2016年11月1日火曜日

雨が止んでくれて(^_^)b

雀にしたらおなかの色が茶色いなと思ったら
しら露やさつ男(を)の胸毛(むなげ)ぬるゝほど

早朝猟師が狩りに出かける。
そのたくましくあらわな胸毛も濡れるほど,しとどにおりた白露。

伝統的な露の概念を打破して,荒々しい露を造形した新鮮な句境。
白露の質感と色彩感が目覚ましい。
(『與謝蕪村集』)
錦木のもの古びたる紅葉かな  後藤夜半
(『図説俳句大歳時記 秋』 角川書店 昭和39年)
わが生をとどむるものやコスモスなど
(『しづ子』)
村上護さんが11月1日の句として選んだのが

  炎ゆる間がいのち女と唐辛子   三橋鷹女

 俳句の世界において大いに目立つのが女性の活躍である。
量的には男性俳人をとっくに凌駕しているが,なかでも作者は,
醒(さ)めた意識をもって俳句表現を文芸として自立させた稀有な存在だろう。
それも持続して一貫したものがあり,その孤高の精神は新境地を開くものであった。
 唐辛子で極めて辛い品種が鷹の爪。
熟した真紅は赤く燃え立つ火のようである。
そのような炎と同じなのが女の情念であるという。
炎は「火の穂」の意,火炎のほかに恨みや怒り,
また愛憎の情で心が激するのを燃え立つ火にたとえていう語でもある。
そういった過激に走るのは若いうちで,これを女のいのちと断定するところが潔(いさぎよ)い。
「白露や死んでゆく日も帯締めて」など,没後三十数年たつが,貫くラジカルさは古びていない。
  三橋鷹女 1899~1972 千葉県生まれ。「鹿火屋」「薔薇」に参加。
         句集『向日葵』など。『三橋鷹女全句集』『三橋鷹女全集』。
(『きょうの一句 名句・秀句365日』村上護/新潮文庫 平成17年)
でゞ虫の腸(はらわた)さむき月夜かな  原 石鼎
(『日本の詩歌30』)
さんしゆゆの実のすきとほる山日和  山本杜城
(『カラー図説 日本大歳時記[秋](旧版)』昭和57年)

サンシュユの実を撮していると「ヒツ,ヒツ…」と鳥の声が聞こえて来た
ジョウビタキ♂が不思議そうな顔をしてみていました(^▽^)
ひたき啼くころとはなりぬいつしか庭の木の葉の散りつくしゐて
(『若山牧水歌集』)
下嘴の基部が黄色くて
アイリングがはっきりしているコサメビタキ
 明けるより小鳥の挨拶でよいお天気で
(『山頭火大全』 講談社 1991年)
   うす陽   

曇った空のもとに
うす陽がみなぎってゐる
こころはかすかにかすかにたかぶってくる

(『八木重吉全詩集2』)

 しばらく気温が低い日が続きそうですね…