2021年6月11日金曜日

ちょっと曇るだけで…

甘い香りがするので見るとコクチナシの花が咲いていました。
今朝は、ちょっと曇っていたので少し楽でした。
明日から気圧の谷や湿った空気の影響で曇り、朝を中心に雨が降り梅雨空が戻るみたいです。
パークセンターから中央ゲート(山のエリア)までちょっと距離があり、歩き始めの時はいいのですが
山のエリアを歩いた後にパークセンターに戻るのは、
90歳になる父にとってはちょっとしんどいようです。
昨日は、かなり気温が高くなおさらでした。
今日から、山のエリアを出てすぐのところで待ってもらうことにしました。
駐車場が利用できるようになると距離も近くなるし、来園時間も1時間程早くなるのだけど…
 田中均さんのTwitterに

私は自民党政権下で外交官として懸命に働いた。
傲慢な議員も多かったが、「幹」の部分は強くしなやかだった。
充実感があった。
今日は幹から枝葉に至るまで、権力志向と使命感の喪失、良心やモラルの欠如にどっぷり。
「ウソ」と「やってるふり」に満ち満ち、真実が感じられないた人たちに国のかじ取り?
田中均さんはさらに

権力の蜜の甘さから離れらくなったのは自民党だけではない。
本来チェック機能を有すべき公明党、官僚、メディア。
あっという間に日本はG7の劣等生となり、コロナや五輪問題の不手際は政府への信頼を大きく損なった。
ないものねだりをしているわけではない。
危機意識と使命感を持つ指導者がほしいだけ。
江川紹子さんのTwitterに

こういう人がトップの組織は、現場が苦労しそう。
ましてや官庁。
自らの権力や権限を自覚せず、容易にパニックに陥って非理性的非倫理的な指示を飛ばす人が大臣で、デジタル化は大丈夫か…?
 
「徹底的に干す」「脅しておいて」平井大臣、幹部に指示〟(朝日新聞)

平井デジタル相 アプリ開発の経費削減めぐり“不適当”発言」(NHK)
なんかデジタル庁やこども庁など新しい官庁を創設するみたいだけど、
結局、功労賞として大臣のポストを増やしたいだけ。
台湾などのように能力をある人材を登用する気などない。
  夢十夜
    第十夜


 庄太郎が女に攫(さら)はれてから七日目の晩にふらりと帰つて来て、急に熱が出てどつと、床に就いてゐると云つて健(けん)さんが知らせに来た。
 庄太郎は町内一の好男子(かうだんし)で、至極善良な正直者である。
たゞ一つの道楽がある。
パナマ帽子を被(かぶ)つて、夕方になると水菓子屋の店先に腰をかけて、往来(わうらい)の女の顔を眺めてゐる。
さうして頻に感心してゐる。
其の外には是と云ふ程の特色もない。
(『漱石全集 第十六巻』夏目漱石 岩波書店 1956年)
 あまり女が通らない時は、往来を見ないで水菓子を見てゐる。
水菓子には色々ある。
水蜜桃(すゐみつたう)や林檎(りんご)や、枇杷(びは)や、バナゝを綺麗に籠(かご)に盛つて、すぐ見舞物(みやげもの)に持つて行ける様に二列に並(なら)べてある。
庄太郎は此の籠を見ては綺麗だと云つてゐる。
商売をするなら水菓子屋に限ると云つてゐる。
其の癖自分はパナマの帽子を被つてぶらぶら遊んでゐる。
 此の色がいゝと云つて、夏蜜柑抔(など)を品評する事もある。
けれども、曾(かつ)て銭(ぜに)を出して水菓子を買つた事がない。
只では無論食はない。
色許(ばか)り賞(ほ)めて居る。
  ある夕方一人の女が、不意に店先に立つた。
身分のある人と見えて立派な服装をしてゐる。
其の着物の色がひどく庄太郎の気に入った。
其の上庄太郎は大変女の顔に感心して仕舞つた。
そこで大事なパナマの帽子を脱(と)つて丁寧に挨拶をしたら、女は籠詰の一番大きいのを指(さ)して、是を下さいと云ふんで、庄太郎はすぐ其の籠を取つて渡した。
すると女はそれを一寸提(さ)げて見て、大変重い事と云つた。
 庄太郎は元来閑人(ひまじん)の上に、頗る気作(きさく)な男だから、ではお宅迄(まで)持つて参りませうと云つて、女と一所に水菓子屋を出た。
それぎり帰つて来なかつた。
 如何(いか)な庄太郎でも、余(あん)まり呑気(のんき)過ぎる。
只事ぢや無からうと云つて、親類や友達が騒ぎ出して居ると、七日目の晩になつて、ふらりと帰つて来た。
そこで大勢寄つてたかつて、庄さん何処へ行つてゐたんだいと聞くと、庄太郎は電車に乗つて山へ行つたんだと答へた。
  何でも余程長い電車に違ひない。
庄太郎の云ふ所によると、電車を下りるとすぐと原へ出たさうである。
非常に広い原で、何処を見廻しても青い草ばかり生えてゐた。
女と一所に草の上を歩いて行くと、急に絶壁(きりぎし)の天辺(てつぺん)へ出た、其の時女が庄太郎に、此処から飛び込んで御覧なさいと云つた。
底を覗いて見ると、切岸(きりぎし)は見えるが底は見えない。
庄太郎は又パナマの帽子を脱いで再三辞退した。
すると女が、もし思ひ切つて飛び込まなければ、豚(ぶた)に舐(な)められますが好う御座んすかと聞いた。
庄太郎は豚と雲右衛門が大嫌だつた。
けれども命には易(か)へられないと思つて、矢つ張り飛び込むのを見合せてゐた。
所へ豚が一匹鼻を鳴らして来た。
庄太郎は仕方なしに、持つて居た細い檳榔樹(びんらうじゆ)の洋杖(ステツキ)で、豚の鼻頭(はなづら)を打(ぶ)つた。
豚はぐうと云ひながら、ころりと引つ繰り返つて、絶壁(きりぎし)の下へ落ちて行つた。
庄太郎はほつと一(ひ)と息接(いきつ)いでゐると又一匹の豚が大きな鼻を庄太郎に擦(す)り附(つ)けに来た。
庄太郎は已(やむ)を得ず又洋杖(ステツキ)を振り上げた。
豚はぐうと鳴いて又真逆様(まつさかさま)に穴の底へ転げ込んだ。
すると又一匹あらはれた。
此の時庄太郎は不図(ふと)気が附いて、向ふを見ると、遙の青草原を尽きる辺(あたり)から幾万匹か数へ切れぬ豚が、群(むれ)をなして一直線に、此絶壁(きりぎし)の上に立つてゐる庄太郎を見懸(めが)けて鼻を鳴らしてくる。
庄太郎は心(しん)から恐縮した。
けれども仕方がないから、近寄つてくる豚の鼻頭(はなづら)を、一つ一つ丁寧に檳榔樹の洋杖で打(ぶ)つてゐた。
不思議な事に洋杖が鼻へ触(さは)りさへすれば豚はころりと谷の底へ落ちて行く。
覗いて見ると底の見えない絶壁を、逆さになつた豚が行列して落ちて行く。
自分が此の位多くの豚を谷へ落したかと思ふと、庄太郎は我ながら怖(こは)くなつた。
けれども豚は続々くる。
黒雲に足が生えて、青草を踏み分ける様な勢ひで無尽蔵に鼻を鳴らしてくる。
 庄太郎は必死の勇を振(ふる)つて、豚の鼻頭を七日六晩(なのかむばん)叩いた。
けれども、とうとう精根が尽きて、手が蒟蒻(こんにやく)の様に弱つて、仕舞に豚に舐められてしまつた。
さうして絶壁(きりぎし)の上へ倒れた。
  健さんは、庄太郎の話を此処迄して、だから余(あんま)り女を見るのは善くないよと云つた。
自分も尤もだと思つた。
けれども健さんは庄太郎のパナマの帽子が貰ひたいと云つてゐた。
 庄太郎は助かるまい。
パナマは健さんのものだらう。
   明治41、7、25―8、5

 注 解
雲右衛門 明治6年(1873)―大正5年(1916)。本名は岡本峰吉。桃中軒と号した浪曲師。
(『漱石全集 第十六巻』夏目漱石 岩波書店 1956年)
これで『夢十夜』を終わります。
文庫本などで読むことができます。
岩波文庫の「解説(阿部昭)」にこんなことが書かれていました。

(前略)
 漱石ほど小説の中で、何者かに、何事かに追われる人物を書いた作家はいない。
彼等のある者は打ち明けるに忍びない罪を命と引き替えに告白し、ある者はそれを誰に明かすすべもなくひっそりと現世の片隅に生き永らえる。
そして、『夢十夜』や『永日小品』こそは、追われる漱石の心のおののきを時に小説よりも生々しく伝えるものである。
(後略)
(『夢十夜 他二篇』夏目漱石 岩波文庫 1986年)
今朝の父の一枚です(^_^)v
タイサンボクを見ていると顔に見えてくるそうです(^_-)

デジタル格差、戸惑う高齢者 ワクチン予約…支援受けやっと」(朝日新聞)

知事が以下の記事を引用してツイートしているのだけど

吉村知事 ワクチン「埋まらなければ64歳以下も対象に」大規模接種予約に空き〟(デイリ― 6月8日)

知事や支持者は、高齢者の窮状を理解していない。
父のワクチン予約の時、最初は電話予約だけでした。
その時は、まったく通じませんでした。
その後、ネット予約になり予約が取れました。
75歳以上の予約だったのでスマホやパソコンで予約した人は、家族に頼んでしていた人が多いと思います。
一人暮らしの高齢者は、通じない受話器を握って途方にくれているだけなんだろうか。