2022年9月17日土曜日

まだ遠く離れているのだけど…

台風14号はまだ遠く離れているのだけど
自転車で公園に向かうと向かい風がきつかったです。
台風の進路予報を見ていると
昨日の日本海側を通過する予想から瀬戸内海を通る予想になってきたなぁ…

台風14号 九州北部と南部に「特別警報」の可能性 安全確保を〟(NHK)
財務省文書改ざん情報公開でうその理由か元局長らの告発状提出」(関西NHK 9月16日)

記者会見した赤木雅子さんは
「夫がなぜ亡くなったのか、とにかく佐川さんに本当のことを話してほしいという一心です。
真実に一番近づけるところにいたいと告発人に加わりました。
東京地検特捜部にはしっかりと捜査してほしい」と話していました。


「絶対に捕まらないようにします」元電通“五輪招致のキーマン”へ……〟(文春オンライン 9月14日)
この記事で、文春は訴えられるのかな?

『今昔物語集』にこん話があります。
現代語訳で転記します( ..)φ
巻第二十九 
  日向守(ひゅうがのかみ)[  ]、書生(しょしょう)を殺す語(こと)、第二十六

 今は昔、日向守[ ① ]というものがいた。
任国にいるうち、国司の任期②が終わったので、新任の国司が下ってくるのを待っている間、事務引きつぎの書類③をととのえ、書かせていたが、書記④のなかでとくに事務能力にすぐれたものを一人を一部屋に呼んでとじこめ、古い記録を都合よく書き改めさせていたが、この書記は、「『このように虚偽の文書撲を書かせたからには、わたしが、新任の国司に言いつけるかも知れぬ』と、守は、疑って自分を見るにちがいない。この守は、よからぬ心の持ち主だから、かならずや、わたしに危害を加えるにちがいない」と思ったから、「なんとかして逃げ出そう」という気になったが、強そうな男、四、五人をつけて昼夜見はらせているので、まったく逃げ出せそうな機会はなかった。
(『今昔物語集 本朝世俗篇(下)』武石彰夫訳 講談社学術文庫 2016年)
 そこで、こうして書きつづけているうちに、二十日ほどにもなったので、書類をみな書きあげてしまった。
それを見て、守は「たった一人で、たくさんの文書を書いてくれて、ほんとうにありがたい。京に上っても、わたしのことをたよりにして忘れずにいてほしい」などと言い、絹四疋⑤を褒美として与えた。
だが、書記にしてみれば褒美をもらうどころではなく、恐ろしさに胸がどきどきするばかりである。
褒美をもらって退出しようとすると、守は腹心の郎等を呼び、長いこと密談をつづけている。
これを見た書記は、胸が(どきどきとし)⑥て、気が気ではない。
郎等は、密談を終えて出て行こうとして、「そこにおいでの書記殿。おいでくだされ。ないしょでお話ししたいことがござる」と呼びとめる。
書記は、しぶしぶそばに近づいていくと、たちまち、二人の男にひっとらえられた。
郎等は、胡籙(やなぐい)を背負い、矢をつがえて立っている。
書記は、「なんとなさるおつろもりか」とたずねたけれども、郎等は、「お気の毒とは存ずるが、主人のおおせであるから、これをことわるわけにもいかぬからのう」と言う。
書記は、「やはり、そういうことだろうと思っておりました。しかし、いったいどこで殺しなさるおつもりか」とたずねる。
郎等は、「しかるべき人目につかぬところにつれて行ってこっそりやるのだ」と答えた。
そこで、書記が、「御主人の命令でなさるについては、わたしから申すべきことはありません。ただ、長年、親しくつき合った仲ですから、最後に、わたしが申しあげることを聞いてはくださいませんか」と言うと、郎等は、「どういうことか」と聞くので、書記は、「じつは、八十になる老母を家において、長年養っております。また、十歳ほどの子どもが一人おります。これらの顔をもう一度だけ見たいと存じますが、その家の前をつれてとおっていただけませんか。そうしていただけたら、呼び出して顔を見ようと思います」と言う。
郎等は、「簡単なことだ。それくらいのことは、かなえてやれるぞ」と言って、家の方へつれていく。
書記を馬に乗せて、二人の男が馬の口をとり、まるで病人でもつれていくように見せかけて、さりげなくつれていくのであった。
郎等は、そのうしろから胡籙を背負い、馬に乗ってついていった。
 さて、家の前をつれてとおりかかったとき、書記は、人をなかに入れ、母に、「これこれしかじか」と言ってやると、母は、人によりすがって門の前に出てきた。
見ると、髪は、まるで燈心⑦をのせたような白髪で、よぼよぼの老婆である。
子どもは、十歳ぐらいで妻が抱くようにして出てきた。
書記は馬をとめ、母を呼び寄せて言った。
「わたしは、すこしもまちがったことをしていませんが、前世からの宿命⑧で、命を召されることになりました。どうか、あまりおなげきにならないでください。この子のことは、捨てておいてもなんとか生きていけるでしょう。ただ、わたしの亡きあと、母上がいかがなされるかと思いますと、殺されるつらさよりも、なおいっそう悲しい思いがいたします。さあ、もう家にお入りください。もう一度だけお顔を拝見したいと思ってやってきたのです」と言う。
これを聞いて、この郎等は泣いてしまった。
馬の口をとっていたものどもも泣くのであった。
母親は、これを聞いて悲しみのあまり、気を失ってしまった。
しかし、郎等は、いつまでもこのままではいられるはずもなく、「あまり長く話すな」と言って、引っ立てていった。
そして、栗林のなかにつれこんで射殺し、首をとって帰っていった。
  思うに、日向守は、どのような罪をこうむったことであろうか。
公文書偽造だけでも罪がふかいのに、まして、それを書いたものをなんの罪のないのに殺すなど、罪のふかさが思いやられることだ。
これは重い盗犯も同様の大罪だと、聞く人はみなにくんだ、とこう語り伝えているということである。
[ ① ]  日向守の姓名の明記を予定した意識的欠字。題の欠字も同じ。

②国司の任期 国司の任期は、承和2年(835)に4年となる(大宝律令では6年)。ただし、陸奥・出羽・大宰府管内諸国は、遠隔地のため5年と定めた。

③書類 新任国司は、着任後、百二十日以内に、諸帳簿・文書類の点検をして、過失のないことの確認書(解由状<げゆじょう>)を作るのである。

④書記 原文「書生(しよしやう)」。国府に仕える現地採用の下級職員。

⑤疋 反物二反をいう。12メートル程度。
⑥(どきどきとし) 底本は「ツブレ」の漢字表記を予定した意識的欠字。

⑦燈心 燈油をもやすための芯。細藺(ほそい)のなかごの髄や、白い木綿糸を油にひたして火皿でもやした。

⑧宿命 原文「前(さき)の世の宿世(すくせ)」。前世からの因縁。「宿世」も、前世、過去世の意だが、ここでは、宿世の因縁の意味に用いられている。

 原文「おのづから人の子になりてもありなむ」。妻が再婚して、他人の子となっても、と解する説がある。
(『今昔物語集 本朝世俗篇(下)』武石彰夫訳 講談社学術文庫 2016年)

彩絵胡籙(さいのえやなぐい)」(e國寶)