2018年9月26日水曜日

青空が直ぐに…

カワセミに会えたけどピントも露出も(^^ゞ
  つきぬけて天上の紺曼珠沙華

 「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」の句である。
まんじゅしゃげは、彼岸花とも、死人花(しびとばな)とも言う。
死人に関係のある花だから、縁起のいい花ではない。
人々は、その花を忌むべき花と考えていた。
俳句の世界では、紅蘂のその花を美しいとして、愛した。
 戦後、まんじゅしゃげは、アメリカなどに輸出され、
その紅蘂がアメリカ人の気に入って、美しい花、愛すべき花とされた。
日本の人々は、それを見て、やっとまんじゅしゃげに一目置くようになった。
「つきぬけて天上の紺」はくっつけて読む。
つきぬけるような青天とは、昔から言う。
それを私は「つきぬけて天上の紺」と言ったのだ。
 そんな青天に、まんじゅしゃげは、赤い蘂を張って、すくっと立っている。
    (『自句自解山口誓子句集』)
(『山口誓子俳句十二か月』松井利彦編 桜楓社 昭和62年)
ハシブトガラスが「なぜ、日本を代表する都市の鳥になったのでしょうか?

森林と都市は同じ!?
 人間にとって、森林と大都市は対極にあるように感じられます。
一方は手つかずの自然の代表、もう一方はすべてを人工物で覆い尽くした環境です。
なぜ、かくも両極端な環境に住みつくのでしょう?
 1950年代にハシブトガラスとハシボソガラスを比較した樋口行雄らは、
標高の高いねぐらにハシブトガラスが多いことを発見し、
ハシブトガラスは山地の鳥だと結論しました。
 ですが、その後の樋口広芳の研究により、ハシブトガラスは山地以外に、
都市部にも多い鳥だと確認されました。
樋口広芳は、山地に多いように見えるのはハシブトガラスが森林性だから、
都市部に多いのは、
スカベンジャー(動物の死骸や食べ残しを漁る、自然界の掃除屋)である
ハシブトガラスにとってゴミの多い環境は住みやすいから、と結論しています。
 後述しますが、私が1990年代に京都を中心に調査したところ、
ハシブトガラスはハシボソガラスと比べて、開けた環境をあまり利用せず、
そういった場所での採餌が苦手であることがわかりました。
ハシブトガラスは地上に下りたがらず、
地面を歩いて餌を探し回るのも、あまり得意ではないのです。
 これらをまとめると、ハシブトガラスが好むのは
「垂直方向の構造がたくさんあり、
  止まって下を見下ろしながら餌を探すことができる」
という環境だと結論できます。
建造物や電柱が立ち並び、朝になれば路上にゴミが出される都市部は、
ハシブトガラスにとっては森林とあまり変わらない条件をもった環境であり、
むしろ餌の量という点では森林よりも住みやすいでしょう。
カラスはスカベンジャーでもありますから、
人間の出したゴミも、当然、餌となるわけです。
ただし、カラスにとって餌が得やすいということが、
同時に人間にとっては「ゴミを荒らされる」という
問題になっているのは皮肉なことです。
(『鳥類学者の目のツケドコロ』松原始 ベレ出版 2018年)

中秋の名月は縁起が悪い? 仏滅名月の話」の続きです。

 六曜の順番を決めるもの
 コラムに書いたとおり、六曜は旧暦の月と日の組み合わせで決まります。

 (月+日)÷6=?と余りN

 この計算で重要なのは「余りN」でした。
Nが「0」なら大安で、Nが「5」なら仏滅といった具合です。
中秋の名月は旧暦の8月15日ですから、

 (8+15)÷6=3 余り5 → 仏滅

となります。
これでおわかりのように中秋の名月が旧暦の8月15日である限り、
中秋のお月見は絶対に「仏滅」の日となるわけです。
「ああ、何て縁起が悪いんだ」
 なんて嘆かないでください。
だって昔から中秋の名月が仏滅だったわけですが、
その日が本当に「悪い日」だとしたら、
昔の人たちはどうして日付を変えなかったのでしょうか。
たとえば一ヵ月ずらせば目出度い「大安」に月見となるのに。
六曜のコラムでも書いたとおり、大安、仏滅といった六曜を
有り難がるようになったのは明治以後、わずか百年と少々。
昔の人は、別段「縁起が悪い」なんて思うことなく月見をしていたのです。
そして、これといった悪いことも起きなかったから、
月見の日付は8月15日から変わることがなかったのです。
千年以上も特に悪い日ではなかったのですから、たぶん今年の中秋の名月も、
「縁起の悪い日」ということはないと思います。
 年中行事と六曜による日の吉凶については、
中秋の名月に限らず旧暦の月日に固定されている行事ならばすべてこれと同様に、
その行事の日の六曜は毎年同じになります。
中秋の名月のペア、後の月については、
旧暦の9月13日ですから、「先負」といった具合です。
「仏滅名月」の話は六曜のからくり(と言うほどたいしたものではないのです)が
わかってさえいればどうということはない話なのですが、
お月見の時期になったら思い出してみてください。
月見の宴の酒の肴くらいには使えるかもしれませんから。
(『暮らしに生かす旧暦ノート』鈴木充広 河出書房新社 2005年)
滝の音は絶えて久しくなりぬれど
    名(な)こそ流れてなほ聞こえけれ  大納言公任(だいなごんきんたふ)

この滝が絶えたのは
ずいぶん昔で、流れる音も
止んで久しい。
しかし見事な滝だったという名声の方は
この世に流れ続け、
今も鳴り響いている。

 藤原公任(966~1041)は頼忠(よりただ)の子で、定頼(さだより)の父。
四条大納言と呼ばれた。
一首は、長保元年(999)9月、藤原道長の主催で大堰川(おおいがわ)を散策したとき、
嵯峨の大覚寺の滝殿を訪れた感動を歌にしたもの。
「なり」(鳴り)・「流れ」・「聞こえ」はすべて滝の縁語である。
言葉をつなぎ合わせながら、参加している人々の心をつなぎ合わせ、
この行事を歴史に残そうとしたのである。
(『絵でよむ百人一首』渡辺泰明 朝日出版 2014年)

この並木小鳥の影の稀にさす  加藤楸邨
(『図説俳句大歳時記 秋』角川書店 昭和39年)
四十雀 しじゅうから<夏>】
 白い胸から腹にかけて、黒いネクタイのような線がある小鳥です。
スズメといっしょにいることもありますが、
羽が青みがかっているのですぐわかります。
「ツツピー、ツツピー」「ツーピー、ツーピー」とかわいい声でさえずります。
 最近、シジュウカラのさえずりは、
周囲の騒音がうるさくなるほど鳴き声が高く長くなることがわかりました。
一年中みられますが、夏の季語になっています。
(『いきもの歳時記<秋>』古舘綾子 文、
     小林絵里子 絵、舘あきら他 写真 童心社 2011年)
すずめ【スズメ】
 スズメは体長約14~15cmのハタオリドリ科の鳥で全国に分布する。
スズメは奈良時代から〝すずみ〟〝すずめ〟として知られている。
ただし「万葉集」に〝すずみ〟〝すずめ〟を詠んだ歌が一首もないのは面白いことである。
当時も田や人家近くに見かけた鳥と思われるが、姿や声が目立たないので、
余り関心を抱かれていなかったのであろうか。
「古事記」上つ巻、葦原中国平定で、神の矢に当たって死んだ天若日子の葬の時に、
「雀を碓女(うすめ 米つき女)とし」と記されているように、
〝すずめ〟が他の鳥(ガン、サギ、カワセミ、キジ)と一緒に葬に一役を課せられていたとされる。
また、雄略天皇記、長谷(はつせ)で豊楽(とよのあかり)の時、
天皇の歌った「ももしきの 大宮人は……庭雀 うずすまり居て……」は
〝すずめ〟が庭に群れていたことを示している。
(『図説 日本鳥名由来辞典』菅原 浩・柿澤亮三編著 柏書房 1993年)
今朝の父の一枚です(^-^)
初めのうちは青空に秋の雲が綺麗だったけど
次第に怪しい天気になりました

  どうしてだろうと

どうしてだろうと
おもうことがある

なんまん なんおくねん
こんなに すきとおる
ひのひかりの なかに いきてきて
こんなに すきとおる
くうきを すいつづけてきて
こんなに すきとおる
みずを のみつづけてきて

わたしたちは
そして わたしたちの することは
どうして
すきとおっては こないのだろうと…
(『まど・みちお 人生処方詩集』詩と絵:まど・みちお
         選詩:市河紀子 平凡社 2012年)

2 件のコメント:

  1. こんばんは~

    朝のうちは、お父様の撮られた秋空のように晴れていましたが、昼過ぎには冷たい雨になりました。

    >建造物や電柱が立ち並び、朝になれば路上にゴミが出される都市部
    なるほど、電柱などの高みから見下ろしてエサを探しているのですね。
    カラスにとっての格好の住処になっているのですね。
    なるほどです。(^-^;
    有難うございます。

    「仏滅名月」もなるほどなお話です。
    それでもお祝いなどを贈る日は、ついつい「大安」や「友引」の日を選んでいる自分がいます。
    「大安」や「友引」が字からも良き日のような気がしてしまいます。(^-^;

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    1. カイさんこんばんは(*^O^*)/
      昔、東京砂漠という歌がありましたよね(^。^)
      砂漠と都市とは結びつきやすいですが、
      森林と都市とは正反対のように思えますよね!
      でも、視点を変えると確かに共通項があるなと思いました。

      また、自分は六曜は気にしませんが、
      人に贈り物をするときは考えますよね!
      父は僕の手術や検査の時は「仏滅」を嫌がりましたが
      σ(^_^;は気にせず、主治医にお願いました(^_-)

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申し訳ありませんが,日本語だけを受けつけますm(_ _)m