2022年8月13日土曜日

お盆の入り

予報では、曇りのち雨だったと思うけど青空
台風は反時計回りに強い風が吹き込んできます。
台風8号の進路は、紀伊半島に台風の風雨がぶつかりあまり影響がなかったようです。

台風8号 静岡 伊豆半島に上陸 今夜遅くにかけて大雨のおそれ」(NHK)

大阪は地形的に恵まれているのですが油断をすると
2018(平成30)年の台風21号のように大きな災害をもたらす台風は何度も来襲しています。

(「大阪に被害をもたらした主な台風・豪雨の状況及び被害」大阪市)
 究極の短歌・俳句100選ベストセレクション (1)「時代と戦争」
の中で紹介されていた金子兜太さんの句。
岸本尚毅さん、風間俊介さんのよみが面白かったです。

 湾曲し火傷し爆心地のマラソン 金子兜太(とうた)

 原爆の爆心地となったのは、広島と長崎しかない。
いわゆるピカドンの破壊力は周知のことだろう。
焦熱のため<湾曲し火傷し>た地獄の地は、やがて整備された公園となっていた。
昭和33年、転勤で長崎に住んでいた作者が、公園で見たものは何だったか。
長崎は坂が多く、そこを練習場としたマラソンランナーが背を折り曲げ暑さに喘(あえ)ぎながら苦しい表情で駆けぬける姿だった。
それは平和時の若者たちだが、その姿を起爆装置に、一気に十数年前の被爆者たちの悲惨な映像をだぶらせる。
その二重映しの映像は単に自己と客体の二元的な関係でなく、知的操作を意志的に行った主体的なことばのイメージによって統合された奥行きのある俳句となっている。
人間意識の主体性を重んじた作者みずからが提唱する造形俳句の傑作である。
  1919~ 埼玉県生まれ。「海程」主宰。
  句集『少年』『詩経国風』など。
(『きょうの一句 名句・秀句365日』村上護 新潮文庫 平成17年)

金子兜太」(NHKアーカイブス)
 盂蘭盆(うらぼん)

 サンスクリットのウランバーナの音訳で、旧暦7月15日を中心に、死者の霊をまつる行事として、日本には古く推古天皇14年(606)に伝わったとされる。
この日、祖先の霊が年に一度家に帰って来るといわれる。
全国各地で行われ、精霊棚(しょうりょうだな)を組んだり、仏の乗り物として瓜や茄子で牛や馬の形を作ったり、また岐阜提灯や盆灯籠を飾るなどするが、地方や宗旨によって異なる。
東京は7月に行う家が多いのに対して、上方は現在も月遅れの8月13日から15日に行われる。
(『京なにわ 暮らし歳時記』山田庄一 岩波書店 2021年)
 私の家は真言宗だが、この日は仏壇の彫刻も普段の金色のものから極彩色の品に取り替える(これは正月の三ヵ日にも行う)。
さらに苧殻(おがら)や干瓢(かんぴょう)を縄暖簾(なわのれん)のように掛けたものを前に吊るす(これは意味不明)。
仏花も、高野槙(こうやまき)と蓮台を加えたものに替える。
13日は、早朝から、当主が墓詣り(お迎え)に行き、帰宅すると家族全員で玄関に並んで「迎え火」を焚く。
焙烙(ほうろく)に数本束ねた苧殻を載せて点火し、合掌して先祖の霊を迎えるのである(三日間の供え物は「食文化」の章で述べる)。
15日の夕方に、やはり玄関で「送り火」を焚いて見送るが、墓参はしなかった。
迎え火の煙は内へ入り、送り火は外に出て行くのが不思議だったが、多分朝と夕とでは風向きが逆になるからだと思う。
16日には「地獄の釜の蓋が開く」といい、使用人は「藪入(やぶい)り」と称して全員休みになる。
正月にも藪入りがあるから、休みは年に二日だったことになるが、私の家では毎月1日の公休日があった。
 京都では、この日に「大文字の送り火」が行われ、鴨川の川床や各橋の上は大勢の見物人で賑わう。
一般に左京区如意が嶽が有名だが、北山から西山に掛けて「妙法」「舟型」「左大文字」「鳥居」などの火が、ほとんど同時刻に焚かれる。
昭和30年ごろまでは、3階建ぐらいのビルの屋上から見ると、全部見ることが出来たが、今は高層ビルが多くなって、京都タワーなどの上からしか見られないと思う。
 23、4日は「地蔵盆」が各町の地蔵堂で催され、昼は子供を中心に菓子などが配られ、夜は盆踊りが行なわれる。
盆踊りは大阪でも催されるが、京都は「江州音頭」、大阪は「河内音頭」が多い。
(『京なにわ 暮らし歳時記』山田庄一 岩波書店 2021年)
高野山のお盆 あの世とこの世をつなぐ祭壇」(みちしる 2014年)

五山送り火 山に刻まれた大文字」(みちしる 2011年)

京都のお地蔵さま 都の暮らしを見守る仏さま」(みちしる 2012年)

天草 キリシタンの里・﨑津 互いの信じるものを否定しない、祈りの集落」(みちしる 2021年)

追記:昨日、市川紗椰さんが阪堺電車を紹介してくれていました。
阪堺電車 下町をチンチン電車がゆく」(みちしる 2001年)