2024年12月23日月曜日

日ざしがあると

初めは曇っていましたが青空が見えるようになるとホッとします。
でも、全国の天気を見るとクリスマス寒波になりそうだな…

東と北日本の日本海側中心 24日朝にかけ大雪の見込み 注意を」(NHK)
広島 高校生平和大使 ノーベル平和賞授賞式後初の署名活動」(広島NHK 12月22日)

高校生平和大使」はことしは全国で23人、広島県内では3人。
ビリョクだけど ムリョクじゃない
小さな声が届きますように。
明日は、もうクリスマスイブですね…ハヤイナァ!
リンドグレーンのクリスマスの絵本があります。
残念なことに絶版になっているみたいです。
復刊するといいなぁ

 馬小屋のクリスマス JUL I STALLET

 あるところに ひとりのこどもが いました。
こどもは おかあさんのひざの上で「クリスマスのこと おしえて」と いいました。
そこで、おかあさんは馬小屋のクリスマスのおはなしを はじめました。
ずっとむかしの とおいくにの クリスマスのおはなしでしたが、その子には すぐちかくの 馬小屋でおきたことのように思えました。
 それはこんなおはなしです。
(『馬小屋のクリスマス』アストリッド・リンドグレーン文 、ラーシュ・クリンティング絵、うらたあつこ訳 ラトルズ 2006年)
 むかしむかしのことです。
ある夜 ひとりの男の人と ひとりの女の人が くらい道を とぼとぼあるいてきました。
どこかでねむりたいと思いましたが、とめてもらえそうなところは どこにもありませんでした。
どの家のあかりも きえていて みんなねむっていましたので、道をあるくふたりに気づいてくれる人は だれひとりいませんでした。
むかしむかしのその夜は くらくて とてもさむい夜でした。
空には星ひとつでていませんでした。
 道のそばに ちいさな馬小屋がひとつありました。
男の人は 戸をそっとあけて、もっていたあかりで なかをてらしました。
なかに動物はいるのでしょうか。
もし動物がねむっていれば あたたかいはずです。
ふたりは からだがひえきって とてもつかれていたのです。
 ええ、小屋のなかには動物がいました。
みんな もう ねむっていたのですが、戸があく音で目をさまし、ふたりが なかにはいってくるのを見ました。
そして、あかりのなかに 立っている 女の人を見ました。
 でも 女の人は なぜ こんな夜ふけに ここへ きたのでしょう。
動物たちには わかりませんでした。
それでも、女の人が さむさにこごえ おなかをすかせ つかれているのは わかりました。
 馬には わかりました。
女の人が たてがみのなかに こごえる手を入れて、あたためましたから。
 め牛には わかりました。
女の人が め牛の乳をしぼって、あたたかくて おいしいミルクを ぐっとのみほしましたから。
 羊たちにも わかりました。
女の人が しきわらの上によこなって ねむってしまいましたから。
羊たちは 女の人のからだを あたためようと まわりに身をよせました。
 夜は 小屋の上に、小屋のなかの すべてのものの上に、しずかにおりてきました。
 やがて、夜が いちだんと くらさを増した真夜中、あたりのしずけさをやぶって あかんぼうのうぶ声が ひびきわたりました。
するとそのとき、空いちめんに星がまたたきはじめました。
 そのなかに ひときわ大きくて あかるい星がありました。
その星は 小屋の真上の空たかく、それはそれは あかるい光を はなっていました。
 さて、この夜、外にでていた羊飼いたちがいました。
冬がきたというのに 草場からかえってこない羊たちを 家につれもどしにきたのです。
羊飼いたちは 小屋の上に とつぜん 大きな星がまたたき、空いちめんに たくさんの星が かがやきはじめたのを見て、くちぐちに「あの大きな星は なぜ わしらの小屋の上でかがやいているのだろう」と いいました。
「さあ、なにがおこったのか いってみようじゃないか」と いうと、羊たちをつれて、雪の道を 家にむかっていそぎました。
 すると、小屋のなかには うまれたばかりのあかんぼうが、おかあさんのうでに だかれていたのです。
「あの星は この子のたんじょうをいわって かがやきだしたんだな」と 羊飼いたちはいいました。
「わしらの小屋で あかんぼうがうまれるとはな。こんなことははじめてだ」
 さあ、あかんぼうを ねかせなければなりません。
ところが、小屋のなかには ベッドも ゆりかごもなく、馬のかいばおけがひとつ あるだけでした。
おかあさんは かいばおけのなかに ねどこをこしらえました。
馬は しずかに 見守っていました。
馬には じぶんのかいばおけが あかんぼうをねかせるために ぜひとも ひつようだとわかっていたのです。
 夜は しんしんと ふけていきました。
あかんぼうは かいばおけのなかで すやすやとねむり、動物たちも 羊飼いたちも 音ひとつたてずに まわりで見守りました。
すべてが しずまりかえっていました。
ふるい小屋の上の空たかく、クリスマスの星が またたいていました。
こんなことが おきたのは クリスマスの夜だったからですね。
 むかしむかしの クリスマスの夜。
 さいしょの クリスマスのおはなしです。
(『馬小屋のクリスマス』アストリッド・リンドグレーン文 、ラーシュ・クリンティング絵、うらたあつこ訳 ラトルズ 2006年)