2022年6月29日水曜日

木陰で立ち止まると

今朝も厳しい暑さでした(-_-;)
それでも木陰で立ち止まると涼しい風が吹いてきてホッと一息できました。
いつも挨拶する人と、
「雷が鳴ると梅雨が明けたとなるのだけど、雷が鳴らないうちに明けましたね…」と話していました。

午前中から猛暑日 近畿各地で猛烈な暑さ予想 熱中症厳重警戒」(関西NHK)

東近江“信長の焼き打ち乗り越えた”菩提樹に異変 猛暑影響か」(滋賀NHK)
梅雨雷(つゆかみなり)

 梅雨明けのころに鳴る雷。
「梅雨(つゆ)の雷(らい)」とも。
実際には梅雨入りや露の最中などでも鳴ることがあるので、それらも含めた言葉と考えてよい。

 正直に梅雨雷の一つかな 小林一茶
(『雨のことば辞典』倉嶋厚・原田稔編著 講談社学術文庫 2014年)
5章 低気圧・高気圧と前線のしくみ
 偏西風波動の超長波と異常気象


  梅雨は、ジェット気流の蛇行、つまり偏西風波動の大きな変化と関係があることがわかりました。
偏西風波動は図5-11(省略)で見たように大小入り交じっています。
その中でも北半球全体に2~3個という規模でできる波長の長い波動は、超長波とよばれ、季節変化とともにゆっくりパターンを変えています。
大陸と海洋の分布に強く影響を受けているので、季節ごとに生じるパターンはだいたい同じような形です。
しかし、この偏西風のパターンが例年に比べて異なると、異常気象を引き起こすことになります。
低気圧や前線と同じように上空の偏西風と関連した話題なので、この章の最後にふれておくことにしましょう。
(『新しい高校地学の教科書』杵島正洋他 講談社ブルーバックス 2006年)
 図5-32(省略)は、偏西風波動の中でも波長の長い大きな波動に注目し、そのパターンを3つに分類したものです。
(a)東西流型では、ゆるやかに蛇行しており、北に寒気、南に暖気があります。
偏西風の蛇行が(b)南北流型のように強まると、暖気が高緯度にまで入りこんだり、寒気が低緯度にまで入りこんだりすることになります。
 ときには(c)ブロッキング型のように、偏西風波動が強まりすぎた結果、その一部がちぎれて渦になることもあります。
この渦は偏西風の流れから取り残され、流されることがありません。
そのため、消滅するまでの間、同じ場所に居座り続けたり、非常にゆっくりとしか動かなかったりします。
この現象は、波動の東への移動を止めてしまうことから、ブロッキングといいます。
 高気圧性の時計回りの渦の場合、地上に動きの遅い高気圧をつくり、これをブロッキング高気圧といいます。
梅雨のときのオホーツク海高気圧も、上空に偏西風の渦ができて動きにくくなっていますから、ブロッキング高気圧の一種です。
ただし梅雨の時期の場合は毎年のようにできるので、異常気象とはいいません。
 また、寒気の渦は、寒冷渦(かんれいうず)といいます。
寒冷渦ができた地域では、上空に寒気がとどまるため、大気が不安定になり、積乱雲が多数生じて大雨を降らせることがあります。
 さらに、ブロッキング高気圧の西側や寒冷渦の東側では、南からの気流が入り続ける場所ができます。
地上でも南からの暖かく湿った空気が入り続けるため、低気圧や前線がないのに活発に積乱雲ができて、突発的な豪雨をもたらすことがあります。
 では、逆に図の(a)のように、偏西風があまり蛇行しない状態はどうでしょうか。
おだやかに思えますが、やはり例年と形が異なれば、寒くなるべき季節が暖かかったり、その逆であったりということが起こります。
また、蛇行がないということは、低緯度と高緯度の熱の交換が行われにくく、低緯度では高温、高緯度では低温の異常気象となりやすいということでもあります。
通常は、蛇行の大きいパターンと小さいパターンの間を行ったり来たりくり返すことで、標準的な気候になっているのです。
このように、偏西風の動きを知ることは、低気圧の発達の予測に役立つだけでなく、長期の天気を予測することにも役立ちます。
(『新しい高校地学の教科書』杵島正洋他 講談社ブルーバックス 2006年)
  「大原御幸(おおはらごこう)」つづき

 暫く経って、後の山から墨染の衣を着た尼がふたり、降りて来るのが見えた。
途中、岩のけわしいところがあるらしく、暫く降り悩んでいる様子である。
 「あの者たちは?」
 法皇が尋ねると、老尼は涙を押えて、
 「お一方、花籠を肘(ひじ)にかけ、岩のつつじをお持ちの方こそ、女院でいらっしゃいます。もう一方の細いたき木とわらびを持ってお出での方は、覚えてもおいででございましょう、先帝のお乳母(めのと)、重衡(しげひら)卿の奥方で、大納言典侍(すけ)殿でござりまする」
 「それでは、あの尼僧が女院でおいでか」
 法皇も暫し呆然(ぼうぜん)として、余りにも変り果てたお姿を見守るのであった。
(『現代語訳 平家物語(下)』尾崎士郎 岩波現代文庫 2015年)
 一方女院は、突然の法皇の御幸が、余りにも思いがけぬことであったから、どうしてよいやらわけがわからず、立ちすくんでいた。
 「いくら世を捨てた身でも、こんな有様でお目にかかるのは恥ずかしい、消えてしまいたい位じゃ」
 と思いながら、戻ることもできず、といって、ご庵室へも近づけず立往生しているのを、老尼が走り寄って、花籠を受け取るとすぐにいった。
 「何をお迷いなされることがありましょう、世を捨てた者の習として恥ずかしいということはござりませぬ、さあ、早くお降りになってご対面なされませ」
 と、すすめたので女院も、やっと決心されて庵室にお入りになった。
 「仏のお出でばかりをお祈りしている私の前に、余りにも思いがけぬ人の訪れで、見苦しく取り乱してしまいました」
 「いやいや、この世のことはすべて、車輪の廻るようなもので、いかなる快楽も、全く束の間の夢まぼろし、流転極まりないものです。唯、天人の悲しみは、人間にもあったのかと、つくづく思いましたよ。それにしても、便りを呉れるものはあるのですか、何かにつけて昔のことがなつかしいでしょうね」
 「便りといえば、時たま、隆房、信隆の奥方が、言伝てを寄せて呉れるくらいのものでございます。本当にあの人たちの世話になろうとうは、今の今まで思っても見ませんでしたのに」
 といって、涙ぐむのであった。
 「でもこのような身になった悲しみは、言葉に尽くせぬほどでございましたが、考えてみますれば、一門の菩提を弔い、忘れ難い先帝の面影を胸に、朝夕、勤めいそしむことは、何よりのお導きと思うようになりました」
 「人生の儚さは、今更驚くにもあたりませんが、それにしても、今の貴女のご様子をみるとどうにも辛いものです」
 と法皇もまた、涙を拭うのであった。
ややあって女院は、静かな調子で長い物語を始めたのである。
(『現代語訳 平家物語(下)』尾崎士郎 岩波現代文庫 2015年)

つづく…
今朝の父の一枚です(^^)/
父によると、キョウチクトウが庭に植えられている家が火事になったら近づいてはいけないそうです。

化学的な防御

 物理的な防御の他に,化学的な防御をしている植物もあります。
いわゆる毒を持つ植物です。
シカやウシがいるところで、トゲがないのに食べ残されている植物は、毒を含んでいる植物が多いです。
 植物の作る毒には2種類あります。
1つは高い毒性を示すもので、少量で効果があるものです(質的阻害物質<しつてきそがいぶっしつ>)。
多くのアブラナ科植物が持っている「カラシ油配糖体(ゆはいとうたい<いわゆるワサビやカラシの辛さの成分>)」が代表的な例です。
質的阻害物質を持つものは、草本に多く見られます。
特に、キンポウゲ科やケシ科の植物の多くは、有毒植物ということが知られています。
その他に、身近なものでは、スズランやキョウチクトウに「強心性配糖体(きょうしんせいはいとうたい)」という毒が含まれています。
これらを口にしてしまい、中毒になったという例も知られています。
 もう1つは、毒性はほとんどありませんが、大量に摂取させることによって消化作用を著しく妨げて、昆虫などの発育を阻害し、死亡率を高めるものです(量的阻害物質<りょうてきそがいぶっしつ>)。
シブ柿の渋さのもとである「タンニン」が代表的な例です。
…後略…
(『観察する目が変わる 植物学入門』矢野興一 ベレ出版 2012年)