2022年1月30日日曜日

意外と暑かった…

予報では曇りでしたが、
昨日のような天気かなと思ったら、
歩いているとしだいに暑くなってきました(^^;)
父も散歩に行くつもりでしたが、天気がいいので来園者が多いだろうと諦めました。

SNSを見ていると医者がコロナを怖がりすぎていると発言された方があるようです。
番組を見ていないし、著書も読んだことがないので批判はしたくないですが
医療現場、介護現場でウイルスと日々向きあっている方々への発言とは思えない。
名医を紹介した番組を見ていると怖がりだからこそ、
慎重に準備をし、何度もイメージトレーニングをしてから手術に臨まれていた。
登山でも怖がりでないと無謀になり命を落とす。
池田香代子さんのTwitterに

89年前の今日、1933年1月30日、ヒトラーがドイツの首相の座についた

当時のドイツの状況を知るのに参考になると思うのが、

講演「ヒットラーはなぜ熱狂的に支持されたのか」(池内紀 2016年)

・(ドイツ)国民が参加してつくり上げた社会主義であって、国家が一方的に国民を引き回して実現した政体ではないわけです。
常に国民が関与したり、国民が意思表示をする型をおびていたのです


・ナチスはドイツ国民の90パーセント以上の信任を得ていました。
独裁者にとっては夢のような数字ですね。
1933年から39年の戦争が始まるまで、ドイツ国民の大多数はヒトラーを信頼していたのです。
ヒトラーに対する信仰に近いものを持っていたのです。


・国民性の問題もあるのでしょうけれども、日本ほど歴史を尊ばない国は少ないだろうと思います。
杉浦日向子さんの『百日紅』(ちくま文庫)を紹介したいのですが、漫画なので画像を写すことはできない。
解説」を転記しようと思ったのですが、それよりも

ユリイカ2008年10月臨時増刊号 総特集=杉浦日向子』に掲載されている
小山ブリジットさんの「フランスに江戸の夢を!」の方が杉浦日向子さんの漫画の魅力を伝えていると思います。
 フランスに江戸の夢を! 小山ブリジット

 『漫画千年の歴史』

 私の『漫画千年の歴史』(未邦訳、原題: Mille ans de manga.Flammarion,2007.英語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、ポーランド語に翻訳されている)は、7世紀から現在までに至る日本漫画の歴史についての本です。
ここでの「漫画」は、今私たちが一般に漫画と言った時に思い浮かべるような、コマが割られてストーリーの流れがあるもの(=マンガ)だけを指すのではなく、江戸の『北斎漫画』のような絵手本画とか、いわゆる戯画(カリカチュア)といったものもその中に含んでいます。
(『ユリイカ2008年10月臨時増刊号 総特集=杉浦日向子』青土社 2008年)
 こうした広義の枠組みは、私の個人的な意見ではなく、日本の専門家も多く共有する認識で、有名な例としては法隆寺の金堂の落書きなども漫画のリストに加えられていたりします。
もちろん、もっと古い時代からそういうものはあるのでしょうけれど、だいたいそのあたりを出発点として日本の戯画的な文化は生まれて来ました。
その後には絵巻物があったり、江戸時代には錦絵もあって、明治期には外国人の風刺画家が日本で活躍したりもします。
そして、そういったものの制作の中で培われた表現方法というのは、例えばスピード感の表現とか、動きそのものの選出といった点で、今日のいわゆる「マンガ」にも大きく影響を及ぼしている訳です。
 ヨーロッパやアメリカなどでも日本の漫画の歴史について書かれた本はすでに何冊かありますが、それらの全ては、象徴的に言うと、手塚治虫の登場以後の歴史を書くというものなんです。
つまりは「マンガ」の歴史です。
そうした本の著者が必ずしも日本文化の専門家というわけではなかったこともあり、今日のマンガをも含んだよい大きな括りとしての「漫画」については、これまで看過ごされてきたところがありました。
日本では、そうした広義の漫画について、清水勲さんをよい例として、いろいろ興味深い本が出ています。
 私は日本文化とジャポニスムついて研究し、これまでに数冊の本を書いて来ましたが、そうした漫画の歴史の大きな流れについての紹介と同時に、日本の文化についてももっと西洋に紹介出来ればと考えてこの本を書いた訳です。
 「漫画史」のなかの杉浦日向子

 この本の目的には実はもう一つあって、それは、一般のフランス人に漫画に対する認識を更新したいという思いでした。
つまりフランスには世代によって漫画が大好きだという人が大勢いますが、漫画を大嫌いだという人もたくさんいるんですね。
これはそれまでの漫画の紹介のされ方が問題でもあるんですけど、彼らは「漫画=セックス+ヴァイオレンス」だと思っていて、実際には良い漫画がたくさんあるのに、漫画そのものを見たくないという偏見を持っていたりします。
だから漫画の良さをフランスの人々に理解してもらいたいと思い、そのために西洋人が知らない分野を、まだあまり翻訳されていないものを紹介する必要がありました。
だからそれまでフランスに紹介されていなかった教育的な漫画――歴史学習漫画とか、西洋美術や日本美術を漫画で学ぶとかいったものですけど――についても、今回の本では紹介しています。
 そして、そうした私の意図と、先ほどの日本文化紹介というもう一つの目的を考えると、杉浦日向子さんという作家はその両方を一挙に満たす作家として、やはりどうしても入れたい存在ということになる訳です。
杉浦さんは、北斎の絵を作品中に模写のように描いて読者に示すと同時に、『百日紅』(ちくま文庫)では北斎の生涯そのものも作品化して紹介しています。
貴重な資料でありながら作品としても秀逸なものとして、日本の文化を愛してもらいたいと思ったときに杉浦さんの作品は絶対に必要でした。
 例えば日本の漫画史の中で北斎の漫画を紹介するとした場合に、杉浦さんが『北斎漫画』からとって描いものを比較的に並べて示すということも考えられますよね。
それらを一緒に提示することで漫画史の内部における連関の実像を示すことが出来る訳です。
しかも杉浦さんの絵は、仮に北斎を使っていたとしても、それは決して模写ではなくて、杉浦さんらしい絵とでも言うべきものになっています。
そこでは漫画という表現の変化や相や換骨奪胎的な深みを示すことも出来るし、こういうのは絶対に西洋の読者も興味を持つはずなんです。
 『二つ枕』(ちくま文庫)の「初音」のなかの絵などでも本当に江戸時代の雰囲気そのものがはっきり出ていると思うんです。
小物なども本当に事典に出てくるようなものがしっかりと描けています。
それらが画面全体を埋めていて、これはまさに江戸時代の結晶そのものだという気がして、私にはとても面白いのです。
ここにもやはり『北斎漫画』からの影響があります。
床の間の掛け軸にはそれは顕著なんですが、この絵は観音さまが鯉に乗っているもので、出典は北斎の作品にあります。
また、エミール・ガレも彼のガラス作品の中でモティーフとして使っていますね(観音さまは西洋人にはわからないので下の鯉だけですけれど)。
だから、例えば漫画の歴史の中で、『北斎漫画』の影響を示すのに、それらの写真を見せ、同時に杉浦さんの作品を見せて、さらにガレの作品まで提示して見せれば、漫画というジャンルを通して文化の複数国間での影響というものにも気付くことが出来る訳で、これは非常に興味深いことです。
(『ユリイカ2008年10月臨時増刊号 総特集=杉浦日向子』青土社 2008年)

つづく…

杉浦日向子が遺したもの」(江東区深川江戸資料館 令和元年9月16日)