2022年7月29日金曜日

気持ちだけでも…

今朝も熱中症警戒アラートが発表されている
吹き出した汗が目に入ってくる…
そんな中で白い萩の花がポツンと咲いているのを見ると
気持ちだけでも秋を思う…

近畿 29日午前中から各地で猛暑日 熱中症に厳重警戒を」(関西NHK)
 百姓(ひやくしよう)の生きて働く暑さ哉(かな)

 「生きて働く」という言葉が、如何(いか)にも肉体的に酷烈(こくれつ)で、炎熱の下に喘(あえ)ぐような響(ひびき)を持っている。
こうした俳句は写生でなく、心象の想念を主調にして表象したものと見る方が好(い)い。
したがって「百姓」という言葉は、実景の人物を限定しないで、一般に広く、単に漠然たる「人」即ち「人間一般」というほどの、無限定の意味でぼんやりと解すべきである。
つまり言えばこの句において、蕪村は「人間一般」を「百姓」のイメージにおいて見ているので、読者の側から鑑賞すれば、百姓のヴィジョンの中に、人間一般の姿を想念すれば好いのである。
(『郷愁の詩人 与謝蕪村』萩原朔太郎 岩波文庫 1988年)
もしそうでなく、単なる実景の写生とすれば、句の詩境が限定されて、平面的なものになってしまうし、かつ「生きて働く」という言葉の主観性が、実感的に強く響いて来ない。
ついでに言うが、一般に言って写生の句は、即興詩や座興歌と同じく、芸術として軽い境地のものである。
正岡子規(まさおかしき)以来、多くの俳人や歌人たちは伝統的に写生主義を信奉しているけれども、芭蕉や蕪村の作品には、単純な写生主義の句が極めて尠(すくな)く、名句の中には殆(ほと)んどない事実を、深く反省して見るべきである。
詩における観照の対象は、単に構想への暗示を与える材料にしか過ぎないのである。
(『郷愁の詩人 与謝蕪村』萩原朔太郎 岩波文庫 1988年)
ここ数日の気になったニュース

「梅毒」の感染者が急増 過去最多のペース 症状は?〟(NHK 7月27日)

WHO “新規感染者は日本が世界最多” 1週間当たり約97万人」(NHK 7月28日)

全国知事会議 “コロナ 感染症法上扱い見直し含め対策転換を”」(NHK 7月28日)
新型コロナの感染症法上の扱いを季節性のインフルエンザと同じ扱いに見直す
ようにとの意見がだされているようです。
インフルエンザ並みの扱いにするには、治療薬の開発が必要だと思う。
また、病院や保健所に連絡しても電話が通じない現状をなんとかしないと。

これまでに何度か紹介している『現代の感染症』は、25年前に出版されました。
内容的には古いですが、ここに書かれていることは現在でも参考になると思います。
サル痘だけでなく新しい感染症は、これからも私たちの前に現れるでしょう。
なぜ、新しい感染症が次々と人類の前に現れるのか
10 感染症のいまと私たちのくらし
 1 新興感染症の出現


 この20年間に約30種類もの新しい感染症がわれわれの前に出現しました(次ページ表<略>)。
とくに出血熱は、1995年だけでも世界各地で猛威をふるい、多くの犠牲者を出しています。
 出血熱の特徴は、高い致死率にあります。
最低でも10%、エボラ出血熱ではなんと80%近くにもなります。
この出血熱にたいして、黄熱以外はワクチンがなく、それぞれの出血熱にたいしても対処療法しかできないのが現状です。
エイズやエボラ出血熱の項でも述べましたが、これら出血熱ウイルスは人跡未踏の自然環境のなかで、サルやネズミあるいは節足動物などを宿主として「ひそやかな」感染サイクルを形成しながら存在していたのでしょう。
そのあいだに自然発生的な変異がくりかえされていたかもしれません。
ともかくウイルスと人類がまったく無関係に生存していたのです。
(『現代の感染症』相川正道、永倉貢一 岩波新書 1997年)
 HIV感染のばあい、その由来はサルの免疫不全ウイルスSIVだといわれています。
近い関係にある生物種が異常接近(ニアミス)したために、境界線をこえて病原体の移動がおきます。
SIVは野生ザルに大きな病気をおこしませんが、適応していない動物(ヒト)に感染したばあいには重篤な病気をおこします。
文明の波のひろがりや戦争などの理由により、ヒトが入らなかった地域に開発の手が入り、ウイルス自身もその病原性を変化させて、人類を襲うようになったのだと思います。
 さらに、社会的経済的発展にともなう都市化が、急速にしかも不条理にすすんでいます。
このヒトの移動は、砂漠の緑地化と入植、内陸部の原生密林の開墾・入植などによって、その地域に古くからあった風土病に感染する危険性を高めています。
ブラジルの熱帯雨林に住むネズミのウイルスであるグアロアウイルスがヒトに感染した例もあります。
首都ブラジリアからアマゾンの河口のベレンにつながるトランスブラジルハイウェーの建設労働者がかかりました。
このように、いままで出現したことのないエマージング・ウイルスの反乱が目につきます。
エイズやエボラ出血熱以上に、もっとどうもうなウイルスが人類の前に出現しない保証はありません。
 都市化は郊外化をともないます。
1950年代朝鮮戦争の最中、米軍を中心とした国連軍の約2000人が感染し数百人が死亡した、朝鮮出血熱(腎症候性出血熱)は野ネズミが媒介します。
ネズミが多い農地や荒野に兵士が入ったことで患者が増えました。
近年、ネズミの縄張りであった地域に新しく住宅が建てられたことで、患者を増やしたのです。
ダニが媒介するライム病も同じです。
ダニがつくシカの住む森林に人間たちが入りこむことで、多くのヒトが感染し、死亡しました。
 これらは氷山の一角で、未知の地域への現代人の侵入は、いままで遭遇したことのない新しい感染症に遭遇することになります。
そのうえ、一昼夜にして地球を一周できるような交通網の発達があり、これらがともなって病気の世界的な伝播に拍車をかけたと思われます。
とくにエイズは、その伝播が生物の根幹である性行為や、本来ヒトを助けるべき医療現場での輸血や非加熱濃縮血液製剤の投与という形で、世界的な感染拡大がなされました。
これらの新興感染症は、単なる病気としての対象にとどまらず、全人類的な環境問題の一環あるいは人類文明論的な立場から対処すべきでしょう。
(『現代の感染症』相川正道、永倉貢一 岩波新書 1997年)

ドキュランドへようこそ「“看護師”誕生 ナイチンゲールからのメッセージ 前編
クリミア戦争(1853年~1856年)の時代、公衆衛生学・看護学などの知識はほとんどありませんでした。
ある統計によると戦死者10人のうち9人は、チフスで亡くなったといわれています。
そのなかでナイチンゲールがどのような活動をしたかを紹介しています。
後編は今夜11時からEテレで放送されます。
 今朝の父の一枚です(^^)/
この酷暑の中、今年9月に91歳になる父が歩いていますp(^^)q

ナツメ クロウメモドキ科

 春、葉が開くのが遅く、夏に芽が開くので夏芽となりました。
ナツメは中国~西アジア原産で、古くから栽培されている植物です。
花は黄緑の小さな花で地味ですが、赤茶に熟した実は甘く、リンゴのような歯ごたえです。
干してお菓子や料理、漢方薬に利用されます。
 ヤシの仲間にナツメヤシというナツメに似た実をつける木があります。
ナツメヤシは世界で最も古くから栽培されている植物といわれ、なんと古代エジプト、メソポタミアですでに重要な食料として栽培されていたようです。
ナツメヤシはデーツと呼ばれ、ナツメは「デーツに似た」「中国のデーツ」という英語名です。
和名はナツメが最初に入ったせいか、ナツメヤシという名になり、出遅れた形になっています。
ちなみにデーツは、お好み焼きソースにも入っています。
…後略…
(『散歩が楽しくなる 樹の手帳』岩谷美苗 東京書籍 2017年)