帰り花
茗荷畑ありしあたりか忘れ花 也有
帰り花むかしの夢の寂(しづ)かなる 円地文子
狂い咲きのことである。
通常拍手喝采とはいい難い意味がこもる場合が多い。
だが,数ある季題の中で私には大好きなもののひとつなのだ。
頓狂さが可愛い。
自然の摂理を錯覚する懸命さもいじらしい。
その上実らずに散る宿命も哀れでならない。
かへり花暁の月にちりつくす 蕪村
蕪村には珍しく,情け無用とばっさり斬り捨てている。
人や自然のなりわいを,思いやり豊かに見る蕪村にしては,
夫婦げんかでもして機嫌が悪かったのではないかと思えるくらい容赦がない。
その点,円地さんの作は辞世の句ではないかととれるほど澄みきっていて,
羨望,嫉妬,悋気(りんき)更には腹立ちさえ覚える。
所詮はいつまでも悟れぬ凡夫との器の違いだろう。
帰り花は本来,木本に多いが,草本の代表にたんぽぽとすみれがある。
到底それらの可憐さは無理だが,あやかってせめて一輪でも咲かすとするか。
(『くさぐさの花』高橋治/ 朝日新聞社 1987年)
茗荷畑ありしあたりか忘れ花 也有
帰り花むかしの夢の寂(しづ)かなる 円地文子
狂い咲きのことである。
通常拍手喝采とはいい難い意味がこもる場合が多い。
だが,数ある季題の中で私には大好きなもののひとつなのだ。
頓狂さが可愛い。
自然の摂理を錯覚する懸命さもいじらしい。
その上実らずに散る宿命も哀れでならない。
かへり花暁の月にちりつくす 蕪村
蕪村には珍しく,情け無用とばっさり斬り捨てている。
人や自然のなりわいを,思いやり豊かに見る蕪村にしては,
夫婦げんかでもして機嫌が悪かったのではないかと思えるくらい容赦がない。
その点,円地さんの作は辞世の句ではないかととれるほど澄みきっていて,
羨望,嫉妬,悋気(りんき)更には腹立ちさえ覚える。
所詮はいつまでも悟れぬ凡夫との器の違いだろう。
帰り花は本来,木本に多いが,草本の代表にたんぽぽとすみれがある。
到底それらの可憐さは無理だが,あやかってせめて一輪でも咲かすとするか。
(『くさぐさの花』高橋治/ 朝日新聞社 1987年)
ビワの花にメジロがやってきた♪
巻第十 物名 454
ささ まつ びは ばせをば 紀乳母
いささめに時待つまにぞ日は経(へ)ぬる心ばせをば人に見えつつ
ほんのわずか,時を待っている間に日が経ってしまった。
思いだけは人に見せながら。
○いささめに 「ささ」を詠み込む。
○待つ 「まつ(松)」を詠み込む。
○日は 「びは」を詠み込む。
○心ばせをば 「ばせをば」(芭蕉葉)を詠む込む。
○見え 「見ゆ」は「人に見られるようにする」「人に見せる」の意となる。
▽四つもの物名を詠み込む例はめずらしい。
(『新版 古今和歌集』)
ささ まつ びは ばせをば 紀乳母
いささめに時待つまにぞ日は経(へ)ぬる心ばせをば人に見えつつ
ほんのわずか,時を待っている間に日が経ってしまった。
思いだけは人に見せながら。
○いささめに 「ささ」を詠み込む。
○待つ 「まつ(松)」を詠み込む。
○日は 「びは」を詠み込む。
○心ばせをば 「ばせをば」(芭蕉葉)を詠む込む。
○見え 「見ゆ」は「人に見られるようにする」「人に見せる」の意となる。
▽四つもの物名を詠み込む例はめずらしい。
(『新版 古今和歌集』)
山家集 上 冬 501
山家時雨
宿(やど)かこふ柞(はゝそ)の柴(しば)の色をさへ慕(した)ひて染(そ)むる初しぐれかな
「柞」は小楢・櫟などの広葉落葉樹。
楓のような紅でなく,地味な黄に色が変わるので「色をさへ」という。
(『西行全歌集』)
山家時雨
宿(やど)かこふ柞(はゝそ)の柴(しば)の色をさへ慕(した)ひて染(そ)むる初しぐれかな
「柞」は小楢・櫟などの広葉落葉樹。
楓のような紅でなく,地味な黄に色が変わるので「色をさへ」という。
(『西行全歌集』)
金槐和歌集 巻之上 冬部
十月一日(かんなづきついたち)よめる
秋は去(い)ぬ風に木(こ)の葉は散(ちり)はてて山さびしかる冬はきにけり
○山はさびしかる―この素人じみた言葉に実朝独特の味が出ている。
(『山家集 金槐和歌集 日本古典文学大系29』
風巻景次郎・小島吉雄校注 岩波書店 昭和36年)
十月一日(かんなづきついたち)よめる
秋は去(い)ぬ風に木(こ)の葉は散(ちり)はてて山さびしかる冬はきにけり
○山はさびしかる―この素人じみた言葉に実朝独特の味が出ている。
(『山家集 金槐和歌集 日本古典文学大系29』
風巻景次郎・小島吉雄校注 岩波書店 昭和36年)
シロハラ〔白腹〕
アカハラによく似たツグミのなかまである。
しかし,脇腹が淡褐色で,外側尾羽の先に白い部分のあるところがアカハラと違う。
シロハラは,十月頃に日本に渡ってくる冬鳥で,
その点アカハラのように日本で繁殖することはない。
日本にきては,平地や低山にある常緑広葉樹の薄暗い林に好んですむ。
地上を両足そろえてホッピングする姿を見ることが多い。
また,シロハラは,くちばしで落葉をひっくり返し,その下にいるミミズや昆虫,
その幼虫などを捕まえて餌とすることから〝木の葉返し〟という異名で呼ばれることがある。
(『都市のバードウォッチング・バイブル』
千羽晋示・柳沢紀夫著 朝日出版 1981年)
アカハラによく似たツグミのなかまである。
しかし,脇腹が淡褐色で,外側尾羽の先に白い部分のあるところがアカハラと違う。
シロハラは,十月頃に日本に渡ってくる冬鳥で,
その点アカハラのように日本で繁殖することはない。
日本にきては,平地や低山にある常緑広葉樹の薄暗い林に好んですむ。
地上を両足そろえてホッピングする姿を見ることが多い。
また,シロハラは,くちばしで落葉をひっくり返し,その下にいるミミズや昆虫,
その幼虫などを捕まえて餌とすることから〝木の葉返し〟という異名で呼ばれることがある。
(『都市のバードウォッチング・バイブル』
千羽晋示・柳沢紀夫著 朝日出版 1981年)
山口もべにをさしたるもみぢ哉 杉木望一(もいち)
○もみぢ―紅葉。秋の季題。
○口・べに(紅)―縁語。
◇山の入口の木が紅葉したのを、口べにをさしたようだと、言葉おかしく見立てたもの。
単純な趣向だが、古風の味がある。
(『近世俳句俳文集 日本古典文学大系92』
阿部喜三男・麻生磯次校注/ 岩波書店 昭和39年)
○もみぢ―紅葉。秋の季題。
○口・べに(紅)―縁語。
◇山の入口の木が紅葉したのを、口べにをさしたようだと、言葉おかしく見立てたもの。
単純な趣向だが、古風の味がある。
(『近世俳句俳文集 日本古典文学大系92』
阿部喜三男・麻生磯次校注/ 岩波書店 昭和39年)
ものよりかへるみちにて
あきやまのもみぢはちりぬいへづとにこらがこひせばなにをしてまし 良寛
○ものより―どこといってはっきりいわぬときに用いる。ある所からの意。
▽秋の山の紅葉は散ってしまった。
子どもらがお土産をせがんだら何をやったらよかろうか。
(『近世和歌集 日本古典文学大系93』
あきやまのもみぢはちりぬいへづとにこらがこひせばなにをしてまし 良寛
○ものより―どこといってはっきりいわぬときに用いる。ある所からの意。
▽秋の山の紅葉は散ってしまった。
子どもらがお土産をせがんだら何をやったらよかろうか。
(『近世和歌集 日本古典文学大系93』
高木市之助・久松潜一校注/ 岩波書店 昭和41年)
烏だったら割り込ませないのだけど(^▽^)
メジロが害虫がいないか点検していましたp(^-^)q
この桜は帰り花ではなく,この時期にも咲くフユザクラです。
以前,お店で「四季桜」という日本酒を飲んで美味しかったので
大阪市内のお店を探したことがあります(´∀`)
大阪市内のお店を探したことがあります(´∀`)
子供は子供と仲よく遊ぶコスモス
(『山頭火大全』 講談社 1991年)
(『山頭火大全』 講談社 1991年)
道々「あったかいですね」と挨拶をしていました(o^^o)