2016年11月15日火曜日

雨のあと…

山家集 上 秋 479
もみぢ葉の 散らで時雨(しぐれ)の 日数経(へ)ば いかばかりなる 色にあらまし

紅葉した葉が散らないで,もっと長く時雨にあったならば,
どんなに深い紅の色に染められることであろうか。 
(『山家集』)
昨夜からの雨がやんでくれました(^-^)
(「神をおもふ秋」より)

こすもすは 
やさしいうでをのばしてゐる
そのひとつひとつのうでのさきには
ひとのこころをなごむるものをもってゐる
やわらかげなあきぞらのもとに うすももいろ
のまるいものらよ

(『八木重吉全詩集1』)
心中をせんと泣けるや雨の日の白きこすもす紅(あか)きこすもす
(『与謝野晶子歌集』)
   薔 薇

薔薇には叡智がある
薔薇は空をまことの愛とし
そして私には他の目がある


かつて瞑(と)ぢたことのない第三の目
いやはての世界を作り


音の中の光りに,いのちは
一切の影をゆめむ


薔薇は聖なる三位一体

どうぞ帰る逕をおしへてください
私には他の目がある

(『山村暮鳥全詩集』 彌生書房 昭和39年)
 落ちる葉に執着持たぬ木木の枝
(『しづ子』)
なんかクリスマスツリーのように思えた。
今日は,七五三ですが,町の中ではクリスマス商戦がもう始まっていますね(*´∀`*)
巻第三 416
   大津皇子(おほつのみこ),死を被(たまは)り時に,
   磐余(いわれ)の池の堤(つつみ)にして涙を流して作らす歌一首

 百伝(ももづた)ふ 磐余(いはれ)の池に 鳴く鴨を 今日(けふ)のみ見てや 雲隠(くもがく)りなむ

   右,藤原の宮の朱鳥(あかみとり)の元年の冬の十月。

磐余(いわれ)の池に鳴いている鴨を見るのも今日を限りとして,この身は雲のかなたに去りゆくのか。

・謀反のかどで朱鳥元年(686)10月3日に処刑された。年24歳。
・池は皇子の訳語田(おさだ)の邸近くにあったか。
自己の死を凝視して詠んだ最古の辞世歌。
生きていることの実感を,鴨を「見る」ことの一点に絞って,死に臨む心境を詠じた。
実際は後人仮託の作であろう。
◇百伝ふ 「磐余」の枕詞。百(もも)に伝いゆく五十(い)の意。
無限に続く意を提示し,第四,五句のはかなさと対比させている。
◇鳴く鴨 生きているものの生命感を表わす。
◇雲隠りなむ 「雲隠る」は貴人の死をいう。
ここでは皇子の霊魂が鳥に化して雲隠れるイメージを喚起する。
(『萬葉集(一)』)
水に隠れてしまいましたが…
 水鳥ではありません(^▽^)
ジョウビタキ♂は空を見上げながら何を思っているのかな…
如何なるが  
苦しきものと問ふならば
人をへだつる心と
こたへよ

(『良寛さんの うた』)
養はるるゆゑに遊びと見られゐむ嘆きうたへば曇天のいろ
(『中城ふみ子歌集』)