2019年1月10日木曜日

曇り空で暗かったけど

今朝は雲が空を覆って暗かったけど
風があまり吹いていなかったので助かりました(^_^)v
インフルエンザ 注意報レベルに
好きな歌にまど・みちおさん作詩の「ぞうさん」があります♪
ぞうさん
 戦争の犠牲になった不運なゾウさんたちをしのんで


 〝ぞうさん ぞうさん お鼻が長いのね……〟
 まどみちお作詩、團伊玖磨作曲の『ぞうさん』。
ゆったりした三拍子のメロディを聞いて、多くの人が幼稚園時代を、
また、わが子が口ずさむ童謡を頭に浮かべるに違いない。
 だが、東京で敗色濃い戦時下を過ごした人なら、このやさしさあふれた詞と、
美しい旋律とはうらはらに悲惨な「歴史」を思い出すだろう。
「どうにもならない日本人になった」と
「どうにもならない政治家」が公言するほど右傾化の動きがみられる時、
この歴史的事実を再録するのもムダではあるまい。
(『歌をたずねて――愛唱歌のふるさと』毎日新聞学芸部 音楽之友社 1983年)
 昭和18年夏、東京・上野動物園。
軍部は動物園内の11種22頭の猛獣を毒殺せよ、との命令を出した。
「動物園非常処置要綱」による第一種危険動物(ゾウ、トラ、クマなど)を
空襲に備えて殺せというのである。
「工事中につき、猛獣は当分見られません」という看板のなかで、
動物の虐殺が始まった。
硝酸ストリキニーネ入りのエサや注射で、
多くの動物が次々に殺され、皮ザラシやハクセイになった。
(『歌をたずねて――愛唱歌のふるさと』毎日新聞学芸部 音楽之友社 1983年)
 このうちでゾウに対する人間の仕打ちと、ゾウの抵抗は、まさに残酷物語である。
昭和56年刊行された「上野動物園百年史」から転用する。
「当時、上野動物園にはオスのジョン、
メスのトンキー、ワンリーのインドゾウが三頭いた。
命令により園側は毒入りのジャガイモを食べさせようとしたが、
三頭とも毒を察知してか、すぐはき出す。
無理に口に入れようとすると、人間に向かって投げ返す始末。
(『歌をたずねて――愛唱歌のふるさと』毎日新聞学芸部 音楽之友社 1983年)
 そこで考えた最後の手段は、エサを与えず餓死させることだった。
三頭のゾウは非情な仕打ちにもめげず、なおも空腹と闘いながら生き続ける。
絶食して17日目、ジョンが音を立てて倒れ、ワンリーが18日目、
トンキーは30日絶食して9月23日、死んだ」
(『歌をたずねて――愛唱歌のふるさと』毎日新聞学芸部 音楽之友社 1983年)
 当時の小学1年生の投書。
「どうぶつえんのおじさん けだものころしてかわいそう」
 大人は「来る世は人に生まれよ 秋の風」。
 20年8月15日、日本には京都に1頭、
名古屋東山動物園に2頭のゾウしかいなくなった
――これが「どうにもならない日本人」が行った所業である。
(『歌をたずねて――愛唱歌のふるさと』毎日新聞学芸部 音楽之友社 1983年)
 23年、まどみちお(本名、石田道雄)は、
長男の誕生日におもちゃをねだられたが、
買えなかったので、上野動物園に連れて行った。
象舎はもぬけのカラ。人影もない。
 不運なゾウをしのんで、この童謡が生まれた、といわれているが、まどは
「はっきりとした創作意図は覚えていないんですよ。
 だが、ゾウへの愛着は強かったし、こんなに愛される動物もない。
 そのゾウがいない。
 結果的には、戦後インディラなどが日本に贈られ、
 そのタイミングと合って、のちまで歌われることになったのだろう」
と話す。
(『歌をたずねて――愛唱歌のふるさと』毎日新聞学芸部 音楽之友社 1983年)
 しかし、戦後のこどもたちや大人が、ゾウを渇望し、
愛したのはジョンたちへの哀惜の裏返しであったことは確かだ。
「園長さん、ゾウを早く買ってください」と小学生から十円の小為替入りの投書が届き、
24年には名古屋までゾウ見たさの子どもたち千余人を乗せた「ゾウ列車」が走っている。
(『歌をたずねて――愛唱歌のふるさと』毎日新聞学芸部 音楽之友社 1983年)
 同年、インドのネルー首相から「インディラ」、
タイから「ガチャ子(のち花子)」が贈られた。
この時の騒ぎは、パンダ以上だった、という。
なにしろ贈呈式には吉田茂首相まで出席したのだから。
〝ぞうさん ぞうさん 誰が すきなの……〟
 師走の上野動物園。
象舎の前に来た親子づれは、かならずといっていいほどこのメロディを口ずさむ。
〝あのね 母さんが すきなのよ〟
 現在、日本にいるゾウ約百十頭、上野にはジャンボ、メナムの2頭。
象舎の横に「動物慰霊碑」がある。
「動物よ安らかに」とだけあった。
(『歌をたずねて――愛唱歌のふるさと』毎日新聞学芸部 音楽之友社 1983年)
・「3.戦中と戦後 ── 戦争の悲劇と平和の復興」(上野動物園の歴史)

・「慰霊碑」(上野動物図鑑)

・「もう一度ゾウを飼って!」(旭山動物園「園長室」)
(2012年1月10日)

今日は母の月命日。
母がルーペで覗いているのはソシンロウバイの花や蕾です。