でも、明日は散歩に出るのは無理かな…
「台風21号 非常に強い勢力のまま あす上陸か 早めの備えを」
ねむの花の昼すぎの釣鐘重たし
(『尾崎放哉全句集』村上護編 ちくま文庫 2008年)
軒(のき)の蜘蛛(くも)の網(い)
思(おも)はじを荒(あ)れたる宿(やど)にかきくらす蜘蛛のいがきに風したまらば
思はじを 物思いをしないでしょうのに。
かきくらす 気持が「かきくらす」に、蜘蛛が終日巣を「搔く」を、
「巣(い)搔き」に「垣」をかけた。
結局は、風がたまって(吹き込まないで)くれたら、の意。
(『和泉式部集・和泉式部続集』清水文雄 校注 岩波文庫 1983年)
人間社会は国際化が進み、海外旅行はもちろん、
外国に住むことさえ気軽にできるようになりました。
じつはセグロセキレイも、近年、韓国や台湾などで記録されたことがあり、
一部繁殖例も出てきました。
しかし、定着はしていないとみられ、
現在の日本固有種として扱われるのが一般的です。
もしかしたら、セグロセキレイは日本列島に暮らすことの誇りを、
私たち人間よりも強く抱いているのかもしれません。
(『日本野鳥歳時記』大橋弘一 ナツメ社 2015年)
メマツヨイグサ(アカバナ科)
タネは時空を超えるマイクロカプセル
タネは空間を移動するだけではありません。
タネは時間を超える旅もします。
大人の植物だったら耐えられるような冬の寒さやカラカラの乾燥も、
あるいは真夏の暑さも、小さなタネは眠ったまま軽々と飛び越えて、ちゃんと芽を出すのです。
それも、1シーズンだけでなく、何年も何十年も待った後に芽を出すことだってあるのです。
たとえば市街地でビルや家が取り壊されると、
更地になったとたん、さまざまな雑草が生えてきます。
そのタネはどこから来たのでしょう?
新しく風や鳥に運ばれてきたタネのほかに、何十年も前の、
ビルや家が建つずっと前から土の中に埋まっていたタネもいるはずです。
雑草のビロードモウズイカのタネは100年、
メマツヨイグサのタネも少なくとも80年は、
眠って生きていることが確かめられています。
(『実とタネキャラクター図鑑』多田多恵子 誠文堂新光社 2017年)
眠っている間も、タネのセンサーはあたりを見張っています。
そして、明るくなったとか、地表の温度が高くなったという環境の変化を鋭く感知して、
「よし、今だ!」とばかりに芽を出します。
先に葉を広げたライバルがいるかいなかを探知するセンサーも植物は備えています。
葉を通過してくる光と直射光とで、波長の割合が異なることを利用して、
勝ち目がないときには眠ってチャンスを待つのです。
あなたの足元の地面の下にも、無数のタネが眠っています。
もしかしたら、すでに絶滅したとされる植物の種も、
そっと気づかれぬまま、土の中で生きているかもしれません。
実際に、湖の水底の泥を浚渫(しゅんせつ)したところ、その泥を貯めていた水たまりから、
すでにその地域では姿を消していたオニバスが芽を出したという例もあります。
大人の植物、子どもの植物、そして眠っている無数のタネたち。
これらが何十年、何百年という大きなサイクルでゆるやかに世代をつなぎながら生きています。
タネは空間的な移動だけでなく、時間をも自在に移動します。
ヒトも含めて動物は現在という時間しか生きられませんが、
植物はタネという形で未来へも命を送っているのです。
(『実とタネキャラクター図鑑』多田多恵子 誠文堂新光社 2017年)
川音や木槿さく戸はまだ起きず 立花北枝(たちばな・ほくし)
前書によって、京都の北嵯峨で詠んだ句ということがわかる。
秋の早暁、大堰川(おおいがわ)にかかる渡月橋を渡って北嵯峨の方をたずねてみると、
まだ人影もなく、あたりの生垣(いけがき)には白い木槿の花が咲いている。
寝静まった家々の戸は閉じたままであるが、
朝露のたちこめたなかから大堰川のせせらぎの音だけが聞こえてくる、という情景である。
寝静まった家々、白い木槿の花、川霧の底から伝わるせせらぎの音、清爽な秋暁の詩情といえよう。
季語は「木槿」で秋。
前書<霧深き朝、渡月橋をわたり、北嵯峨に分け入るころ>
渡月橋は京都の西部を流れる大堰川にかかる橋。
木槿―あおい科の落葉低木。夏から秋にかけて淡紅・紫・白色などの五弁花を開く。
朝開き、夕しぼみ、翌日はもう咲かないというので「槿花一朝の栄」などということばもある。
(『近世俳句俳文集 日本古典文学全集42』
栗山理一他校注・訳 小学館 昭和47年)
センニンソウ(キンポウゲ科)
晩秋の頃、果実につく綿毛が夕日に映え、とてもきれいです。
そんなふわふわした毛を仙人のひげにたとえて名がつきました。
日当たりのよい林の縁などで普通に見られます。
ボダンヅルとの2種類は庭によく植えられるテッセンやクレマチスにとても近い仲間です。
(『花のおもしろフィールド図鑑(秋)』ピッキオ編著 実業之日本社 2002年)
「おわら風の盆 秋をよぶ幻想的な祭り」(動画)
うつし身の うつし身ゆゑの けだるさを 胸内に秘めて 今朝の眉ひく
(『風の盆恋歌』高橋治 新潮文庫 1987年)
田んぼとスズメ
スズメは古来、日本人にとってごくごく身近な鳥でした。
「舌切り雀」をはじめとして、昔話にこれほどよく出てくる鳥はありません。
ですが、昔話をよく読むと、米を潰して作った糊(のり)を食べてしまったり、
穀物を食べる代表になっていたりと、
「何かを荒らす」鳥としても扱われていることに気づきます。
スズメは田畑の鳥であり、身近であるとともに、
穀物を食害する重大な害鳥でもあったからです。
(『鳥類学者の目のツケドコロ』松原始 ベレ出版 2018年)
(今朝の父の一枚です)
例えば、田んぼに欠かせないものだったカカシ。
これはスズメをはじめとして、稲を食べる鳥を追い払うためのものでした。
小正月に行われた「鳥追い」という行事もあります。
やり方はいろいろあるようですが、どれも豊作祈願のためで、
要するに「米を食い荒らすスズメはあっちへ行け」ということです
(時代劇に出てくる、笠を被って三味線を携えた「鳥追い女」は、正月に家を回って鳥追い唄を歌う芸人です)。
もともとは実際に田んぼで待機して鳥を追い払う、
野良仕事の一つとしての鳥追いもあった、と聞いたことがあります。
(『鳥類学者の目のツケドコロ』松原始 ベレ出版 2018年)
こんにちは~=^_^=
返信削除台風の影響か こちらも凄い暴風雨です
そちらは大丈夫ですか?
田んぼには案山子懐かしいですね=^_^=
蘭☆☆さんこんばんは(*^O^*)/
削除今回は、子どもの頃に経験した第二室戸台風を思い出させました。
こちらは被害がなかったのですが
各地で被害が出ています。
案山子も現代風のカカシたちが並んでいます(^▽^)