2020年10月9日金曜日

台風が近づいているので

今朝も冷たい雨と風…
昨夜、父が故郷に電話すると、被害もなく通り過ぎてくれたようです。
四国や近畿にはこれから接近するけど、被害がないように祈るばかりです。

台風14号 西日本や東日本の太平洋側 雨が降り続き大雨のおそれ」(NHK)

昨日、ズームバック×オチアイ 特別編 「落合陽一、オードリー・タンに会う」より初めの方を文字起こししました。
昨日、今日と雨で出られないので最後まで文字に起こしました(何もしていないと眠くなる(-_-)zzz…)。
二人の若い、柔軟な発想に教えられることがいっぱいありました。
11日(日)午後2時30分から再放送がありますし、見逃し配信も10日(土)午後10時49分まであります。
全部転記するよりもオードリー・タンさんの言葉を一部だけ、抜き書きしようと思いますφ(..)

タン
コンヴィヴィアリティ(conviviality)は、私の解釈では、日本の「わびさび」にも通じる。
それは、よそから価値を輸入したり奪ってきたりするのではなく、今、目の前の環境にあるものを生かして、共に生きていこうとする考えですね。
そういう点で私がコロナ禍の今、注目するのは、先進国と途上国という枠組みをはるかに超えた「地球規模のコンヴィヴィアリティ(共生)」です。
今回のパンデミックで、人類は歴史上はじめて、世界中が等しく同じ悩みを持っことになりました。
言いかえれば「同じ環境」「同じ文化」を生きていると言えます。
時差や物理的距離の「壁」もインターネットが超えてくれました。
私は最近、朝起きたらアメリカ大陸の友達とオンラインで話し、
晩ご飯のあとはヨーロッパやアフリカの友達とオンラインで話しています。
これは一つの新しい文化です。
こんなに「みんなで共に地球に生きている」という感覚を持つことができた時代は、初めてでしょう。

人類がはじめて手にした地球規模の共生(コンヴィヴィアリティ)」オードリー・タン

タン
地球規模のコンヴィヴィアリティが実現した以上、前に「戻る」必要はありません。
ワクチン完成後も地球規模で連帯して、物事を考えていくべきです。

タン) 
今後「誰一人取り残され公正な社会を作ること」を考えていく上で、ケインズはすばらしい予言を残してくれたと思います。
大切なこと、それは単なる「金儲け」と「価値ある仕事」は違うということです。
世界が目指すと決めたSDGsの169の目標の中で、GDPについては1項目だけです。
GDPに悩むのは1/169の時間でいい。
ケインズの言ったとおり、科学技術はこの90年間、目まぐるしく進歩しました。
このまま行けば、いずれ彼の言うとおりお金のためにだけに働く必要はなくなります。
そして自分の心を満足させるために働く社会がやって来るでしょう。
今は苦しいこともあります。
しかし、私は10年後にはGDPなんて完全に意味のない指標になっていると考えます。
10年後、GDP(国内総生産)は意味を失う」(オードリー・タン)


タン) 
これまでの経済では、必ずどこかで資源の搾取が行なわれる。
物質的資源、あるいは人的資源の搾取が行われています。
誰かが凹(へこ)んだ分、誰かが得している。
でも、デジタルの世界なら資源は無限にあるから、ほかの誰かを凹ませる必要はない。
みんなが、同じスタートラインに立てるんです。
この新しい経済には、人類の未来の大きな可能性があると思います。
デジタルの世界は無限 みんなが同じスタートラインに立てる」(オードリー・タン)

タン
民間からSDGsに関する政策のアイデアを募集したところ、全部で200余りのエントリーがありました。
従来のやり方だと、そこから20位選んで、政治家が、ああでもない、こうでもないと議論して優先順位を決めるんですが、今回は、そういうのはなし。
一般の人も携帯電話のアプリを使って投票できるようにしたのです。
その対象は台湾の全人口の過半数(約1千万人)に達しています。
そしてここで投票方法として選んだのが、「クアドラティックボーティング」でした。

ナレーション)「クアドラティックボーティング」
2018年、大きな話題を呼んだ本「ラディカルマーケット」で提案された全く新しい投票方法です。
最大の特徴は「1人1票ではない」こと。

クアドラティックボーティングの場合、票はポイントと交換されます。
1票を交換するのに必要なのは1×1の1ポイント。
2票の交換には2×2の4ポイント。
3票には3×3で9ポイント。
投じる票の数の「二乗」分だけポイントを使っていく。
この「二乗( Quadratic )」からクアドラティックボーティングという名前が付けられました。

タン
重要なのは全部で「99ポイント」にしたことです。
10×10の100ポイントではない。
10票と交換はできなので1候補に投票できる最大は9票。
81ポイント使っても18ポイント余ります。
これを使い切らないといけない。
つまり、必ず2つ以上の候補に「分散投票」がされます。
従来の1人1票しかないやり方だと、どの候補が絞るか決められず、投票を棄権する人もたくさんいますね。
でも、この方式を使えば、自分の「支持度」に応じて複数の候補に投票できる。
1候補に全てを託すリスクを冒す必要がなくなりますし、自分で「支持度」を決めるため、より真剣に投票に参加するようになります。
携帯電話で投票できるので、どの国でも国民投票を24時間ごとに行う事が可能です。
人々の「いま」の思いが常にこまやかに把握できます。

タン
台湾では投票は「楽しい」もの「ワクワクする」ものだと考えられています。
なぜなら、台湾は民主化に非常に苦労したからです。
(1980年代半ばまで)長く戒厳令下にあり、民主主義を手に入れるための戦いを続けてきた。
だから票を投じるという行為それ自体が、一つの「祝祭」になっている。
票の数が未来につながっているという実感は、ほかよりも強いかもしれません。

タン
投票のレベルを変え投票の「回数」を増やすことだと思います。
限られた重いテーマばかりの投票を募るとハードコアな「思想が固まった」人しか参加しなくなる。
投票の項目を細分化し、一つ一つは数秒でも時間があれば投票できるようにするのが鍵です。
今は、民主主義の「回線速度」をあげることが大事です。
この変化の目まぐるしい時代、4年に1度の選挙でなにもかも済ませるのは、旧式のコンピューターを使い続けるようなものです。
アクセスの回数を増やせば増やすほど、フィードバックもアップデートも多くなる。
それが今の時代の「新しい民主主義」のあり方だと思います。
民主主義の回線速度を上げる」(オードリー・タン)

“ほどほど”のコンセンサス( consensus :合意)で多様でいられる社会へ」(落合陽一)