朝、顔を洗っていた時にクシャミ…
腰にビクッと痛みが走った(-_-;)
ギックリ腰になったけど湿布と腰痛バンドをして出かけました。
今日はなんとか歩けたけど…
昨日のニュースに
〝50年前の「育児書」今も支持される理由は〟(NHK)
松田道雄さんの『育児百科』は、友だちも読んで励まされたと話していました。
現在、文庫本で読むことができます。
その「岩波文庫編集部付記――解説に代えて」を転記しますφ(..)
(引用されている松田道雄さんの文章は太字にしています)
岩波文庫編集部付記――解説に代えて
単行本『育児の百科』は1967年11月に刊行されました。
B5変型判、上製箱入り、808ページ。
定価1500円(ちなみに当時の岩波新書の定価は現在の約5分の1の150円)。
以来40年、1980年9月の「新版」、1987年の「最新版」、1999年3月の「定本版」と三度の大きな改訂を経て、通算発行部数160万部に及んでいます。
(『定本 育児の百科(下)〔全3冊〕』
松田道雄 岩波文庫 2009年)
800ページを超す大部で、決して安価とはいえないこの書物が、なぜこのように読者の圧倒的な信頼と支持(親子二代にわたる愛読者も多い)を得たのか。
雑誌『図書』1987年9月号に掲載された著者自身の文章「『育児の百科』二十年」に、本書がなぜ、どのようにして生まれ、どのように成長してきたかが記されています。
もともとレントゲンとか検査室をもたない町の医者は、診断をあやまらないためには、病気の「歴史」をふかくたずねないといけない。
その子どもが生まれてから今日まで、どんな様子でそだってきたか。
問題の症状は、いまはじめてのことか、以前にもなかったか。
どんなふうに治ったか。
問題をおこしたのは親子の日常でないか。
日常をどんなに暮らしているのか。
何時に起き何時に寝るのか。
戸外で過ごす時間、食事の種類と量、あたえ方と食べ方。
父親の育児への参加。
きいている間に小さな子には備付けの玩具箱の玩具で好きなように遊ばせ「元気度」をみた。
それは三分診療になったら絶対にできない一次資料の収集だ。
小さい子の病気は月齢と年齢と性によって、それぞれきまっていておとなのように多様ではない。
たいていの病気は子どもと家庭生活の「歴史」をつかみさえすれば診断がついてしまう。
いい小児科医は歴史家でなければならない。
患者の増加と、年齢のせいでそのような治療ができなくなったと感じた著者は、知っていることを残らず伝えたい、という気持がつのり、なんでも書いてある字引きのような育児書をかいてやろうと思い立ちます。
本をかくときめたら作業はそうむずかしくなかった。
…毎日診察室できいていること、いっていることをかけばよい。
そだっていく子どもには、階段を上るように一段ごとに問題がおこるのだから、毎日一段ずつかいていけば字引きのような厚い本でもできる。
よんでくれるほうだって、その子の月づきにわけていいのだから、一度によむ必要はない。
そう思って毎日かきためた。
患者がふえて午前九時から午後二時まで、ぶっ通しで30人ちかく診たから、その日かこと思っている月齢の子をいつでもみつけられた。
その子の問題と環境とを母親から根ほり葉ほりたずねた。
子どもの病気の診断や治療は簡単だが、育児はたいへんな仕事だということを改めて感じた。
診断と治療だけしていてはわからないことだ。
育児の重労働はすべて女にしょわされている。
…子どもをもった女の負担を少しでもへらしたい気持がつのった。
この本の制作はまた、育児にかかわる女性たちとの共同作業でもありました。
書店が当時の他の出版社とちがって、女子社員をおおくもち、彼女らが結婚しても子どもをもってもやめさせなかったことがよかった。
本の制作に参加した彼女たちは文字だけでなく内容についてもたくさんお付箋をつけてくれた。
育児書の制作中にこれほど厳密な校正をうけたことはなかった。
この社内校正はいまもつづいている。
集団保育のところは大阪で月に一回やって関西保育問題研究会で報告して会員の保母さんたちにきいてもらっていた。
本が出ると、読者からの質問の手紙がきます。
たいていのことはかいてあったが、それでもたずねてくるのは、かき方がまずいのだった。
その問題はどこそこをみるようにとか、もっと意をつくすとかしておくべきだった。
返事もしたが、本文のほうもなおした。
…二十年のあいだに読者からの手紙で何百カ所か訂正した。
国中に、このごろは海外にも、校正者がいてくれるわけだ。
とりわけ「子どもの病気」篇には改訂すべきもう一つの大きな理由がありました。
加速する医学の進歩のスピードです。
皮膚科や眼科や耳鼻科のことは、以前は親しい各科の友人にきくことができたが、友人が現役でなくなってからは、全書的な専門書を集めることで、治療の通り相場をみることにしていた。
それがこのごろではまにあわなくなった。
月々にでる学会の雑誌に目を通すしかない。
新しい情報の大部分はアメリカやイギリスの学会誌にでるので、この二、三年はウイルス学、眼科、耳鼻科、循環器科、伝染病学、小児外科、免疫学などの学会誌も予約している。
抄録をみるだけになることがおおいが、毎週十数冊とどけてくる雑誌をさばいていくのには、毎日の午前中をつぶさねばならない。
育児の実用書をだして、その実用性を維持しようと思ったら、新しい情報収集にひとりの人間がかかりっきりに毎日の半分をついやさねばならない。
さらに新しいことをいつもかきくわえるためには、本が年に二度は重版されないといけない。
どうしてもださねばならないと思ってだした本ではあるが、たいへんな仕事をしょいこんでしまったと気づいた。
このシシュフォスの仕事から解放されようとすれば死ぬしかない。
事実、1987年の「最新版」刊行後も、その重版のたびに手をいれてこられました。
この「シシュフォスの仕事」から著者が解放されたのは、「定本版」のための最後の改訂作業を終えられた1998年のことでした。
「核家族」「少子化」という言葉が生まれてすでに久しく、育児という初めての体験に直面した不安な若い母親や父親たちへの明確な指針として、『育児の百科』がどれだけ勇気をあたえ続けてきたかしれません。
医師であり戦後の代表的思想家松田道雄の文字通りのライフワークである本書が、これからも読み継がれるべき育児書の古典としての生命を持ち続けるものと確信しています。
しかし、医学は文字通り日進月歩の世界です。
著者が亡くなられ、生前不断に続けられた改訂のための作業が不可能になってすでに10年が経過しています。
文庫版刊行にあたって「子どもの病気」篇を割愛したことについては、読者のご了解を得たいと思います。
(2009年1月)
(『定本 育児の百科(下)〔全3冊〕』
松田道雄 岩波文庫 2009年)
今朝の父の一枚です(^^)v
ジョウビタキ♀に出会っていました。
σ(^-^;は鳥の撮影を諦めて50㎜マクロ(MF)で散歩しました(^^ゞ