2016年11月8日火曜日

しだいしだいに怪しくなってきて…

空が暗いのにジーッとしてくれなかったメジロ…(T^T)
秋草のしどろが端にものものしく生を栄ゆるつはぶきの花  伊藤左千夫
(『短歌歳時記』近藤芳美監修 長谷部淳編著 桜楓社 昭和58年)
コワイ顔をしていますね…
スズメバチはそれだけ懸命に餌を探しているのでしょうね!

働かねば生きねばならぬ運命をある夕ぐれどきに思うよ
(『歌集 方代』山崎方代 かまくら春秋社 2004年)
この子も忙しそうに飛び回っていました…
山の杉は暗く愚直に四十雀  森 澄雄
(『図説俳句大歳時記 秋』角川書店 昭和39年)
啄木鳥の木をうつ音が冬を呼ぶ  浅野高月
(『川柳歳時記』奥田白虎編 創元社 昭和58年)
菊の葩(はな)やひらかせたくて指触るる
(『しづ子 娼婦と呼ばれた俳人を追って』 川村蘭太 新潮社 2011年)
今朝は,藪の中に隠れてしまった…
 鴨居りて水(み)の面(も)あかるき山かげの沼のさなかに水皺(みじわ)よるみゆ
(『若山牧水歌集』若山喜志子選者 岩波文庫 1936年)
悲しみのかたわれとしもよろこびのひそかにありぬ朝の鵙鳴く  安立スハル
(『現代の短歌』高野公彦編 講談社学術文庫 1991年)
  炎上ははるかに昔首都と呼ぶ起伏に沿へるいちやうの黄葉(もみぢ)   今野寿美

 大火のイメージと首都の起伏の遠望が,銀杏の黄変の迫力に相応しく配された一首。
都市空間のスケールの大きさによって,銀杏に新しい抒情性がもたらされた。  
(『岩波現代短歌辞典』岡井隆監修 岩波書店 1999年)
   雨  

雨がふってゐる
いろいろなものをぬらしてゆくらしい
こうしてうつむいてすわってゐると
雨といふものがめのまへへあらわれて
おまへはそう悪いものではないといってくれそうなきがしてくる

(『八木重吉全詩集2』ちくま文庫 1988年)
怪しい空模様だなと思っていると
ついに雨が降り出しました。
身のどこか小さき傷もつ秋のばら  長迫貞女
(『カラー図説 日本大歳時記[秋]』講談社 昭和57年)

コスモスの花群(はなむら)に風わたるとき花らのそよぎ声のごときもの  長澤一作
(『現代の短歌』高野公彦編 講談社学術文庫 1991年)
通り過ぎた後,何か見えたよなと引き返すと
東へも向(むく)磁石あり蝸牛(かたつむり)

[訳]蝸牛の身の私,東の方角へ向く磁石と同じく東を向いている。
(『蕪村句集 現代語訳付き』玉城 司訳注 角川ソフィア文庫 2011年)