跏趺坐(けっかふざ)のことで、略して結跏とも言う。坐禅の際の坐り方で、足の表裏を組み合わせて安坐すること。半跏に対する称。海中文珠 普通「文珠」は「文殊」と書く。獅子に騎乗した文殊菩薩が侍者を従えて雲に乗り、悠々と海を渡ってくるさまを描いた仏教絵画で、「渡海文殊」とも言う。
入室 禅語。入室独参の意。住持の室に入って公案の答を述べたり、疑問を質(ただ)したりすること。禅書では「にっしつ」と読む。
趙州曰く無と 『無門関』第一則の趙州狗子に「趙州和尚、因みに僧問ふ、狗子に還つて仏性有りや也(ま)た無しや、州云く無」とある。
現前 目の前に現れ出ることを言う禅語。『正法眼蔵』渓声山色に「曠劫未明の事たちまちに現前す」とある。
(『漱石全集 第十六巻』夏目漱石 岩波書店 1956年)