時々風が吹いてくれると立ち止まってホッとしています。
其中庵(ごちゅうあん)即事
なつめたわゝにうれてこゝに住めとばかりに
(『山頭火俳句集』夏石番矢編 岩波文庫 2018年)
とんぼうの薄羽ならしし虚空(こくう)かな 原 石鼎
とんぼ(蜻蛉)の種類はきわめて多いが、
普通に親しまれているのは塩辛とんぼ、また一般にいう赤とんぼであろう。
塩辛とんぼは灰白色で腹に白い粉をつけているように見え、
その雌が麦藁とんぼで黄褐色。
とんぼは晩春から秋おそくまで見られるが、
誹諧では『毛吹草』(正保2年)以来秋の季としている。
この句のとんぼは何とんぼなのか、センサクの要もなさそうである。
塩辛でも赤とんぼでもよい。
ただ大型の鬼やんまでは羽が厚い感じでふさわしくない。
「薄羽ならしし」がこの句の生命、誰でもできそうな平明な表現だが、
気息充実していないと虚空に鳴る羽の音までとらえることはむずかしい。
大正5年の作。
(『日々の俳句』沢木欣一 求龍堂 昭和58年)
今朝はウチワヤンマが見張り台にいました(^。^)
この子は見張り台に上がっているのではありません。
ハクセキレイは尾を上下に動かしますが、
この子は体を上下に動かしながら上がって行きました。
避暑
うつせみのこの世ばかりのあつさだにのがれかねても嘆く比(ころ)かな 香川景樹
○うつせみの―現身の。蟬のぬけがらの意にも解せられるようになった。
「命」「世」などにかかる枕詞。
▽この世のこれくらいの暑ささえ耐えられなくて、不平をこぼすこの頃だなあ。
(『近世和歌集 日本古典文学大系93』
高木市之助・久松潜一校注/岩波書店 昭和41年)
ムカシハナバチの仲間かな?
ますらをの
靫(ゆき)取(と)り負(お)ひて
出(い)でて行(い)けば
別(わか)れを惜(を)しみ
嘆(なげ)きけむ妻(つま)
巻二十・4332 大伴家持
ますらおが
矢を入れる靭を手に取り背負い
旅に出て行くと
さぞ、別れを惜しんで
嘆いたであろう、その妻は
(『NHK 日めくり万葉集 vol.5』中村勝行編 講談社 2009年)
[この歌は長歌に続く反歌で、長歌の題詞には、
防人の別れを悲しむ心をあとから思いやって作った歌とある。
しかし家持の官人としての立場からか、
長歌は防人への鼓舞や期待を含んだものとなった。
それに対して反歌では、彼らの気持ちを素直に代弁している。]
――大伴家持が詠んだ防人の歌です。
[選者 篠田正浩 映画監督]
妻は嘆くだろうと家持は詠みましたが、これは家持の個人的な思いではなく、
兵部少輔の彼が徴集した防人たちの思いを代弁した歌。
家持は彼らの別れの辛さをたくさん目の当たりにしていますから、
防人に対する深い同情と、悲しみがありました。
一方では、
「大君の 辺(へ)にこそ死なめ かへり見はせじ」(巻十八・4094)
という美辞を連ねて、天皇の称賛に応えた家持が、
防人の先頭に立って自分も行けば、妻を悲しませるだけだという、
素直な気持ちも詠んでいます。
(『NHK 日めくり万葉集 vol.5』中村勝行編 講談社 2009年)
――防人の監督にあたっていた家持は、防人が詠んだ歌を数多く万葉集に収めました。
その中の一首です。
防人(さきもり)に 行(ゆ)くは誰(た)が背(せ)と 問(と)ふ人(ひと)を
見(み)るがともしさ 物思(ものも)ひもせず (巻二十・4425)
[篠田]
防人として旅立つ夫を向かい合って別れを惜しんでいるときに、
「誰が選ばれたの?」という屈託のない声を聞いてパッと振り返る。
妻はこのとき、感情がフリーズしてしまったんでしょう。
この歌には夫を見送る妻の、普遍的な悲しみがあります。
(『NHK 日めくり万葉集 vol.5』中村勝行編 講談社 2009年)
――こうした防人の歌を選び、自らも防人の立場に立って歌を詠んだ家持。
篠田さんは、その素直な気持ちのありように注目します。
[篠田]
家持の叔母である坂上郎女(いらつめ)の影響でしょうね。
両親に先立たれ、孤児になった家持は、
郎女に養育されながら、芸術的な指導も受けたと思う。
男だけでなく、女にも立派な世界がある。
それを歌で表現したのが、万葉集の非常に大きな特性と思います。
さらに言えば、まだ仏教や儒教の道徳律が邪魔をせず、
自分のなかにある情動を素直に言葉に置き換えることができた。
そんな伸びやかな精神が、こういう歌を詠ませたんでしょう。
(『NHK 日めくり万葉集 vol.5』中村勝行編 講談社 2009年)
○ ○ ○ ○ ○
万灯供養に参列して祖父、祖母、母、義弟の供養をしました。
今日は、妹と姪の三人でお参りしました。
父は、ロウソクの煙が喉に影響するので家で手を合わせていました。
夕食は、三人で姪に店を紹介してもらいました(^。^)
「洋麺屋五右衛門」でハーフ&ハーフを頼んだのですが
半分のお皿で十分なくらい(°0°)
病気をする前だったら苦労せずに食べることができたと思うけど…
と言いながら美味しかったので完食しました(^_^)v