2022年9月16日金曜日

吹く風に

日射しは相変わらず刺さるような強さですが
木陰で風が吹くと秋を感じさせます。
台風14号の進路予報を見ていると「りんご台風」(1991年の台風19号)の進路と似ている。

台風14号 あすにかけ沖縄 奄美 18日は九州接近 暴風などに警戒」(NHK)

平成3年19号「りんご台風」 平成一番の風台風〟(ウェザーニュース 2019年2月18日)
素敵な話だなぁと思ったのが

目指せ高校日本一 “溶接”の世界に挑む」(NHK 9月13日)

日本では、オリンピックに関わって厭なニュースが連日報道されているのだけど

パタゴニア創業者 4200億円相当の株式 環境保護団体などに寄付」(NHK)

そして
「イグ・ノーベル賞」に千葉工業大グループ “つまむ”を分析〟(NHK)
日本人の受賞は16年連続です。
実験から四半世紀。(実験は1997年)
息の長い研究だなぁ!
昨日の記事で『田辺聖子の古典まんだら(上)』より
女はやっぱりしたたか――今昔物語集」の平中の話を紹介しました。
今日は、古文で紹介したいと思います。
注などは省略して転記します( ..)φ
なお〝□〟は欠字を表しています。
欠字については後日、転記します。
巻第三十
 平定文、本院の侍従に仮借する語
(こと)、第一

 今は昔、兵衛佐平定文(ひやうゑすけたひらのさだふみ)と云ふ人有けり。
(あざな)をば平中(へいぢゆう)となむ云ひける。
(しな)も賤(いや)しからず、形・有様も美(うるは)しけり。
(け)はひなにとも物云(ものいひ)も可咲(をか)しかりければ、其の比(ころ)、此の平中に勝(すぐ)れたる者世に無かりけり。
(か)かる者なれば、人の妻(め)・娘、何(いか)に況(いはむ)や宮仕人(みやづかへびと)は此の平中に物云はれぬは無くぞ有りける。
(『新潮古典集成 今昔物語集 本朝世俗部四』阪倉篤義他校注 昭和59年)
 而(しか)る間(あひだ)、其の時に本院の大臣(おとど)と申す人御(おは)しけり。
其の家に侍従君(じじゆうのきみ)と云ふ若き女房有りけり。
形・有様微妙(めでた)くて、心ばへ可咲しき宮仕人にてなむ有りける。
平中、彼の本院の大臣の御許(おんもと)に常に行き通ひければ、此の侍従が微妙き有様を聞きて、年来艶(としごろえもいは)ず身に替へて仮借(かさう)しけるを、侍従、消息(せうそく)の返事をだに為(せ)ざりければ、平中嘆き侘(わ)びて、消息(せうそく)を書きて遣(や)りたりけるに、「只(ただ)『見つ』と許(ばかり)の二文字をだに見せ給へ」と、絡(く)り返(かへ)し泣く泣くと云ふ許に書きて遣りたりける使の、返事(かへりごと)を持ちて返(かへ)り来たりければ、平中(へいぢゆう)物に当りて出で会ひて
其の返事を急ぎ取りて見ければ、我が消息に、「『見つ』と云ふ二文字をだに見せ給へ」と書きて遣りたりつる、其の「見つ」と云ふ二文字を破りて、薄様(うすやう)に押し付けて遣(おこ)せたるなりけり。
 平中此れを見るに、弥(いよい)よ妬(ねた)く侘(わび)しき事限無(かぎりな)し。
此れは二月の晦(つごもり)の事なりければ「然(さ)はれ、此(か)くて止(や)みなむ、心尽しに無益(むやく)なり」と思ひ取りて、其の後(のち)、音(おと)も為(せ)で過ぐしけるに、五月の二十日余(あまり)の程に成りて、雨隟無(ひまな)く降りて極(いみ)じく暗かりける夜、平中、「然りとも今夜(こよひ)行きたらむには、極じき鬼の心持ちたる者なりとも、哀(あは)れと思(おぼ)しなむかし」と思ひて、夜深更(ふ)けて、雨、音止まず降りて、目指(めざ)すとも知らず暗きに、内より、破無(わりな)くして本院に行きて、局(つぼね)に前々(さきざき)云ひ継(つ)ぐ女(め)の童(わらは)を呼びて、「思ひ侘(わ)びて此くなむ参りたる」と云はせたりければ、童即(わらはすなは)ち返り来て云はく、「只今は御前(おんまへ)に人も未(いま)だ寝(い)ねねば否下(えお)りず。今暫(しば)し待ち給へ。忍びて自(みづか)ら聞えむ」と云ひ出したれば、平中此れを聞くに胸騒ぎて、「然ればこそ、此(か)かる夜来たらむ人を哀(あは)れと思はざらむや。賢(かしこ)く来にけり」と思ひて、暗き戸の迫(はさま)に搔副(かきそ)ひて待ち立てる程、多く年を過ぐす心地なるべし。
 一時(ひととき)(ばかり)有りて、皆人寝ぬる音為(おとす)る程に、内より人の音して、来たりて、遣戸(やりど)の懸金(かけがね)を竊(ひそ)かに放つ。
平中喜(うれ)しさに寄りて遣戸を引けば、安らかに開(あ)きぬ。
夢の様に思ひて、「此は何(いか)にしつる事ぞ」と思ふに、喜しきにも見篩(ふる)ふ物なりけり。
然れども思ひ静め、和(やは)ら内へ入れば、虚薫(そらだき)の香(か)(つぼね)に満ちたり。
平中歩(あゆ)び寄りて、臥所(ふしど)と思(おぼ)しき所を捜(さぐ)れば、頭様細やかにて、髪を捜れば凍(こほり)を延(の)べたる様に氷(ひや)やかにて当る。
平中喜しさに物も思えねば、篩はれて云ひ出でむ事も思えぬに、女の云ふ様(やう)、「極じき物忘(ものわすれ)をこしてけれ。隔(へだて)の障子(しやうじ)の懸金を懸(か)けで来にける。行きて彼(か)れ懸けて来(こ)」と云へば、平中(へいぢゆう)(げ)にもと思ひて、「然(さ)は疾(と)く御(おは)しませ」と云へば、女起きて、上に着たる衣(きぬ)を脱ぎ置きて、単衣(ひとへ)・袴許(はかまばかり)を着て行きぬ。
 其の後、平中、装束(しやうぞく)を解きて待ち臥(ふ)したるに、障子(しやうじ)の懸金(かけがね)懸くる音は聞えつるに、「今は来む」と思ふに、足音の奥様(おくざま)に聞えて、来たる音は為(せ)で、良(やや)久しく成りぬれば、恠(あや)しさに起きて、其の障子の許(もと)に行きて捜(さぐ)れば、障子の懸金は有り。
引けば彼方(かなた)より懸けて入りにけるなりけり。
然れば平中、云はむ方(かた)無く妬(ねた)く思ひて、立ち踊り泣きぬべし。
物も思(おぼ)えで障子に副(そ)ひ立てるに、何と無く涙泛(こぼ)るる事雨に劣らず。
「此(か)く許(ばかり)入れて謀(はか)る事は奇異(あさま)しく妬き事なり、此く知りたらましかば、副(そ)ひて行きてこそ懸けさすべかりけれ、『我が心を見む』と思ひて此くはしつるなりけり。何(いか)に白墓無(しれはかな)き者と思ふとすらむ」と思ふに、会はぬよりも妬く悔しき事云はむ方(かた)無し。
然れば、「夜明くとも此くて局(つぼね)に臥したらむ。然(さ)有りけりとも人知れかし」と強(あなが)ちに思へども、夜明方に成りぬれば、皆人驚(おどろ)く音すれば、「隠れで出でても何にぞや」思へて、明けぬ前(さき)に急ぎ出でぬ。
 然て、其の後よりは、「何(いか)で此の人の心疎(うと)からむ事を聞きて思ひ疎みなばや」と思へども、露然様(つゆさやう)の事も聞えねば、艶(えもいは)ず思ひ焦(こが)れて過ぐす程に、思ふ様、「此の人此く微妙(めでた)く可咲(をか)しくとも、筥(はこ)に為入(しい)れらむ物は我ら等(ら)と同じ様にこそ有らめ、其れを搔(か)き涼(さが)しなどして見てば、思ひ疎まれなむ」と思ひ得て、「□の筥洗ひに行かむを伺(うかが)ひ、筥を奪ひ取りて見てしがな」と思ひて、然(さ)る気(け)無しにて、局の辺(ほとり)に伺ふ程に、年十七八許の姿・様体(やうだい)可咲しくて、髪は衵長(あこめたけ)二三寸許足らぬ、瞿麦重(なでしこがさな)の薄物の衵、濃(こ)き袴四度解無気(しどけなげ)に引き上げて、香染(かうぞめ)の薄物に筥を裹(つつ)みて、赤き色紙に絵書きたる扇を差し隠(かく)して、局より出でて行くぞ、極じく喜(うれ)しく思えて、見継ぎ見継ぎに行きつつ、人も見えぬ所にて走り寄りて筥を奪ひつ。
(め)の童(わらは)、泣く泣く惜しめども、情無く引き奪ひて走り去りて、人も無き屋(や)の内に入りて内差しつれば、女(め)の童(わらは)は外に立ちて泣き立てり。
 平中(へいぢゆう)其の筥(はこ)を見れば、琴漆(きんうるし)を塗りたり。
裹筥(つつみはこ)の体(てい)を見るに、開(あ)けむ事も糸糸惜(いといとを)しく思(おぼ)えて、内は知らず、先ず裹筥の体の人のにも似ねば、開けて見疎(みうと)まむ事も糸惜しくて、暫(しばら)く開けで守り居たれども、「然(さ)りとて有らむやは」と思ひて、恐(お)づ恐(お)づ筥の蓋(ふた)を開けたれば、丁子(ちやうじ)の香(か)(いみ)じく早う聞(か)がえ、心も得ず恠(あや)しく思ひて、□筥の内を臨(のぞ)けば、薄香(うすかう)の色したる水半許(なからばかり)入りたり。
(また)大指の大きさ許なる物の黄黒ばみたるが、長さ二三寸許にて、三切許打丸(うちまろ)かれて入りたり。
「思ふに、然にこそは有らめ」と思ひて見るに、香の艶(えもいは)ず馥(かうば)しければ、木の端に有るを取りて、中を突き差して鼻に宛(あ)てて聞(か)げば、艶ず馥しき黒方(くろばう)の香にて有り。
(すべ)て心も及ばず、「此れは世の人には非(あら)ぬ者なりけり」と思ひて、此れを見るに付けても、「何(いか)で此の人に馴れ睦(むつ)びむ」と思ふ心、狂ふ様(やう)に付きぬ。
筥を引き寄せて少し引き飲めるに、丁子の香に染(し)み返(かへ)りたり。
亦此の木に差して取り上げたる物を、崎(さき)を嘗(な)めつれば、苦(にが)くて甘し。
馥しき事限無し。
 平中心迅(と)き者にて、此れを心得(う)る様(やう)、「尿(ゆばり)とて入れたる物は、丁子を煮て其の汁を入れたるなりけり。今一つの物は野老(ところ)・合はせ薫(たきもの)を虆(あまづら)にひちくりて、大きなる筆欛(ふでつか)に入れて、其れより出だせたるなりけり」。
此れを思ふに、此(こ)は誰(た)れも為(す)者は有りなむ、但し此れを涼(さが)して見む物ぞと云ふ心は何(いか)でか仕(つか)はむ。
然れば、「様々に極(きは)めたりける者の心ばせかな。此(こ)この人には非(あら)ざりけり、何でか此の人に会はでは止みなむ」と思ひ迷(まど)ひける程に、平中病み付きにけり。
然て悩みける程に死にけり。
極めて益(やく)無き事なりけり。
男も女も何に罪深かりけむ。
 然れば、「女には強(あなが)ちに心を染(そ)むまじきなり」とぞ、世の人謗(そし)りけるとなむ、語り伝へたるとや。
(『新潮古典集成 今昔物語集 本朝世俗部四』阪倉篤義他校注 昭和59年)

なお、「虆(あまづら)」は、該当する文字を見つけることができなかったので『今昔物語集 本朝部(下)』(岩波文庫)を参照しました。
 今朝の父の一枚です(^^)/
田んぼの古代米(赤米かな?)
古代米とはどんなお米なのか、また、……。」(こどもそうだん 農林水産省)

秋の田 田の色・秋田・色づく田

 稲が成熟して色づいた田を言う。
「田の色」と言っても同様である。
「秋の田の穂(ほ)の上(へ)に霧(き)らふ朝霞いづへの方に我が恋ひやまむ」磐姫皇后(いはのひめのおほきさき)(『万葉集』巻二相聞)、「ひとりしてものをおもへば秋の田の稲葉のそよといふ人のなき」躬恒(みつね)(『古今集』巻十二恋二)、「秋の田のかりほの庵の苫(とま)をあらみわがころもでは露にぬれつつ」天智天皇(『後撰集』巻六秋中)など、古くから詠まれ、『古今六帖』第二にも「秋の田」は題として挙げられている。
『連珠合璧集(れんじゆがつぺきしふ)』以下の連俳集にも題として掲出。
…後略…
(『基本季語五〇〇選』山本健吉 講談社学術文庫 1989年)

父が新聞記事をみて、ため息をつき、残念がっていました。
「芭蕉布」の復興に取り組む 人間国宝の平良敏子さん死去〟(沖縄NHK 9月15日)