2016年11月21日月曜日

空が暗くて…

    くがみにてよめる
来てみればわが故郷(ふるさと)は荒れにけり庭(には)も籬(まがき)も落葉のみして
(『良寛歌集』東郷豊治/ 創元社 昭和38年)
 いろいろの木々や染(そめ)はのやわた山(やま)

 秋季の八幡山と言えば,石清水八幡宮のことであろう。
様々の木々がそれぞれに色づき八幡の山を染めている。
「男山」の異名もある。
  原句「いろいろの木ゝや染はのやわた山)
(『捨女句集』)
いろ「いろ」は「くの字点」
山家集 中 雑 997
ふるはたの 岨(そは)の立つ木に ゐる鳩の 友呼ぶ声の すごき夕暮

古畑の近くの崖に立つ木にとまっている鳩が,友を呼んで鳴いている。
その声がいかにも荒涼とした感じがする夕暮れだよ。
『家集』では「述懐の心を」の歌群中の歌。
群からはぐれた鳩が夕暮に友を呼んで鳴く声に,西行自身の姿を見出しての述懐の歌。
(『山家集』)
メジロ
エナガ
山の子が山駆けめぐる秋は好し
(『しづ子』)
木啄(きつつき)も日の暮(くれ)かゝる紅葉(もみぢ)
(『古典俳文学大系15 一茶集』丸山一彦 小林計一郎校注者 集英社 昭和45年)


 シジュウカラがかたい繭を破りイラガを駆除してくれましたp(^-^)q

 黄葉(もみぢ)ちりて身柄あらはれし四十雀(しじふから)この野の小禽(ことり)今は去るべし  宇都野 研
(『日本の詩歌29 短歌集』 中央公論社 昭和45年)
最近なかなか会えなかったヤマガラ

山雀や愚は人に多かりき  塩原井月
(『図説俳句大歳時記 秋』 角川書店 昭和39年)
撞きもせぬ鐘を見に行く紅葉かな

○撞きもせぬ鐘 駿河国(静岡県)掛川観音寺の無間の鐘。
撞くと無間地獄に落ちる。
『東海道名所図会』に
「この鐘を撞けば,現世にては無量の財宝を得るといへども,未来は無間地獄に堕落するとなり」。
(『井月句集』)
さぎ【鷺】
 大型でよく目立つから,日本画の画題としても好んで描かれ,うたに詠まれることも多い。
一般に鷺といえば白鷺をさす。
鶴に似るが,飛翔時に首を乙字型に縮めるのが特徴。
西欧では,鷺は暁を迎える最初の鳥とされ,コウノトリと同じく子供を運ぶ鳥と伝えられる。
長い首は長寿を象徴し,水陸二重の生活は貴族性と卑俗姓の二面を表わす。
伝承では観音の化身,また,雨を予知する鳥になる。

(『岩波現代短歌辞典』)
 見ていると少し詰めると止まれるのに譲らないな…

大風の森の中より寒鴉  原 石鼎
(『カラー図説 日本大歳時記[冬](旧版)』昭和57年)