2025年1月29日水曜日

体が揺れるほど

今朝は冷たい風が吹いていて体が揺れるほど…
スズメたちは強風の中で飛ぶのは大変なので日向で休んでいました。
長野や関東地方では冬型の気圧配置が強まっていて…

長野 関東北部 あすにかけ大雪見込み 積雪や路面凍結 十分注意」(NHK)
今朝の折々のことば:3329 鷲田清一

 傷ついた人にはあらゆる人が遠ざかっていくように見える
               安克昌(あんかつまさ)

 救護する側もされる側もみな傷ついている被災現場では、傷を負っていない外部の人が訪れてくれることが大きな意味をもったと、阪神・淡路大震災時、現地で精神医療にあたった精神科医は言う。
実際、被災直後は他府県のナンバープレートをつけた車を見るだけで心を熱くした被災者は多いと。
心の傷を癒すということ』から。
2025・1・29
100分de名著 「安克昌“心の傷を癒すということ” (4)心の傷を耕す

安克昌さんの姿や土曜ドラマ『心の傷を癒すということ』が映っていました。
安克昌さんをモデルにした安和隆を演じた柄本佑さんへのインタビュー記事があります。

[インタビュー]主人公、安 和隆を演じて
           柄本佑 聞き手:京田光広

 …前略…

柄本 あと秋実さんが現場にいたんですね。
秋実さんっていうのは安先生の三番目のお子さんで、次女になるんですね。
長男長女がいて、次女の秋実さんはその当時18歳で、誕生日を11月の30日に迎えて、19歳になったのかな。
映画を見ていただければわかるんですけど、要するに一番最後に(主役の)和隆さんが亡くなる二日前に生まれた、(妻役の)尾野真千子さんが安先生に見せに来る赤ん坊が、現場にいたということなんですよ。
(『安克昌の臨床作法』日本評論社 2022年)
 だから、秋実さんは実際にお父さんの顔は見てはいないんです。
秋実さんが現場にいるってことが、スタッフにとってもキャストにとっても、一番良かったんじゃないかなっていう気がします。
撮影をしていきながら、安家の皆さんにこのドラマをプレゼントしたいという気持ちになっていった。
だから、それだけ個人的な思いを持って作品作りに臨んで、しかも三ヶ月もかけてあれだけたくさんの方が関わって、個人的な思いをそれぞれが抱いている。
それを刺戟しているのは明らかに現場にいるその秋実の存在。
「秋実に見せたい」っていう気持ち、「秋実が傍で見ていてくれる」という、ただ、そんなことが一番緊張するんですけどね。
 演じている僕としては、一番緊張するんですけど、でも明らかに僕を、和隆としてそこに居させてくれていたパワーの一番のもとは秋実の存在でしたね。
 それにやっぱりその後ろには安家の皆様を感じますし、あとお母さんの末実さんも長女の恭子さんも長男の晋一さんもみんな現場に来てくれて…。
 そうだ、あの三人が映るとき、お兄ちゃんは北海道から来てましたよね?
前日ぐらいまで「本当に来るの? 本当に来るの?」みたいなことを秋実さんが言っていた気がする。
京田 きょうだい三人が出ているんですよね。

柄本 和隆の子どもたちが大きくなっていて、一番最後のところで振り返っている姿が映っているのが、実際に安先生のお子さんです。
でも、どうだろう、一瞬スウーって映るだけなので、視聴者の方は見ていて、わかるものですかね?
 お子さんたちは安先生に似てらっしゃるし、あのシーンはなんていうか、やっぱり説得力が違うよなって。
一瞬でわからなかったとしても、なんかああいうシーンを入れようって思うのは、やっぱりこういうチームだったからこそできることというか。
だからそんな作品に一メンバーとして携われたっていうのが一番幸せなことかなというふうに、思いますね。
  …中略…

柄本 田中(究)先生とは、その後ちょっとお話させてもらったことがあって、「心の傷を癒すということは、『こういうことである』というふうに言葉として到達したりしたことはあるんですか」というようなことを聞いたら、「それはずっとわからないことなんだけど、ただ安先生とよく喋っていたのは、『傷は癒すんじゃなくて、癒えるだよね』」っていうのをずっと安先生と二人でよく言っていたと。
 「ああ、なるほどな」ってその時なんか、具体的にはわからないだけど、すごく思いました。
だから言葉の一つひとつ、「癒すじゃなくて癒える」っていうところと、安先生が隣で寄り添ってあげられたパワーの源というか、不確かなものではありますけど、全部そういう言葉の一つひとつは(頭のなかにおいて)割と大事に撮影には臨んでいた気がしますね。

 …中略…
京田 あともう一つは、桑原(亮子)さんが一番大事にしているセリフですけれど、ご自身が末期がんになって、「心のケアって何かわかった 誰も一人ぼっちにさせへんことや」という、あの状況の中で和隆という人間を柄本さん自身はどんなふうに見ていたんですか。
多分観客の方々はいろんな形に見ていたと思うんですけど。

柄本 そうですね。どんな感じだったかな。
でも自分に死期が近づいてきていて、目の前に母が居て、妊娠している奥さんが、なんか「紅葉綺麗だ」って言っているっていう、そこの状況ときにあのセリフが出てくるっていうことが、何ていうかまさに、まさに降りてきたセリフっていう感じがしますね。
 まさか、あれがまさか桑原さんのオリジナルのセリフだっていうのが、桑原さんが安先生のことを考え抜いて、降りてきたんじゃないかなっていう気がしますね。
そういえば、たしか、いきなりふっと思いついたみたいなことをおっしゃっていた気がしますね。

 …後略…

(『安克昌の臨床作法』日本評論社 2022年)
土曜ドラマ『心の傷を癒すということ』プロダクションノート 安達もじり 

 …前略…

 ラストシーンとなった神戸のルミナリエのシーンの撮影は、偶然ですが、安先生の命日に行いました。
「亡くなってから二十年後――大きくなった子どもたちの背中を見つめる妻」という設定のシーンに、秋実さんをはじめ三人のお子さんが撮影に参加してくださいました。
本当にご家族の皆さんの後押しがなければ、できあがらなかった作品となりました。
(『安克昌の臨床作法』日本評論社 2022年)
 ドラマのクライマックスで主人公が「心のケアって何か、わかった」と語るシーンがあります。
安先生が若くして亡くなられたことをご家族の皆さんはいまだに癒えぬ傷として抱えておられました。
安先生をモデルにドラマを作るということは、ある意味、ご家族の皆さんのかさぶたを暴力的にはがしていくようなことでもありました。
安先生がその生涯をかけて見つけ出した答え、それは実際にはご本人が語られたことではありませんでしたが、我々からのご家族へのメッセージとして、何かを伝えたいと強く思いました。
作家の桑原亮子さんもこうおっしゃっています。
「安克昌先生が生涯をかけて摑み取ろうとされた答えを、私が書いていいのか、そもそも書けるのか、という思いにとらわれて前に進めなくなった。一瞬、この描きかけのシーンをまるごと消そうと思いました。でもどうしても消せません。長いこと身動きせず、主人公の生きてきた道を頭の中でもう一度辿り直しました。次に手が動いたとき、迷わず『誰も独りぼっちにさせへん、てことや』と書いていて、これは安先生が書かせてくださった台詞だと感じました」

 …後略…

(『安克昌の臨床作法』日本評論社 2022年)
 第4回 心の傷を耕す
 「誰も、ひとりぼっちにさせへん」 


 ドラマ作りを通して感じたことが、もう一つあります。
それは創作の力です。
ドラマはフィクションですが、それがむしろ安さんの本質的な部分を引き出すことになったのではないかと思うのです。
 例えば、「心のケアって何か、わかった。誰もひとりぼっちにさせへん、てことや」という安さんをモデルにした精神科医(演じたのは柄本佑さん)のセリフ。
 これは安さんが実際に語った言葉ではありません。
シナリオを最初に読んだとき、「安さんはこのように言うだろうか」と私は正直、疑問に思いました。
〝誰も〟ひとりぼっちにさせないというのは、実際にはとても難しいことだからです。
(「100分de名著 安克昌 『心の傷を癒すということ』」 宮地尚子 NHK出版 2025年)
 しかし改めて考えてみると、この言葉には安さんの思いや考えていたことが、幾重にも込められている感じがします。
何かできなくても傍にいる。
傍にはいなくてもわかってくれている人がいる。
さらに言えば、たとえこの世にいなくても、心のなかで会話ができるという意味で存在し続けることも含意されているように思います。
 このセリフが出てくるのは、ドラマの終盤。
死にゆく孤独と、いずれ家族に孤独な思いをさせることになる心痛のなかで語られます。
死んでも自分はあなたたちの傍にいるよ、というメッセージであると同時に、死ぬのは孤独だけれど、自分はひとりではないし、死んでも周囲の人々とのつながりのなかで生き続ける、生き続けたいという願いが込もった言葉だったのではないでしょうか。
「誰も、ひとりぼっちにさせへん」は、亡くなってからも安さんがさまざまなかたちで人と人をつないでいることを象徴する言葉だと思います。
(「100分de名著 安克昌 『心の傷を癒すということ』」 宮地尚子 NHK出版 2025年)
今朝の父の一枚です(^^)/
風が強く寒かったので?この一枚だけを撮っていました。

 柘榴 ざくろ
○ザクロの実の液で昔は鏡を磨いたので、鳥取などでは、大切な宝であるといっている。
金属製の鏡の時代には、鏡の面が曇ると、鏡磨きにザクロの酸を用いて磨かせたが、水銀の使用が始まってこの事はやんだ。
(『日本俗信辞典 植物編』鈴木棠三 角川ソフィア文庫 令和2年)

2月のカレンダーに通院の日にしるしをつけると散歩に行ける日が…
と言うのも私だけでなく、父と妹も歯科で治療を受けることになりました(^_^;