暖かくなるのは嬉しいのだけど
気温が上がり風も吹いているのでスギ花粉が飛ぶのに条件が揃っている。
花粉症の私が2009年の3月に大原を訪ねたとき
スギ花粉のシャワーを浴びたり、山から舞上がる花粉を見ましたが
クシャミや目のかゆみをあまり感じませんでした。
新鮮な花粉はそんなに悪さをしないのと違うかな?
飛んでくる間に人間の活動によって作りだされた物質が
花粉に付着してアレルギー症状を引き起こしていると思う。
(この文章を打っている間に目がかゆくなった…)
最後の講義「脚本家 大石静」
「今日 若い頃のことを久々に思い出してお話しして
その思いがグッと湧き上がったので」書かれた言葉が「権力は嘘をつく」
イギリス『ガーディアン』紙に寄稿(2025年2月6日)された論説を抜粋して紹介します。
トランプのサディズムに臆するな
ジュディス・バトラー(哲学者)、 訳:清水知子(東京藝術大学)
トランプが日々、破壊的で恐るべき大統領令や公言を発し続けるなか、彼の暴言に惑わされることなく、これらの問題がいかに相互に関連しているかを見極めることが、私たちにとってかつてないほど重要になっている。
…中略…
憤怒の反抗のパレード
トランプの支持者たちは、彼が道徳を蔑視するさまに戦慄の悦び覚え、それを共有しているのである。
…中略…
(『世界 2025年4月号』岩波書店) 私たち自身の情熱
…前略…
だが、その怒りに溺れ、思考を停止させてはならない。
なぜならこれは、恥知らずにも権威主義的権力の簒奪(さんだつ)を煽るファシズム的情熱を見極めるべき契機だからだ。
トランプの挑発とサディズムを称賛する者たちは、彼の論理に絡め取られている。
それは憤怒に凍りついた者たちと変わりない。
おそらく、こうした情熱から一歩距離を置き、その仕組みを見定めると同時に、私たち自身の情熱を見出す時が来ているのではないだろうか。
…後略…
(『世界 2025年4月号』岩波書店)今まで思い込んでいたことと違っていたなと思ったのが…
第10章 ワシントンのギャングたち
ユダヤ系知性の消滅?
まず、さらなる誤解を避けるために、私自身がユダヤ系で、ブルターニュ人でもあり、イギリス系の先祖ももっていて〔 Todd は古英語で「狐」の意〕、この三つの出自に十分満足していることを述べておく。
(『西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか』エマニュエル・トッド 文藝春秋社 2024年) アメリカ全人口におけるユダヤ人の割合は1.7%である。
バイデン政権、特に外交政策に携わるメンバーの中で、ユダヤ人の比率が非常に高いことはすでに見た通りだ。
外交問題の分野で名高いシンクタンク「外交問題評議会」の「理事会( Board of Directors )」においても同じようにユダヤ人の割合が高い。
34人のメンバーのほぼ三分の一がユダヤ人なのである。
2010年の『フォーブス』誌の番付によると、アメリカの最も裕福な100人のうち30%がユダヤ人だった。
まるで1930年代のブダペストを見ているようである。
こうした現象は、前述したのと同じように解釈できる。
つまり、ある社会の上層部においてユダヤ人の比率が非常に高い理由は、多くの場合、その社会の人口全体の教育水準の低さにある。
ユダヤ教の教育熱心さがこうした社会では特に完全な形で際立つわけだ。この状況は、これまで見てきたように、1800年から1930年にかけての中央ヨーロッパと東ヨーロッパと同様に現在のアメリカに見事に当てはまる。
近年のアメリカにおけるユダヤ人勢力の相対的な台頭は、プロテスタントの教育的関心が衰退したことの帰結の一つなのである。
1965年から2010年にかけてのアメリカにおいてプロテスタントという競合相手がいなくなることで、ユダヤ人の教育への執着心は、ユダヤ人の存在感を大きくすることにつながった。
それは、まだ識字化が進んでいなかった19世紀の中央ヨーロッパと東ヨーロッパにおいて、ユダヤ人が大きな影響力を持ったのと同じである。 歴史、特にアメリカのユダヤ教の歴史はここで終わるわけではない。
アジア系アメリカ人の教育熱が勢いを増すことで、ユダヤ人にとっての競合相手の不在という1965年2010年まで続いた状況に終止符が打たれたのである。
オンライン雑誌『タブレット( Tablet )』(ユダヤ系雑誌)の驚くべき記事は、今日、ユダヤ人の重要性の消失という傾向がいかに強いかを示している。 2023年3月1日付けのヤコブ・サベージの「消失( The Vanishing )」は、極端に悲観的な記事だ。
彼曰く、「ユダヤ系アメリカ人がこれまで重きをなしてきたハリウッド、ワシントン、ニューヨークなどの大学界において、今やその影響力ははっきりと後退している」。
いくつもの驚くべき事例がこの主張を例証する。
ベビーブーム世代のユダヤ人たちは、最も権威のある大学で21%を占めていたが、30歳以下を見ると、わずか4%でしかなくなり、アイビーリーグ大学では7%となっている。
つまり1950年代に廃止されたヌメルス・クラウズス制度が課していた上限10%を下回っているのである。
「ハーバードでは1990年代から2000年代にかけてユダヤ人が25%を占めていたが、今日では10%に満たない」とサベージは嘆く。 衰退は大学以外にも見られる。
「ニューヨークというユダヤ系アメリカ人の政治権力の中心地でも、権力を握るユダヤ人はほぼいなくなった。今から10年前、同市には5人のユダヤ人議員、1人のユダヤ人市長、2人のユダヤ人行政区長、14人のユダヤ人市議会議員がいた。現在はユダヤ人が2人と1人のユダヤ人区長しかいない。51人の市議会議員のうちユダ人は6人だけである」。
サベージ曰く、歴史を振り返ると、連邦判事もユダヤ人の比率が高かったのだという。
ユダヤ人は全人口の2.5%しか占めていなかったが(私は1.7%だと思うが、彼の一連の統計を否定するつもりはない。そもそも誰がユダヤ人かという厳密な定義は難しい)、連邦判事の少なくとも20%はユダヤ人だったという。
しかし、この記事が書かれた時点でバイデンに指名された114人の判事のうち、ユダヤ人は8人か9人だけだった(つまり7%から8%で、それでも高比率ではある)。 ハリウッドでも衰退は見られる。
スティーヴン・スピルバーグ、ジェームズ・グレイ、ジェリー・セインフィールドのような一世代前の偉大な人々を除けば、ユダヤ人の偉大な監督あるいは脚本家はもういない。
この記事は、現在の状況を鑑みると特別な意味を帯びてくるような結論で締めくくられている。
「もし、プーチンやオルバンが大学のユダヤ人人口を50%減らしたら、ADL(ユダヤ人差別の撤廃を支援するNGO)は大騒ぎするだろう。しかし、ハーバード大学やイェール大学は、まるで魔法のように、10年も経たないうちにユダヤ人学生をほぼ半減させることに成功したのだが、このことに関して私たちは何も言わずにいる」。 こうしてサベージは、ユダヤ人に対する差別の復活を告発している。
しかしそんな差別が復活しているとは私には一瞬たりとも思えない。
白人がユダヤ人よりもアジア系を好む理由などないからだ。
最もありうる解釈は、次のとおりである。
長い間、教育を優遇する宗教によって優位に立ってきたユダヤ系アメリカ人たちは、アメリカ社会にあまりにうまく同化した結果、彼ら自身も、アメリカにおける宗教と知性の衰退の影響を被ってしまったのだ、と。
同化は混合婚の比率から確認できる。
1980年以前に結婚したユダヤ人のうち、非ユダヤ人と結婚したのはわずか18%だったが、2010年から2020年の間に結婚したユダヤ人のうち、非ユダヤ人と結婚した人は61%に達している。
アメリカの衰退は、残りの39%の内婚カップルにも何らかの影響を与えずにはいなかっただろう。
私はプロテスタンティズム・ゼロ状態、カトリシズム・ゼロ状態について述べてきたが、アメリカの場合(そして別の場所についても)、ユダヤ教・ゼロ状態も検討できるのではないだろうか。
この概念は、ユダヤ人自身における教育衰退の分析に役立つだろう。 私がこの記事を長々と引用したのは、新たな研究領域が開けるからだ。
ただし、サベージが示す数字と結論は完全には信頼できないことも付け加えておこう。
いずれにせよ、現在の指導者集団、特に戦争担当部署におけるユダヤ系アメリカ人の割合は、いまだに過度に高いままだが、これは、キャリアのピークにはある程度の年齢になって達するという理由による。
(『西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか』エマニュエル・トッド 文藝春秋社 2024年)
最後の講義「脚本家 大石静」
「今日 若い頃のことを久々に思い出してお話しして
その思いがグッと湧き上がったので」書かれた言葉が「権力は嘘をつく」
イギリス『ガーディアン』紙に寄稿(2025年2月6日)された論説を抜粋して紹介します。
トランプのサディズムに臆するな
ジュディス・バトラー(哲学者)、 訳:清水知子(東京藝術大学)
トランプが日々、破壊的で恐るべき大統領令や公言を発し続けるなか、彼の暴言に惑わされることなく、これらの問題がいかに相互に関連しているかを見極めることが、私たちにとってかつてないほど重要になっている。
…中略…
憤怒の反抗のパレード
トランプの支持者たちは、彼が道徳を蔑視するさまに戦慄の悦び覚え、それを共有しているのである。
…中略…
(『世界 2025年4月号』岩波書店) 私たち自身の情熱
…前略…
だが、その怒りに溺れ、思考を停止させてはならない。
なぜならこれは、恥知らずにも権威主義的権力の簒奪(さんだつ)を煽るファシズム的情熱を見極めるべき契機だからだ。
トランプの挑発とサディズムを称賛する者たちは、彼の論理に絡め取られている。
それは憤怒に凍りついた者たちと変わりない。
おそらく、こうした情熱から一歩距離を置き、その仕組みを見定めると同時に、私たち自身の情熱を見出す時が来ているのではないだろうか。
…後略…
(『世界 2025年4月号』岩波書店)今まで思い込んでいたことと違っていたなと思ったのが…
第10章 ワシントンのギャングたち
ユダヤ系知性の消滅?
まず、さらなる誤解を避けるために、私自身がユダヤ系で、ブルターニュ人でもあり、イギリス系の先祖ももっていて〔 Todd は古英語で「狐」の意〕、この三つの出自に十分満足していることを述べておく。
(『西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか』エマニュエル・トッド 文藝春秋社 2024年) アメリカ全人口におけるユダヤ人の割合は1.7%である。
バイデン政権、特に外交政策に携わるメンバーの中で、ユダヤ人の比率が非常に高いことはすでに見た通りだ。
外交問題の分野で名高いシンクタンク「外交問題評議会」の「理事会( Board of Directors )」においても同じようにユダヤ人の割合が高い。
34人のメンバーのほぼ三分の一がユダヤ人なのである。
2010年の『フォーブス』誌の番付によると、アメリカの最も裕福な100人のうち30%がユダヤ人だった。
まるで1930年代のブダペストを見ているようである。
こうした現象は、前述したのと同じように解釈できる。
つまり、ある社会の上層部においてユダヤ人の比率が非常に高い理由は、多くの場合、その社会の人口全体の教育水準の低さにある。
ユダヤ教の教育熱心さがこうした社会では特に完全な形で際立つわけだ。この状況は、これまで見てきたように、1800年から1930年にかけての中央ヨーロッパと東ヨーロッパと同様に現在のアメリカに見事に当てはまる。
近年のアメリカにおけるユダヤ人勢力の相対的な台頭は、プロテスタントの教育的関心が衰退したことの帰結の一つなのである。
1965年から2010年にかけてのアメリカにおいてプロテスタントという競合相手がいなくなることで、ユダヤ人の教育への執着心は、ユダヤ人の存在感を大きくすることにつながった。
それは、まだ識字化が進んでいなかった19世紀の中央ヨーロッパと東ヨーロッパにおいて、ユダヤ人が大きな影響力を持ったのと同じである。 歴史、特にアメリカのユダヤ教の歴史はここで終わるわけではない。
アジア系アメリカ人の教育熱が勢いを増すことで、ユダヤ人にとっての競合相手の不在という1965年2010年まで続いた状況に終止符が打たれたのである。
オンライン雑誌『タブレット( Tablet )』(ユダヤ系雑誌)の驚くべき記事は、今日、ユダヤ人の重要性の消失という傾向がいかに強いかを示している。 2023年3月1日付けのヤコブ・サベージの「消失( The Vanishing )」は、極端に悲観的な記事だ。
彼曰く、「ユダヤ系アメリカ人がこれまで重きをなしてきたハリウッド、ワシントン、ニューヨークなどの大学界において、今やその影響力ははっきりと後退している」。
いくつもの驚くべき事例がこの主張を例証する。
ベビーブーム世代のユダヤ人たちは、最も権威のある大学で21%を占めていたが、30歳以下を見ると、わずか4%でしかなくなり、アイビーリーグ大学では7%となっている。
つまり1950年代に廃止されたヌメルス・クラウズス制度が課していた上限10%を下回っているのである。
「ハーバードでは1990年代から2000年代にかけてユダヤ人が25%を占めていたが、今日では10%に満たない」とサベージは嘆く。 衰退は大学以外にも見られる。
「ニューヨークというユダヤ系アメリカ人の政治権力の中心地でも、権力を握るユダヤ人はほぼいなくなった。今から10年前、同市には5人のユダヤ人議員、1人のユダヤ人市長、2人のユダヤ人行政区長、14人のユダヤ人市議会議員がいた。現在はユダヤ人が2人と1人のユダヤ人区長しかいない。51人の市議会議員のうちユダ人は6人だけである」。
サベージ曰く、歴史を振り返ると、連邦判事もユダヤ人の比率が高かったのだという。
ユダヤ人は全人口の2.5%しか占めていなかったが(私は1.7%だと思うが、彼の一連の統計を否定するつもりはない。そもそも誰がユダヤ人かという厳密な定義は難しい)、連邦判事の少なくとも20%はユダヤ人だったという。
しかし、この記事が書かれた時点でバイデンに指名された114人の判事のうち、ユダヤ人は8人か9人だけだった(つまり7%から8%で、それでも高比率ではある)。 ハリウッドでも衰退は見られる。
スティーヴン・スピルバーグ、ジェームズ・グレイ、ジェリー・セインフィールドのような一世代前の偉大な人々を除けば、ユダヤ人の偉大な監督あるいは脚本家はもういない。
この記事は、現在の状況を鑑みると特別な意味を帯びてくるような結論で締めくくられている。
「もし、プーチンやオルバンが大学のユダヤ人人口を50%減らしたら、ADL(ユダヤ人差別の撤廃を支援するNGO)は大騒ぎするだろう。しかし、ハーバード大学やイェール大学は、まるで魔法のように、10年も経たないうちにユダヤ人学生をほぼ半減させることに成功したのだが、このことに関して私たちは何も言わずにいる」。 こうしてサベージは、ユダヤ人に対する差別の復活を告発している。
しかしそんな差別が復活しているとは私には一瞬たりとも思えない。
白人がユダヤ人よりもアジア系を好む理由などないからだ。
最もありうる解釈は、次のとおりである。
長い間、教育を優遇する宗教によって優位に立ってきたユダヤ系アメリカ人たちは、アメリカ社会にあまりにうまく同化した結果、彼ら自身も、アメリカにおける宗教と知性の衰退の影響を被ってしまったのだ、と。
同化は混合婚の比率から確認できる。
1980年以前に結婚したユダヤ人のうち、非ユダヤ人と結婚したのはわずか18%だったが、2010年から2020年の間に結婚したユダヤ人のうち、非ユダヤ人と結婚した人は61%に達している。
アメリカの衰退は、残りの39%の内婚カップルにも何らかの影響を与えずにはいなかっただろう。
私はプロテスタンティズム・ゼロ状態、カトリシズム・ゼロ状態について述べてきたが、アメリカの場合(そして別の場所についても)、ユダヤ教・ゼロ状態も検討できるのではないだろうか。
この概念は、ユダヤ人自身における教育衰退の分析に役立つだろう。 私がこの記事を長々と引用したのは、新たな研究領域が開けるからだ。
ただし、サベージが示す数字と結論は完全には信頼できないことも付け加えておこう。
いずれにせよ、現在の指導者集団、特に戦争担当部署におけるユダヤ系アメリカ人の割合は、いまだに過度に高いままだが、これは、キャリアのピークにはある程度の年齢になって達するという理由による。
(『西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか』エマニュエル・トッド 文藝春秋社 2024年)