2022年1月1日土曜日

元日

新年あけましておめでとうございます。 
今年もよろしくお願いします。

青空の朝でした。
夜に雪が降ったようでほんの少し残っていました。
高槻方面(北摂、京都西山)を見ると山が白くなっていたし

元日の天気 日本海側で平年の2~4倍上回る積雪 今後も十分注意」(NHK)
  春

  正月一日よめる

 けさ見れば 山もかすみて ひさかたの 天
(あま)の原(はら)より 春は来にけり

 今朝見ると、山に霞(かすみ)がかかっている。
待ちに待った春が、大空からやって来たのだ。
(『金槐和歌集』源実朝著 樋口芳麻呂校注 新潮社 平成28年)
以前にも書きましたが、『徒然草』を初めて通して読んだのは島内裕子さんの本です。
島内さんの『徒然草』は、

  はじめに
(前略)

「徒然草を読む」ということは、まず原文を繰り返し愛誦することであり、これを差し置いて「徒然草を読む」ことはあり得ない。
本書では、各段ごとに、まず最初に「原文」を配した。
徒然草に限らず、日本の古典文学は、平仮名を多用した写本で伝来してきた。
しかし本書では、漢字と読点を多用し、改行にも配慮して、一目で文意が明確に伝わるように努めた。
(『徒然草』兼好著 島内裕子翻訳 ちくま学芸文庫 2010年)
「原文」に次ぐ「注」は、固有名詞や、漢文の出典の指摘などに絞り、思い切って簡略化した。
これは、「訳」の中に、必要と思われる語彙的な情報を出来る限り溶かし込んだためであり、この「訳」には特に留意した。
本書における「訳」は、序段を始めとして、章段によっては、原文の背後に潜む内実や、精妙なニュアンスの響きを読み取ることを心懸け、原文に直接顕れていなくとも、必要な言葉をかなり補って、十二分に新鮮な光を当てた。
精密に折り畳まれた紙片を丁寧に展(ひろ)げ、あるいは短い章段の周りに大きく広がる余白に目を凝らして、徒然草を読んでゆきたいからである。
徒然草を訳していると、接続詞を十分に補うこと、原文通りの言葉の配置ではなく、多少、前後に動かすとよいこと、簡潔とは言え現代文と比べると一文が長い場合も多いので、適宜、文章を切ってゆくこと、などの必要性を痛感する。
訳にあたっては、わかりやすい現代文にすることに努めるとともに、徒然草自体が持つ気韻を損なわぬように留意した。
 各章段最後の「評」では、「注」や「訳」に盛り込めなかったことを敷衍(ふえん)し、前段からの流れと、次段への繋がりを述べ、次段の原文への橋渡しに努めた。
後世の文学作品や思想書、絵画、外国語訳など、さまざまな分野に見出せる幅広い「徒然草文化圏」にも触れたので、徒然草を窓として、本を読む楽しみを実感していただければ幸いである。
(『徒然草』兼好著 島内裕子翻訳 ちくま学芸文庫 2010年)
本の構成とは違いますが、第十九段の「評」から先に転記します( ..)φ

 評

 一年の季節の推移を、ほぼ毎月にわたって描き出しており、徒然草の中でもよく知られた段である。
勅撰和歌集の四季の部立や、花鳥風月を大らかに華やかに描いた大和絵屏風ような、品格のある優美さである。
その一方で、あわただしい歳末風景や、大晦日と元旦を一続きの切れ目のない、動的な流れとして描く。
早朝の清浄な都大路の風景に、無事に巡ってきた新しい年を言祝(ことほ)ぎ、季節の循環を改めて認識する。
(『徒然草』兼好著 島内裕子翻訳 ちくま学芸文庫 2010年)
『源氏物語』『枕草子』に言及するものの、年末年始の行事などに自分自身の蔵人(くろうど)時代の宮廷体験を滲ませ、さらに東国で体験した魂祭をさりげなく織り込むなど、ここに新しい中世の散文世界が出現したことを、強く印象づける。
徒然草にとどまらず、現代にいたるまで日本の散文史の中でも、最上に属する類い稀な章段である。
私事にわたるが、私は毎年、元旦の午前中にこの段を読み上げて、過ぎし一年のくさぐさと、これから始まる新しい一年に思いを馳せ、清澄な気分に包まれる。
 【第十九段】

 折節(をりふし)の移り変はるこそ、物毎(ものごと)に哀(あは)れなれ。
「物の哀(あは)れは、秋こそ勝(まさ)れ」と人毎(ひとごと)に言ふめれど、それも然(さ)る物にて、今一際(ひときは)、心も浮き立つ物は、春の気色(けしき)にこそあめれ。
鳥の声なども、殊(こと)の外(ほか)に春めきて、長閑(のどか)なる日影に、垣根の草、萌(も)え出(い)づる頃より、やや春深く、霞み渡りて、花も漸(やうや)う気色立(けしきだ)つ程(ほど)こそ有(あ)れ、折(をり)しも、雨・風、打ち続きて、心慌(あわ)たたしく散り過ぎぬ。
青葉に成(な)り行くまで、万(よろづ)にただ、心をのみぞ悩ます。
花橘(はなたちばな)は、名にこそ負(お)へれ、猶(なほ)、梅の匂(にほ)ひにぞ、古(いにしえ)の事も立ち返り、恋しう思ひ出(い)でらるる。
山吹(やまぶき)の清げに、藤(ふぢ)の覚束無(おぼつかな)き様(さま)したる、すべて、思ひ捨て難(がた)き事、多し。
「灌仏(かんぶつ)の頃、祭(まつり)の頃、若葉の、梢(こずゑ)涼しげに茂りゆく程(ほど)こそ、世の哀(あは)れも、人の恋しさも増(ま)され」と、人の仰(おほ)せられしこし、げに、然(さ)る物なれ。
五月(さつき)、菖蒲(あやめ)(ふ)く頃、早苗(さなへ)取る頃、水鶏(くひな)の叩(たた)くなど、心細からぬかは。
六月(みなづき)の頃、あやしき家に、夕顔(ゆふがほ)の白く見えて、蚊遣火(かやりび)ふすぶるも、哀れなり。
六月祓(みなづきばらへ)、また、をかし。
 七夕祭(たなばたまつ)るこそ、艶(なま)めかしけれ、漸(やうや)う夜寒(よさむ)に成(な)る程(ほど)、雁(かり)鳴きて来(く)る頃、萩の下葉(したば)色付く程、早稲田(わさだ)刈り干(ほ)すなど、取り集めたる事は、秋のみぞ多かる。
また、野分(のわき)の朝(あした)こそ、をかしけれ。
言ひ続くれば、皆、『源氏(げんじ)の物語(ものがたり)』・『枕(まくら)の草子(さうし)』などに言古(ことふ)りにたれど、同じ事、また今更(いまさら)に言はじとにもあらず。
(おぼ)しき事言はぬは、腹膨(ふく)るる業(わざ)なれば、筆に任(まか)せつつ、あぢきなき遊(すさ)びにて、かつ、破(や)り捨つるべき物なれば、人の見るべきにもあらず。
 さて、冬枯(ふゆがれ)の気色(けしき)こそ、秋には、をさをさ劣るまじけれ。
(みぎは)の草に紅葉(もみぢ)の散り留(とど)まりて。
霜いと白う置ける朝(あした)、遣水(やりみづ)より煙(けぶり)の立つこそ、をかしけれ。
年の暮れ果(は)てて、人ごとに急ぎ合へる頃ぞ、又無(またな)く、哀(あは)れなる。
(すさ)まじき物にして、見る人もなき月の、寒けく澄(す)める二十日余(はつかあま)りの空こそ、心細き物なれ。
御仏名(おぶつみやう)、荷前(のさき)の使ひ、立つなどぞ、哀(あは)れに、やんごとなき。
公事(くじ)ども繁(しげ)く、春の準備(いそぎ)に取り重(かさ)ねて、催(もよほ)し行(おこな)はるる様(さま)ぞ、いみじきや。
追儺(ついな)より、四方拝(しほうはい)に続くこそ、面白けれ。
晦日(つごもり)の夜(よ)、いたう暗きに、松ども燈(とも)して、夜半(よなか)過ぐるまで、人の、門叩(かどたた)き、走り歩(あり)きて、何事(なにごと)にか有(あ)らん、事々(ことごと)しく罵(ののし)りて、足を空に惑(まど)ふが、暁方(あかつきがた)より、さすがに音無(な)く成(な)りぬるこそ、年の名残(なごり)も心細けれ。
(な)き人の来(く)る夜(よ)とて、魂(たま)祭る業(わざ)は、この頃(ごろ)、都には無(な)きを、東(あづま)の方(かた)には、猶(なほ)、する事にて有(あ)りしこそ、哀(あは)れなりしか。
 かくて、明(あ)けゆく空の気色、昨日(きのふ)に変はりたりと見えねど、引き替(か)へ、珍しき心地(ここち)ぞする。
大路(おほち)の様(さま)、松立て渡して、華やかに嬉しげなるこそ、また、哀(あは)れなれ。
(『徒然草』兼好著 島内裕子翻訳 ちくま学芸文庫 2010年)

「訳」は後日、転記する予定です。
今朝の父の一枚です(^^)v
天気予報では、なんか雪でも降るような予報でしたが、
歩いている間は青空で、一年をいいスタートがきれたと喜んでいました。
今年は「寅年」。
医学が発達していなかった江戸時代に少彦名神社(神農さん)では、

神虎(張子の虎)の由来
文政5年(1822)に大坂でコレラが流行したとき、道修町の薬種仲間が疫病除けの薬として
「虎頭殺鬼雄黄圓(ことうさっきうおうえん)」という丸薬をつくり、
合わせて「神虎」のお守りをつくって神前で祈願した後、施与したことに由来するといわれています。
虎は古来より、邪を祓い鬼を退治するといわれており、
大坂の郷土玩具である張子細工で虎をつくりお守りとしたのです。
2018年10月26日の記事

神農さんのことを教えてくれたのは、母でした。
母が北浜で働いていた時に、会社で「神農祭」にお参りしていることを話してくれました。

6 件のコメント:

  1. あけましておめでとうございます。
    昨年もkazeさんのブログ楽しませていただきました。
    野の草花や鳥の写真に癒やされております。
    今年もよろしくお願いします(*^▽^*)

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    1. Keiさん
      あけましておめでとうございます(^^)/
      こちらこそKeiさんの記事を参考にさせていただいています。
      ちょっとした町歩きの記事、私もコロナが落ち着いたらブラブラしたいなぁと思っています。
      今年もよろしくお願いします٩( 'ω' )و

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    2. Kazeさん

      今年もよろしくお願い致します。
      いつも新しい気づきを教えて下さってありがとうございます。
      健康で平安な一年になりますように。

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    3. becoさん
      今年もよろしくお願いします(^^)/
      隠居の身ですが、なにかできたらなと思っています。
      人の為というよりも自分のために一文字一文字を見ながら転記していますので
      見間違えや誤変換をしてしまっています。
      おかしいなと思ったらぜひ、原本を参照してください。
      becoさんのご家族も健康で平安な一年でありますように!p(^^)q

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  2. 新年おめでとうございます。

    本年もどうぞよろしくお願いいたします。

    >家族四人で三福まいり(中山寺 清荒神 門戸厄神)をしたことがあります。

    三福まいりというのですね。
    中山さん、清荒神さんは、お参りさせていただいたことがあります。
    今度、門戸厄神へお参りさせてもらいたく思いました。

    ※※※
    すみません。
    コメント欄では、色々とお考えいただき有難うございました。

    先日の書き込みの時には、
    ロボット欄までには至りませんでした。
    今回は、うまくいきそうな予感です。(#^^#)

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    1. カイさん
      本年もよろしくお願いいたします。

      何度もコメントを書いていただきながら
      表示できずにすみませんでしたm(__)m

      あの頃は、母も元気で歩いてお参りできたのがいい思い出です。

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