2022年6月30日木曜日

六月晦日

今日も厳しい暑さ…
今まで車を運転するときにサングラスをかけていましたが
公園を歩くときもサングラスをしました。
おかげで目が楽でした。

“目の日焼け”にリスク 紫外線対策は肌だけじゃない!」(NHK 6月29日)
6月30日には夏越祭で「大祓式(茅の輪くぐり)」(八坂神社)などが行なわれています。

巻第五 賀 292
  題知(し)らず  よみ人知らず
(みな)月のなごしの祓(はらへ)する人は千とせの命延(いのちの)ぶといふなり

六月の夏越の祓をする人は、千歳の寿齢に延びるということだ。

〇上句「なごしの祓」。 夏越(なごし)の祓。六月晦日に水辺で行った祓で、心身の汚れを清める年中行事。
夏越の祓をする人は、この歌を唱え、茅輪(ちのわ)をくぐるという(公事根源)。
(『拾遺和歌集』小町谷照彦・倉田実校注 岩波文庫 2021年)
第五章 行事と儀礼にみる和菓子
 水無月


 水無月(みなづき)は旧暦六月の異称ですが、この名前を冠した菓子があります。
外郎(ういろう)などの生地を三角形にして、上に甘く煮た小豆をちりばめたものです。
京都では6月に水無月を食べるのですが、その時期の京都の菓子屋は、それこそ水無月であふれるようです。
 旧暦六月は夏の最後の月、明日は秋の七月という晦日の日に、夏越祓(なごしばらい)という神事が行われます。
当日禊ぎをして、神前に設えられた茅の輪(ちのわ)をくぐりぬけて災いをよけるのです。
水無月の三角形の形は、神事に使われる御幣の先の形からきているとも言われています。
(『図説 和菓子の歴史』青木直己 ちくま学芸文庫 2017年)
 もうひとつ旧暦六月一日の「氷室(ひむろ)の節供」に由来する伝承があります。
古くは朝廷では、冬の間にできた天然氷を、氷室と呼ばれる施設に貯蔵し、夏になると取り出して天皇の供御(くご)にしていました。
その他、夏に貴人の死に際して氷を朝廷から賜るという記録が見られます。
また貴族達の食用にも使われていました。
すでに触れた『枕草子』のかき氷です。
厳重に管理された氷室の氷を食べることができたのはほんの一握りの人々だったのです。
水無月は、この氷の形を象ったとも言われます。
考古学者の森浩一氏は「宮中で氷を賞味したとき、いつのころからか庶民はその形を菓子にして味わったのだとしたら、民衆の意地が伝わってくる」(『食の体験文化史』中央公論社 1995年)と書かれています。
 水無月の由来を語るときに出てくるふたつの話ですが、かつて六月晦日に水無月が食べられたことを考えると、夏越祓の御幣説にうなずきたくなりますが、氷に込められた逸話にも惹かれるものがあります。
ただ、水無月がいつ頃からどのようにして食べられたかなど、不明な点も多々あります。
こうした点を解明することによって、水無月の謎も解けるかも知れません。
 近年、この水無月に関して当時虎屋文庫の浅田ひろみ氏によって、新たな見解が提出されています(機関誌『和菓子』9号 特集「九州」平成14年)。
室町時代以来、六月晦日(夏越し)には、水無月の祝いとして蒸餅が食べられていたのです。
一部を論文から例示します(括弧内は意訳)。

 『天文日記』(証如上人日記)天文十年(1541)六月二十九日条
 為水無月之祝、小麦蒸餅有之(水無月の祝いとして、小麦の蒸餅がる)
 『多門院日記』永禄十一年(1568)六月晦日条
 名越輪祝儀沙汰之、瓦屋にて輪ニ入了、小麦餅城戸禅門ヨリ来了
 (夏越しの祝儀で瓦屋にて茅の輪に入った。小麦餅は城戸禅門からもたらされた)
 『日次紀事』延宝四年(1676序)刊
 六月晦日、甜瓜蒸餅 今夜民間盛甜瓜茄子並索麺蒸餅破子供屋上而撤之、是祓除穢気之義也、人各賞甜瓜賞蒸餅
 (六月晦日の夜、民間では穢れを祓うために、屋根から甜瓜〔真桑瓜〕、茄子、索麵〔素麵か〕、蒸餅撒き、人々は甜瓜や蒸餅を食べる)

 室町時代から江戸時代に入り六月晦日の夏越しに蒸餅が食べられていたことがわかります。
虎屋の古文書(享保十年「御用留帳」)には、「六月卅(三十)日水無月蒸餅覚」として蒸餅が禁裏、仙洞、親王御所などに届けられています。
 江戸時代の水無月はねじり形や円形など様々ですが、明治後京都の菓子屋が六月晦日の行事菓子と六月一日の行事を習合させて、新たな行事菓子として作りあげたものと言います。
 行事菓子も時代によって変化を遂げている。
新たに昔の行事菓子を発掘するのも面白い試みかもしれません。
(『図説 和菓子の歴史』青木直己 ちくま学芸文庫 2017年)
  「大原御幸(おおはらごこう)」つづき

 「私は、清盛の娘として何不自由のない身分に生れ、宮中に入っては、天皇の母として、この世のもので思い通りにならないものは一つもありませんでした。
摂政関白以下の公卿殿上人からも、丁重にもてなされ、清涼紫宸(ししん)の豪華な宮殿をわが家として、歓楽に明け暮れる生活を送っておりました。
それが、寿永の秋の始めでございました。
木曽義仲とか申す者が都へ乱入するとの噂に脅えた一門の人と共に、住みなれた都を後にしたのが不幸の始まりでございます。
浦伝い、島伝いの頼りない海上生活が始まったのです、私は始めて、この目で、哀別離苦(あいべつりく)、怨憎会苦(おんぞうえく)を味わったのでございました。
漸くたどりついた筑前の大宰府では、惟義(これよし)とか申す者に追われて、まったく頼るところのない浪々の身の上になったのです。
(『現代語訳 平家物語(下)』尾崎士郎 岩波現代文庫 2015年)
この年の十月には、清経(きよつね)の中将が、この世に見限りをつけて入水なさった悲しい事件もありました。
この頃は、明けても暮れても船の上、貢物など海の上ではあろうはずもなく、食事もめったにできない日々で、たまに食物が手に入っても、肝心の水がなくてはどうにもならず、それも、水の上に浮かびながら、水を呑(の)めぬ苦しみは又格別で、これぞ、餓鬼道の苦しみかと覚りました。
室山(むろやま)、水島の戦いに勝った頃は、それでもまだ一門の者も気を取り直し、戦の準備にいそしんだものです。
直衣(のうし)束帯を鎧に変えて、日夜、戦に次ぐ戦の日々が始まりました。
しかしそれも一の谷を落されてからは、もう先が見えておりました。
その頃二位殿が申されたことがございます。
 「一門の運命も、尽き果てたと思われます。この戦で、男が生き伸びることは、万が一にも考えられませぬ。でも女は殺さぬ習わし故、そなたは何とか生き長らえて、主上の後世をも弔い、私の後世をもお助け下さい」
 そう仰有(おっしゃ)られた言葉を、夢のまにまに聞いたような気がいたします。
 気がついたときは、二位殿が、先帝をお抱き申して船べりに立ってお出ででした。
あの可愛い小さなお手を合わせて、東を伏し拝み、その後、西に向って拝まれた後、沈まれた様子は、どうにも忘れることができないのでございます。
留まり残された人の嘆き、悲しみの声は、まさに、叫喚、大叫喚、地獄の罪人もこれ程ではないと思われるくらいでございました。
やがて、源氏の武士に捕らわれの身となって明石の浦に着いた時でございました。
不図うつらうつらしたまま夢をみたのです。
昔の内裏よりも、もっと立派な御殿に、先帝を始め、一門の公卿殿上人がずらりとお揃いで、
 「ここは一体何処ですか」
 と二位殿に尋ねると、
 「竜宮城です」
 といわれます。
 「大変、良いところでございますが、ここには苦しみはないのでしょうか」
 とお尋ねすると、
 「いえ、苦しみはあると竜畜経(りゅうちくきょう)にも書かれておりますから、よくよく後世を弔って下さい」
 といわれて、ハッと目が覚めました。
以後、念仏に精を出し、ご菩提を弔う決心をしたのです。
この私の体験したことこそ、まさに六道ではないかと思うのです」
 女院の長い身上話が終ると、法皇はほっと一息つかれたあとで、
 「玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)は、悟りを開く前に六道を見、我が国の日蔵(にちぞう)上人は、蔵王権現(ざおうごんげん)の力で、六道を見たと言いますが、まのあたりに六道をご覧になるなどは、めったにできない事ですよ」
 と、法皇は感じ入ったように眼を輝かされた。
(『現代語訳 平家物語(下)』尾崎士郎 岩波現代文庫 2015年)

つづく…
今朝の父の一枚です(^^)/
雨が降らないので散水が行なわれていました。
各地で水不足が懸念されています。
ダムの貯水率が低下している福岡県東部で梅雨明けの影響を懸念」(福岡NHK 6月29日)

思い出すのは、琵琶湖の浮御堂が…
琵琶湖の渇水(かっすい)」(アクア琵琶)

CHAPTER3 気象 62
 気候を変えつつある地球温暖化


 地球温暖化と聞いても、ふだんの生活のなかではあまりピンとこないかもしれません。
しかし、地球温暖化は、確実に地球の気候を変えつつあるのです。
 現在の地球は、過去1400年でも最も暖かくなっています。
地球温暖化は地球全体で気温や海水温が上がり、氷河や氷床(ひょうしょう)が縮小する現象で、平均的な気温だけでなく極端な高温や豪雨・干ばつの増加など、さまざまな気候の変化を伴っています。
平均気温は100年あたり世界では約0.75℃、日本では約1.2℃の割合で上昇しており、とくに日本では1990年以降は高温の年が多くなっています。
 地球温暖化の原因は、人間活動による二酸化炭素などの温室効果ガスの増加と考えられています。
思い込みで地球温暖化を疑う大人もいるようですが、観測事実から地球温暖化は確実に進んでいます。
二酸化炭素の排出量削減などが取り組まれていますが、これらは私たちひとりひとりに無関係ではなく地球を守るために重要なのです。
(『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎 KADOKAWA 2021年)