2019年1月23日水曜日

霜の朝

今朝は霜が降りて気温が低かったですが
風がなかったので歩いているうちにポカポカしてきました(^-^)
昨日、紹介した番組「不思議な猫世界 第7回ことわざになった猫」の中で
猫に牡丹」が紹介されていました。
テキストを転記しますと(図は省略)

猫に牡丹
牡丹の下ですやすや眠る猫は、平和な時代の象徴

牡丹に眠り猫」ともいいいます。
この図で最も有名なのが、日光東照宮にある
蟇股(かえるまた)という建物の部材になっているものです。
よく知られているのは、
「見ざる聞かざる言わざる」の三猿像とこの猫に牡丹です。
 その高い人気からこの2つが
日光のお土産品の代表的なものになっているのです。
右が土産品の小さな陶器の置物で、
右上が日本専売公社から売られていた
「日光」という銘柄のたばこを入れた紙の箱です。
たばこの箱のデザインにこの絵が
用いられていることからも推測できるでしょうが、
まさに日光の象徴的な図案であったといえるでしょう。
 右上は江戸前期の土佐光起(とさみつおき)によるもの。
おおきなぼたんの下で気持ちよさそうに猫が眠っていますが、
よく見るとぼたんの左上に蝶々も飛んでいますから、
ことによると「猫に牡丹」と「猫に蝶」の2つを一緒に描いたのかもしれません。
(『不思議な猫世界 ニッポン 猫と人の文化史
      講師 山根 明弘他 NHK出版 2018年)

・「眠り猫(ねむりねこ)【国宝】」(日光東照宮)

・「土佐光起(とさみつおき)筆『牡丹に猫』」(北日本新聞社)
番組の中で紹介されていたのですが、テキストになかったのが

絵画・書跡貼交屏風」(京都国立博物館)です。

特別展覧会 没後150年 坂本龍馬」で購入したカレンダーから転記します。

重要文化財 書画貼交屏風(血染屏風)
一隻 縦151.5 横171.8 江戸時代(18世紀) 京都国立博物館蔵

梅椿画と同じく近江屋二階の暗殺現場にあった複数の絵や書が貼り交ぜられた屏風。
18世紀後半頃に屏風にされたもの。
左下の猫図の附近に多数の血液が付着しており、
暗殺事件の凄惨さを伝える遺品である。
坂本龍馬・中岡慎太郎そして下僕藤吉の三名の遺体は
海援隊士らのよって東山の霊山墓地の埋葬された。

京都国立博物館の館蔵品データーベスで「書画貼交屏風」と検索してください。
また「血染懸軸(梅椿画)」で検索すると血染の掛軸を見ることができます。
同じくカレンダーより

重要文化財 梅椿図(血染掛軸)板垣槐堂筆
 一幅 紙本墨書 縦87.6 横38.9 慶応三年(1867) 京都国立博物館蔵

坂本龍馬の死は慶応3年11月15日夜のこと。
京都河原町の醤油商近江屋母屋の2階で
中岡慎太郎と談論中に乱入してきた数名の刺客によって斬殺された。
この掛軸はその部屋の床の間に掛けられていたもので、
軸の下部に数滴の血痕が付着している。
作者の板倉槐堂は文人画家で志士らの支援者であった。
軸の上部には事件後に海援隊士長岡謙吉が追悼文を記している。
日高敏隆さんの『動物と人間の世界認識』より続きを転記します。
描かれたネコへの反応
 そこでさっそく、少し大きめの画用紙に
マジック・インキで簡単なネコの線画を描いた。
四つ足で立っているネコの姿である。
しっぽは右のほうにすこし伸ばしておいた。
驚いたことにネコたちは、すぐに絵に寄ってきた。
メスネコは首をのばすと、ちょうど、
絵のネコの前足の付け根から肩くらいのところに口が触れる。
そして、絵に描かれたネコに鼻先をつけて、くんくんと匂いをかぐのである。
ぼくはびっくりした。
次に子ネコがちょこちょこやってくる。
子ネコは背が低いので、絵のネコに鼻を近づけると、鼻先で前足に触れる。
すると同じように、子ネコはくんくんと絵のネコの匂いをかぐのであった。
(『動物と人間の世界認識 ─ イリュージョンなしに世界は見えない
                日高敏隆 筑摩書房 2003年)
 オスネコの場合はもっとおもしろかった。
オスネコは絵のネコの体の前方ではなく、
後ろのほう、尾の付け根のあたりに鼻をつけて、匂いをかぐのである。
つまり、そこはメスネコの性器や、肛門があるところである。
おそらくオスネコはこの絵を見て、絵だけではオスなのか、
メスなのかわからなかったので、性器のところに鼻先をつけて匂いをかいだのである。
 いずれの場合にも、匂いをかぐと、ネコでないことがすぐわかるらしく、
即座に関心を失って離れていってしまった。
(『動物と人間の世界認識 ─ イリュージョンなしに世界は見えない
                日高敏隆 筑摩書房 2003年)
 本当に簡単な、黒いマジックで描かれた線画のネコの、
なんということもない一筆書きである。
それを見て、ネコたちはちゃんと寄ってきて匂いをかいだのである。
ということは、まったく平面的なネコを見て、ネコたちは、
立体的なネコを想像したのだとしか言いようがない。
それからぼくは、うちにいた、いちばん馴れたネコで次のようなことをやってみた。
(『動物と人間の世界認識 ─ イリュージョンなしに世界は見えない
                日高敏隆 筑摩書房 2003年)
たまたま部屋の掃除をするために、いろいろなものをとりはらった、
がらんとした洋間の部屋の壁に大きな紙を張って、
実物大に近いテーブルと椅子の絵を描いた。
もちろん、絵というよりも、単なる線画である。
そしてその部屋にネコを放した。
ネコはまったく知らない部屋に放り込まれたので、
不安げにあちこち見ていたが、すぐに絵に気がついた。
ネコは絵の机に近寄っていって、机の脚に鼻をつけ、匂いをかいだ。
次に隣に描かれている椅子に近寄って、
絵の椅子の脚に鼻をつけ、くんくんとかいだ。
そして、匂いがなにもしないのですぐに離れた。
(『動物と人間の世界認識 ─ イリュージョンなしに世界は見えない
                日高敏隆 筑摩書房 2003年)
 その次の実験としては、こんどは、窓の側に大きな紙を張り、
そこに、窓の絵を描いた。
片側の窓は開いているように描いた。
そこにネコを放すと、ネコはまた不安そうにしていた。
その部屋の入り口は閉めてあって、三方は壁である。
窓を開いた絵は本当の窓のところに下げておいたが、
その時は夜であったから、窓が明るかったことはない。
部屋に電気をつけていたので、そこは開いた窓の絵が見えていたわけである。
そこにネコを放して、しばらく不安そうにしていることを見届けたところで、
いきなり、がたんと大きな音をさせた。
(『動物と人間の世界認識 ─ イリュージョンなしに世界は見えない
                日高敏隆 筑摩書房 2003年)
ネコはびっくりした。
そして、逃げ出そうとした。
その時ネコは、いきなり開いた窓の絵に跳びついたのである。
絵を描いた紙は鋲で張ってあっただけなので、ネコが爪を立てて、跳びつけば当然落ちる。
ネコは紙ごともんどりうって床に落ちた。
そして、非常な恐怖心をもって、なんとか逃げ出そうと走りまわっていた。
ぼくはすぐにごめんごめんといってそのネコを抱き上げてやった。
(『動物と人間の世界認識 ─ イリュージョンなしに世界は見えない
                日高敏隆 筑摩書房 2003年)

こんな特集記事がありました。
タヌキの色は緑色? 知っておきたい色の見え方の多様性
日高さんの本には、人と動物や昆虫とは
世界の見え方が違うことを教えてくれるのですが
人によって見え方も違うことがあるそうです。
男性の20人に1人、女性では500人に1人の割合で
色の識別の困難を感じているそうです。