2021年11月14日日曜日

晴れていたけど…

歩き出した時は青空で日差しが眩しかった。
ムラサキシジミが翅を広げて体を温めていました。
しばらくすると雲が空を覆い始めました。
 平野啓一郎さんのTwitterに

こういう訴え方があるのかと、聴き入りました。

MasaYamamotoさんのTwitterをリツイートされています

上間陽子氏の心が震えるスピーチ。

『この賞が発表されて、Yahooのコメント欄は荒れるでしょう。
日本中を覆う、匿名性を担保にした悪意の言葉が、どれだけ人を削り、奈落の底に突き落とすのか、
ここにいるYahooの関係者、私がこれまで会うこともなかった偉い方々に考えていただけたら、と思います』

 安田菜津紀さんのTwitterから

『海をあげる』著者、上間陽子さんのスピーチ(11分頃から)。


「私たちが見たかったのは、本当に、こういう社会なのでしょうか」

内容はもちろん、一つひとつ紡ぐ言葉の繊細さ、柔らかさ、鋭さに、ぐいぐいと引き込まれていきました。
暗闇の中でなお輝く、尊厳の光のよう。

上間陽子さんが代表を務める、10代女性を出産前から出産後100日まで支えるシェルター、こちらから寄付ができます。
みらいファンド沖縄

「人を感じ、人と寄り添うインタビュー」琉球大学 上間 陽子先生
(「蟲めづる姫君」つづき)

 蟲を捕獲する召使の子供達には、貴重なものまたは彼等が欲しがるものを惜しげもなくやるので、童(わらべ)達は大喜びで、いろいろな恐ろしい恰好の蟲を採蒐しては姫に献上する。
 姫は毛蟲は毛の生えたところなどはいかにも趣があっていいが、どうも故事など無いので物足りないと云つて、螳蜋(いぼじり)、蝸牛など集めさせて、それに因んだ詩歌など子供達に大声でうたはせ、また自分も声をはり上げ、

  蝸牛の角上に何事を争ふや
  石火の光の中にこの身を寄す

 と云ふ詩などを吟じてゐる。
(『川端康成全集第三十五巻』山本健吉、井上靖、中村光夫編 新潮社 昭和58年)
 童(わらべ)達の名も、ありふれた、あたりまへの名ではつまらぬと云つて、蟲の名を附けるといふ徹底ぶりである。
 けらを・ひきまる・いなかだち・蝗麻呂(いなごまろ)・雨彦(あまびこ)などと呼んで召使つた。
 かうしたことが世間にひろまり、囂々たる悪評である。
 ところが、ある公卿の婿君で、元気のいい大胆で愛敬のある人があつた。
 この姫の噂を聞いて、
「だが、こいつには、顫へ上るだらう。」
 と云つて、とても結構な帯の端の、蛇の形によく似せたものを、動くやうに細工して、鱗形模様の懸袋に入れ、姫に送つた。
 その袋に結びつけた文には、こんな歌が書いてある。

  はふはふも君があたりにしたがはむ
    長き心の限りなき身は
(這ひながらも、あなたのお側にいつまでも、永遠を願う心の尽きませぬ私は。)

 この送り物を受け取つた侍女は何心なく姫の前に持つて行つて、
「まあ、この袋は持ち上げるだけでも、とても重たうございますわ。」
 といひながらひき開けた。
途端に中から、にゆつと、蛇が恐しい鎌首を擡げた。
 女房達は吃驚して顔色を変え、悲鳴を上げて騒ぎ立てた。
ところが、姫は至極悠然(のんびり)とした態度で静かに、
「なむあみだぶつ、なむあみだぶつ。」
 と念仏を唱へながら、
「前世の親なんでせう、この蛇は。皆、さう驚いてはなりません。」
 しかし姫の身体はぶるぶる顫へ、顔を背向けて、
「この優しい蟲の魂にも、因縁といふことが分るらしいのは、なんと不思議な事でせうねえ。」
 とぶつぶつ口の中で呟きながら、しかし、近く引き寄せるのも、さすがに恐しく、ただ、蝶のやうにそはそはと立つたり、すわつたり、おまけに急迫した調子で云ふのが、とてもをかしいので、皆は大騒ぎで姫の部屋から逃げ出すと、たうとう笑ひこけてしまつた。
 誰か姫の父のところへ「これこれでございます。」と注進した。
すると父の大納言は、
「あきれはてた苦々しい事を聞くものぢや。そのやうな危険なものが居るのに、みすみす逃げ出すとは以てのほかの不届ぢや。」
 と叱りつけると、そのまま太刀を携げ娘の部屋へ駆けつけて来た。
 が、よく見ると、実は蛇によく似せた作り物だつたので、大納言はやつと安堵の胸を撫でおろし、それを手にとつて、
「ひどく模造の上手ぢやな。」
 とつくづく感心して、さて姫に向ひ、
「そちが利口ぶつて、蟲を可愛がると云ふ評判を聞いてやつたのであらう。返事を書いて、早速これを返してやるがよいぞ。」
 かう云ふと、父は帰つて行つてしまつた。
  女房達は偽物だと聞くとやつと安心して、がやがや姫の前に集つて来て、
「まあ、ひどい。なんて悪戯(わるさ)をする人でせう。」
 など憤慨しあつてゐる。
そのうち一人が、
「あのう、返事をなさらなければ工合が悪うございませう。お嬢様。」
 と云ひ出したので、姫は、馬鹿にごはごはした紙に返事を書くこととした。
草仮名はまだ書けないので、片仮名で、

  契(チギリ)アラバヨキ極楽(ゴクラク)ニユキアハム
   マツハレニクシ蟲(ムシ)ノスガタハ。福地(フクヂ)ノ園(ソノ)ニ。
(御縁があれば、極楽でお逢ひしませう。こんな蟲の姿ではお近づきしにくいやうに思はれます。ね、又あの世の楽園で。)
(『川端康成全集第三十五巻』山本健吉、井上靖、中村光夫編 新潮社 昭和58年)

つづく…
今朝の父の一枚です(^^)v
カワセミに出会えて喜んでいました。

 派手なのに、目を凝らさないと見つけられない鳥
 
 カワセミ。漢字では翡翠と書きます。宝石のヒスイです。
その名の通り、青と緑に輝くたいへん美しい羽色をしています。
お腹はオレンジ色と、日本の鳥としては驚くほど派手な配色と言えるでしょう。
 特徴的なのは長いクチバシ、これは小魚を捕らえるためです。
カワセミは魚食性で、枝に止って、あるいは空中でホバリングした状態から水中に飛び込んで、魚を捕まえます。
なお、下クチバシが赤いほうがメスです。
オスは上下とも黒色です。
…後略…
(『鳥類学者の目のツケドコロ』松原始 ベレ出版 2018年)