2021年12月23日木曜日

穏やかな朝

霜が降りるくらい風もなく穏やかな朝でした。
天気予報を見ていると日曜日に気温がグンと下がるみたい。
各地から新年を迎える準備のニュースが入ってきていますね

春日大社 新年の「十日えびす」を前に福娘が作法学ぶ 奈良〟(NHK 奈良)
前から気になっていたニュース

薬がない#2 薬局からの“緊急メッセージ”」(NHK)

ジェネリック医薬品については、前から不信感をもっていました。

昔、同じ成分の薬だと言われたのだけど
薬を替えてからしばらく体の調子がおかしかったことがあります。
替えるだけなら我慢できるだろうけど、薬がないと病状が悪化したりします。

薬がない…代わりの薬はどこに 相次ぐ業務停止で広がる波紋」(NHK 12月9日)

ジェネリック医薬品 調査対象薬の29%で供給滞る 8月末時点」(NHK 12月16日)
NHK映像ファイル あの人に会いたい「向田邦子(脚本家・作家)」より

1975年に乳がんと診断され手術。
仕事を全てキャンセルして自宅で療養している時に思いがけずエッセイの連載を依頼されました。

新潮CD向田邦子「父の詫び状」より

その時にね テレビってのは100本書いても、500本書いても 消えてしまいますね
そうすると「なんだかちょっと寂しいな」っと思ったんだろうと思いますね
今から考えてみると
だから“少しのん気な遺言状のつもりで”って書いたのが
今はピンピンしてますからね
すごく恥ずかしんですけど


1976年初のエッセイ『父の詫び状』連載。
向田邦子 亡くなって40年 時代を越えて読者を引きつける理由」(NHK 9月27日)

1981年8月22日、台湾での取材旅行の途中で乗っていた航空機が墜落し、51歳の若さでその生涯を閉じることになる

生きるのが辛くなった時に向田さんの本を手にとってほしいなと思います。
 国語辞典

 女は学校を卒業すると、めったに辞書を引かなくなります。
結婚して子どもが生まれると、もう絶対といっていいくらいご無沙汰でしょう。
しかし、こんなに安くて便利で、しかもおもしろい本はありません。
(『新装版 眠る盃』向田邦子 講談社文庫 2016年)
 悲しくて、つい泣いてしまったとき、机の上の辞書を開いて、「涙」の項を引いてみますと、

なみだ〔涙〕 強い感動をこらえ切れない時に、主として人間の目から出る液体。

 少しばかりおかしくなってきます。
目から出た液体をふきながら、「主として」ということは、人間以外にも泣く動物がいるんだわねえ。
馬かしら、犬かしら、くじらかしら、などと考えていると、つまらないことを思いつめることもなくてすむというものです。
 ことのついでに、もう少し先を見ますと、

なみにく〔並肉〕(上肉・中肉などに対して)値段の安い肉のえんきょく表現。

 なんていうのものっています。
 では、涙をふいて、〝えんきょく表現〟を用いてお肉でも買いにいくか、ということになりましょう。
 子どもは母親からことばを覚えます。
子どものころにまちがって覚え込んでしまったことばは、その人から一生ぬけないものです。
私自身も、祖母や母から、おかしな言い回しを覚えてしまい、大きくなってから辞書でまちがいを直してもらいました。
辞書を引いている母親の姿というものは美しいものだと思いますし、そのまま、子どもにとってある種の「教育」になるような気がいたします。
バーゲンのブラウス一着分のお値段で一生使えるのです。
辞書はいちばんお買い得な品だと思います。
 人は一生の間にどれくらい本を読むものか知りませんが、どうも女は、自分の好みのごく狭い枠の中で、似たようなものを読んでいるように思います。
たまには思い切って、全く別の世界のものにとりついてみたらどうでしょうか。
 私はひところ、『黄金分割』というやたらむずかしい建築の専門書を読んで――いや、読むとういよりブラ下がるといったほうが正確かもしれません。
なにしろ基礎知識がないものですから、一ページ読むのに、何時間もかかるのです。
寝る前に、聖書を読むように読んで、三月(みつき)ぐらいかかりました。
もちろんチンプンカンプンです。
でも、全く知らなかった世界を少しのぞくことができました。
建物を見る目が少し違ってきました。
本屋さんへ行くと、今までいったこともない建築のコーナーへいってわかりもしない本を手にとるようになりました。
この本は、友人が贈ってくれたものです。
私ははじめ、なんて見当違いな本をくれたのかしら、と思いましたが、今ではその友人に感謝しています。
本屋へ行くと、新刊と料理、美術、というコーナー以外のぞいたことのない私に、未知の世界への目を開かせてくれたのです。
『左利きの世界』(箱崎総一著)は、それほどむずかしくなくて、いや、むしろ、やさしくおもしろいといってもいいでしょう。
それでいて、今まで知らなかった別の世界を教えてくれる本なのです。
 おふろの水を抜いたときに起こる水の渦巻きは、日本では左巻きだけれど、南半球のオーストラリアのシドニーあたりでは右巻きである。
魚やカニや、カタツムリにも左ききや左巻きがいる。
英語のオーライ( all right )ということばは、右きき優先の思想から生まれたものである、といったユニークなエピソードの中から、私たちがいかに理由のない偏見を持って生きているかということを思い知らされるすてきな本なのです。
これが絶版になったのはとても残念に思います。
 一冊の辞書はスリ切れるまで一生使う。
そして、あとは、ベストセラーばかり追いかけずに、なるべく人の読まない本、自分の世界とは無縁の本、むずかしくてサッパリわからない本を読むのも、頭脳の細胞活化のためにいいのではないかと思います。
   (わたしの赤ちゃん/1976.10)
(『新装版 眠る盃』向田邦子 講談社文庫 2016年)
今朝の父の一枚です(^^)v
公園に行く途中、車の中で、今日は上皇さまの誕生日だねと話したら
「母さんも酉年で、同じ歳だなぁ…一番苦労をかけたのと違うかな!」と呟いていました。

上皇さま88歳 米寿に 健やかで穏やかな日々」(NHK)