2018年6月23日土曜日

慰霊の日

天気予報ではしだいに雨が降るとのこと
公園に着くとパラパラと降ってきたのですが
途中で傘を閉じて歩けました。

ほのかにも散つてをるなり合歓の花  虚子
(『俳諧歳時記(夏の部)』山本三生編 改造社 昭和8年)
本土にはない慰霊の日 街路樹に琉球朝顔巻きついて咲く
(『歌集 空を鳴らして』山本夏子 現代短歌社 2017年)
秋をまたで枯れゆく島の青草は皇国(みくに)の春に蘇(よみが)へらなむ  牛島 満

牛島満(うしじまみつる)
明治20~昭和20 鹿児島県生。
陸士20期。戦死後大将。沖縄戦の総指揮官。
予科士官学校長、陸士校長等を経て、
昭和19年沖縄第32軍司令官になり20年6月23日自決。
(『昭和萬葉集 巻六 太平洋戦争の記録 
   16年12月8日~20年8月14日』講談社 昭和54年)
(くも)の網かけて夜(よ)に入る木槿(むくげ)かな  和田希因(きいん)

夕暮れ、白い木槿の花に蜘蛛(くも)が一心に網をかける作業をしていたかと思うと、
やがてきれいにでき上がった網のまんなかで蜘蛛は獲物がかかるのを待ちうけていたが、
何もかからないまま、あたりは暗くなって、いつか蜘蛛の網は見えなくなり、
木槿の花は網をかけられたまましぼんでしまった、の意。
夕暮れの明暗の微妙な移行がうかがわれる。
季語は「木槿」で秋。

木槿 落葉低木で、生垣によく使われる。
紫色や白色の、かなり大きな美しい花を咲かせる。
ここでは蜘蛛の網が浮きたって見える白い花であろう。
花は朝開いて夜にはしぼんでしまう一日限りのものであるから、
この句には、そうと知らずに網をかけた蜘蛛に対するあわれさも含まれている。
(『近世俳句俳文集 日本古典文学全集42』
       栗山理一他校注・訳 小学館 昭和47年)
どうも強風で飛ばされたようで、空中にフワフワ浮いていました。
アズチグモは網をはりませんが、命綱のように糸を出して安全を確保しますp(^-^)q
マツヨイグサ(アカバナ科)かな?
  一花は咲きて散りたり一花はたわむ梢枝(こずえ)に白きくちなし  松村英一

 作者は東京都生まれの歌人。
クチナシは高さ2、3メートルになるアカネ科の常緑低木で、
初夏、白色の大花が枝先に一個咲く。
合弁花で長い筒の先が、五ないし七片に深く裂けて広く開く。
東洋のにおい濃い花で、中国では茉莉花(モーリーホワ=ジャスミン)の
入った香片(シャンピェン)茶のようにして、茶に入れる。
クチナシの名前の由来は、秋に実る紅黄色の果実に
口がないので名づけられた、というのが定説のようである。
(『あめつちの詩』草川 俊 日本経済評論社 昭和58年)
リュウキュウウツギ(トウフジウツギ)
傲慢(がうまん)なる河瀬の音よ、呼吸(いき)はげしき灯(ひ)のまへのわれよ、血のごとき薔薇よ
(『若山牧水歌集』若山喜志子選者 岩波文庫 1936年)
飢ゑ飢ゑて蘇鉄むさぼる島人の中毒(あた)り倒れつなほ食ふらしも  須田伊波穂(いわお)
(『昭和萬葉集 巻二 軍靴の響き―満州事変 6年~8年』講談社 昭和55年)
21日はアカンサスが起きあがっているのを見ましたが
今朝は、ネジバナ(ラン科)が起きあがっていましたp(^-^)q
ネジバナは芝生などに生える雑草だが、
ピンク色の花がかわいらしいので刈られずに残されている光景によく出会う。
美しいこともサバイバル戦のの武器になるのだ。
花は美しいはずで、ネジバナは小さな雑草ながらランの仲間なのである。
ランの仲間はどれも美しく複雑な花の形をしているが、ネジバナも負けてはいない。
白いレースのような花びらが下に一枚つき出ていて、
それにかぶさるようにピンク色の花びらがかぶとのように重なっている。
小さな花ながら、虫眼鏡でのぞくとなかなか美しい。
 この上側の花びらに雄しべと雌しべが重なっている。
雄しべの先端には接着剤のついた花粉の塊が用意されている。
この花粉の大きな塊を虫につけてしまうのである。
虫が別の花を訪れたとき、雌しべの先はさらに粘る鳥もちのようになっていて、
接着剤で虫についた花粉の塊をちぎりとってしまう。
小さな花粉をやりとりせず、お徳用パックで売買するように一度に受粉をすませてしまうのだ。
ネジバナは種子の数がものすごく多く、一つの小さな花が数十万個もの種子を作る。
ばらばらの花粉で受粉していてはとても大変なので、まとめて受粉してしまうのである。
 それだけたくさんの種子を作るので、
一粒当たりの種子のサイズはとてつもなく小さい。
微細な種子はあたかもほこりのように風に舞って散布されていく。
(『身近な雑草の愉快な生きかた』稲垣栄洋、 三上 修 ちくま文庫 2011年)
コヒルガオ(ヒルガオ科

昼顔(ひるがほ)の道に萎(な)えつつあるを見てわが下(くだ)る方(かた)に時計鳴る音
(『宮柊二歌集』宮 英子 、高野公彦 編 岩波文庫 1992年)
キョウチクトウの花言葉は「注意 危険」だそうです。
有毒植物で、これまでにも中毒をおこしたりする事故が起きています。
20年ほど前に研修で沖縄を訪れたときに佐喜眞美術館を訪ね普天間基地を見ましたし、
米軍基地に夾竹桃が植えられているのを見ました。
(高校の時に帰郷したと時は、嘉手納基地からベトナムに向かってB52爆撃機が飛び立つのを見ました)
なが雨や泰山木は花堕(お)ちず  杉田久女
(『講談社版 カラー図説日本大歳時記[座右版]』 昭和58年)
セイヨウボダイジュの実が一休みしていました(^。^)
● ● ● ●

 まるで鳥人間コンテストのように他種多彩な風散布種子の中でも
ボダイジュとその仲間が開発した飛行装置はじつにユニークかつ優秀です。
大きな翼を頭上に広げ、数名の乗組員クルーを一度に輸送する大型飛行船を作ったのです。
枝を離れた飛行船は、低速で回りながら風に乗って飛びます。
 まるで葉の中心から枝が伸びているかのようですが、
このへら状の葉は総苞(そうほう)
つまり花序(かじょ)のお伴をする特殊化した葉で、
その途中まで花序の枝が癒着しているというわけです。
多数咲く花の中から、1~3個の花が実になり、
その頃には硬くて乾いてやや弓なりに反った総苞の翼に、
束になって丸顔の乗組員たちがぶら下がります。
(『実とタネキャラクター図鑑』多田多恵子 誠文堂新光社 2017年)
風で揺れるビョウヤナギで花粉を集めに苦労していたのは
コハナバチの仲間かな?