朝、戸を開けるとヒンヤリしました。
台風11号は、昨日の進路予想とかなり変っている…
なんか迷走台風になるのかな?
「台風11号 夕方から夜にかけ小笠原諸島接近へ 暴風など警戒」(NHK)立秋の句ですが、涼しい風を感じたので…
蕪村句集 秋
貧乏に追(おひ)つかれけりけさの秋
夏中(じゅう)画業に励んだが、思うようにはかどらぬ。
この分では貧乏神に追いつかれたらしい。
暑熱も去って爽(さわ)やかな今朝、疲労と倦怠(けんたい)を覚えることだ。
諺(ことわざ)「稼(かせ)ぐに追付く貧乏なし」(『毛吹草(けふきぐさ)』よりも「稼ぐに追付く貧乏神」(『日本新永代蔵(えいたいぐら)』)による。
「追付かれたり」(句稿・耳たむし)→「追いつかれけれ」(句帳)→「追いつかれけり」(句集)と、中七の句形に晩年まで苦心したことからも、実感をこめた境涯句のようだ。
(『與謝蕪村集 新潮日本古典集成』清水孝之校注 新潮社 昭和54年)
飛入(とびいり)の力者あやしき角力哉 句帳(落日庵 句集)
[訳]飛び入りの力士、角力が一変したよ。
[季]「角力」秋。
[語]力者―力士。相撲取り。
あやしき―不思議な。破笠「刀さげてあやしき霜の地蔵哉」(続虚栗)。
[解]中七「あやしき」は、力者と角力の両方にかかる。飛び入りの人間業を超えた大力の力士によって、角力全体の雰囲気が変わる。その不思議な力に感嘆。
[参](省略)
(『蕪村句集 現代語訳付き』玉城 司訳注 角川ソフィア文庫 2011年)『今昔物語集』より現代語訳を転記します( ..)φ
仏教にかかわる話では女性蔑視と思われるような話があるのですが
世俗、民衆の話には…
第一部 世俗
人質の女房が力を見せる話
今は昔のこと、甲斐(かい)の国に、大井の光遠という左(ひだり)の相撲人(すまいびと)があった。
背は低いがりっぱな肉付きで、力も強ければ足も早く、じょうずな相撲(すもう)を取った。
その妹に、年は二十七八ばかり、物腰のしとやかな、器量のよい女がいた。
その妹は離れのほうに住んでいた。
(『今昔物語 日本の古典』福永武彦訳 ちくま文庫 1991年) ある時、人に追われて逃げ出した男が、抜身(ぬきみ)を下げたまま、この妹の住む離れに走り込んだ。
妹を人質に取り、刀を差し当てて抱きしめている。
家の者はこれを見てびっくり仰天し、光遠のいる家に走って行って、
「姫君が人質に取られておいでです」
と注進(ちゅうしん)したが、光遠は平気な顔で、
「あの女房を人質に取れるのは、むかし薩摩(さつま)にその名も高かった、相撲人の氏長(うじなが)ぐらいの者であろう」
と言っている。 注進に行った男は合点がいかず、走って離れのほうに戻ると、不審にたえないから隙間(すきま)から中をのぞいて見た。
九月ごろのことで、女房は薄綿の衣(きぬ)を一枚着たばかりで、片手では口もとを隠し、もう片手で、男が抜身を差し当てているその腕を、そっと押えている様子である。
男は大きなぎらぎらする刀を逆手(さかて)に持って、女房の腹のあたりに突き立てるばかりにし、両足でうしろからぐいと抱きしめている。 その姫君の様子をよくよく見ると、右手はなおも男の刀を持つ手をそっと押えているようだが、今まで顔を隠して泣いていたその左手を延ばして、前に置いてある矢柄(やがら<矢の幹>)を玩具(おもちゃ)にしている。
まだ仕立ててない矢柄が二三十本ばかり散らかっていたのを、手の先でいじくりながら、節(ふし)のあたりを指で板敷に押しつけると、枯枝などのもろいのが砕けるように、みしみしいって砕けてしまう。
のぞき見している男があきれかえると、人質に取った盗賊も、ぎょっとなってそれを見ている様子。 のぞき見しながら、その男が思うには、これでは兄君が少しも心配なさらなかったのも、無理はない。
あの力持ちの兄君が、鉄の鎚(つち)ででも打ちたたかない限り、この竹は砕けるはずもない。
それをまあ姫君があれほどやすやすとなさるとは、どれくらいのお力がおありだろう。
人質に取った男のほうが、今にひねり潰(つぶ)されるにきまっている、と思って見つめていると、盗賊のほうでも、こんな人質を取ったところで始まらぬ、と気がついた。
たとえ刀で突いても、おめおめ突かれるような女房ではない。
こっちの腕がひしゃげるくらいが落ちだ、いやあんなふうにやられては、手足も胴体もばらばらにされてしまうだろう。
これは逃げるが勝ちだ、と思案して、女房を放り出して、人目をうかがい飛ぶように走り出したが、追手が何人もあとから追いかけ、とうとう捩(ね)じ伏せて縛り上げ、光遠のもとに連れて行った。 そこで光遠がその男に、
「せっかく人質を取ったのに、なんでまた捨てて逃げ出したのだ?」
ときくと、
「いたしかたがありません。なにしろ普通の女だとたかをくくって刀を突きつけておりましたが、大きな矢柄の節のあたりを、枯木のように押し潰しておいでですから、あきれかえって、この分ではこっちの腕でもへし折られそうだと怖(こわ)くなり、早々に逃げ出しました」 光遠はそれを聞いてあざ笑い、
「その女房を刀で突くことなんかできるものか。突こうとする腕を逆に取られて、いちばん捩じ上げられたら、肩の骨が飛び出してでもいただろう。よくまあ、きさまの腕が抜けなかったものだ。きさまはよくよく運のいい奴だ。この光遠でも、きさまなんか踏み殺すのは朝飯前だ。腕をつかんで捩じ伏せ、胸と腹とを一踏みしたら、きさまの命なんかじきに吹っ飛ぶところだ。そのおれの二倍ほどの力を、あの女房は持っているのだ。見かけは女らしくてなよなよしているが、この光遠がいたずらなどしかけて、あの手をつかんだりしてみろ、こっちの手を逆に取られて握りしめられたが最後、たちまち手の力が抜けてじきにはなしてしまうくらいだ。あれが男なら、刃向かう相手もなく、ひとかどの手利(てき)きでもあろうものを。女と生まれて可哀(かわい)そうなことをした」 などと言うので、人質に取った男は蒼(あお)くなったまま、今にも気を失いそうな様子。
「並みの女のつもりで、つい手ごろな人質だとあさはかなことをいたしました。なにぶんそのようなお方とは存じませんで」
と泣き出したから、光遠も、
「本来ならきさまを殺してくれるところだが、その女房に傷でもつけたというのならともかく、きさまがいち早く逃げて女房になんということもしなかったから、命ばかりは助けてやろう。それにしてもあの女房は、大きな鹿(しか)の角(つの)を膝に当てて、あの花車(きゃしゃ)な細腕で枯木のように打ち砕くくらい造作(ぞうさ)もないのだから、きさまはよくよく命冥加(みょうが)な奴だ」
と言って、その男を逃してやった。
まったくとんだ力持ちの女もあったものだ、という話である。
(巻廿三第廿四話)
(『今昔物語 日本の古典』福永武彦訳 ちくま文庫 1991年)今朝の父の一枚です(^^)/
何に見えますか?
父は、なんか耳が立っているように見えたそうです。
家に戻り、前後の画像を見るとキジバトのお尻でした。
キジバト
〔生 活〕
オスは150m四方ほどのなわばりを守り、木の上でしきりにさえずる。
繁殖する時期は3月から11月にかけて長い期間におよび、この間に6回から8回も繁殖するものがある。
周年2羽で見られることが多いので、さぞや仲がよかろうと思われるが、1回の繁殖ごとにつがいの相手が変わることも多いというから、案外忙しい鳥だ。
オスは枯れ枝を拾ったり、木から折ってきたりしてメスに渡し、主にメスが巣をつくる。
よく知られた粗雑な巣であるが、卵を産むまでは放棄しやすく、何回も場所を変える神経質な面もある。
また、新しく巣をつくって繁殖した次は古い巣(自他問わず)を利用し、古い巣で繁殖した次は新しい巣をつくる傾向があるらしい。
ヒナがかえると、親鳥は擬傷(ぎしょう)行動(怪我をしたふり)をとって敵を巣から遠ざけようとすることもある。
ほとんど植物食、これをそのうという器官にためて徐々に消化する。
また、この器官の内壁のはがれたものを吐き戻してヒナに与える。
これをピジョンミルクといい、脂肪分やタンパク質に富んだ、ハト類共通のお子様メニューである。
ヒナは親鳥の口の中にくちばしを入れ、1回に約1分もかけてピジョンミルクを飲むので、1日に両親が給餌する回数は、数回から多くても20回足らずと、かなり少なくてすんでいる。
針葉樹林や竹やぶなどに集団ねぐらをつくることがあるが、これは繁殖をしていないヒマな(?)ものたちが集まるらしい。
(『鳥のおもしろ私生活(旧版)』 ピッキオ編著 主婦と生活社 1997年)