2022年9月11日日曜日

二百二十日

晴れていましたが蒸し暑さが戻った(-_-;)
それでも時折吹く風に秋を感じました。
台風12号は予報通りの進路を進むのかな?
途中で進路変更しそうな気がする…

台風12号 12日に先島諸島にかなり接近か 暴風・高波に厳重警戒」(NHK)
 ニッポンの里山 ふるさとの絶景に出会う旅
和菓子作りが育む森 宮崎県串間市」(BS8Kで放送されています)
葛の根から葛粉ができることは知っていましたが、
「掘り子」と呼ばれるクズの根掘りの名人の方が、葛の根を掘る様子が紹介されていました。
この日、掘ったのは、100キロほどなのですが、
この根から得られる葛粉は10キロ足らず!
それにしても葛の根の大きいこと…
それを急斜面で掘り、背負って運ぶのですからすごいです。
二百二十日(にひゃくはつか)

 立春から数えて220日目。
このころも暴風雨の多い時期で、新潟県の弥彦(やひこ)神社では、風鎮めの<風祭>が行われる。
秋の季語。

  二百二十日眼鏡が飛んで恐ろしや  高浜虚子

(『風と雲のことば辞典』倉島厚監修 2016年 講談社学術文庫)
  風の三郎

 風を神霊の通過と考えるのは、新潟県などに伝承されている「風の三郎」からもうかがうことができる。
新潟県東蒲原(ひがしかんばら)郡阿賀町(あがまち)の三川(みかわ)では、9月1日の風祭りには、子どもたちが集落の高台に集まって「風の三郎さん風吹いてくりゃんな くりゃんな」と大声で何度も叫ぶ行事があったという。
「風の三郎」に風が吹かないように頼んでいるのである。
同じ阿賀町の高清水(たかしみず)では、昭和45年(1970)ごろまでは8月27日を「風神様」とか「風の三郎」の日といい、子どもたちがお宮に集まって境内に小さな小屋を造り、ここに灯明をあげて風神様をまつっていた。
(『日本の歳時伝承』小川直之 角川ソフィア文庫 2018年)
 柳田國男は日本の口承文芸、説話を論じた『桃太郎の誕生』の中で、西の空が大荒れして黒雲の中から大きな手を出し、その手を鉈(なた)で切られる新潟の「弥三郎婆(やさぶろうばば)」の話(「古屋の漏り」の項)を紹介しているが、この婆も大荒れの黒雲から出現する風の神といえよう。
それは「弥三郎婆」という名が「風の三郎」と重なるところがあるからで。
ここでは鬼婆(おにばば)となっている。
「風の三郎」「弥三郎婆」のように風の神や妖怪に「三郎」が付くなら、宮沢賢治の『風の又三郎』も三郎伝承に基づいた創作といえよう。
その風は「どっどど どどうど どどうど どどう/青いくるみも吹きとばせ/すっぱいくりんも吹きとばせ/どっどど どどうど どどうど どどう」という風である。
この日はさわやかな9月1日で「青ぞらで風がどうと鳴り日光は運動場いっぱい」だった。
この風とともに登場するのが赤い髪の主人公・高田三郎で、「風の又三郎」と呼ばれる。
「風の三郎」の伝承は新潟県だけではなく、もっと広い範囲にありそうで読者の方々に情報を求めたいが、なぜ風が「三郎」のかは、まだよくわかっていない。
(『日本の歳時伝承』小川直之 角川ソフィア文庫 2018年)
 風の又三郎(かぜのまたさぶろう)【人】【天】

 新潟から東北一帯にかけて広まる風の神(妖精)「風の三郎」伝承にちなんだもの。
海岸線が多く海風波に敏感な、たとえば新潟地方では二百十日(9月1日)そのものを「風の三郎」と呼び、風神祭を行ったと言う。
この風の神のイメージはしばしば「山姥(やまんば)」と結びついて存在し、これは童話[水仙月の四日]の雪婆(ゆきば)んご(山姥の変形)と、心優しい雪童子(わらす)に反映されている。
(『新宮澤賢治語彙辞典』原 子朗 東京書籍 1999年)
わらべうたにもしばしば登場し、「風の三郎、信濃へ行け」(山形)、「風の三郎さん、風吹いてくやれ、くやれ」(新潟)等がある。
ところで岩手のわらべうたに「風どうと吹いて来(こ)、豆ける、風どうと吹いて来(こ)、海の隅から風どうと吹いて来(こ)」がある。
これが賢治作品の「風がどうと吹いてきて」「どっどど どどうど どどうど どどう」(童[風の又三郎])のオノマトペに反映していると言えよう。
童話[まなづるとダァリヤ]には、あばれる「北風又三郎」が登場するが、童話[風野又三郎]では又三郎は風の精というよりは、むしろ気象科学に基づいた風の擬人化といった感が強い。
「又三郎」と、賢治が三郎の上に「又」をつけたのは、音調、リズムのおもしろさ、ということもあろうが(たとえば童話[雪渡り]では「小狐紺三郎」、北風の「風三郎」、西風の「又三郎」、人間の「四郎」などの名が全篇のリズム効果を高めてもいる)、しかし「風の三郎」伝承とはまたちがった意味もあるかもしれない。
「又」は人物や空間の「変身、変化」を約束している、とする示唆的な吉田文憲説がある。
…後略…
(『新宮澤賢治語彙辞典』原 子朗 東京書籍 1999年)

定本宮沢賢治語彙辞典』(筑摩書房 2013年)が出版されています。
今朝の父の一枚です(^^)v

(もず)
 <百舌鳥・鵙猛(もずたけ)る・鵙の贄(にえ)・鵙の声・鵙日和(もずびより)> 三秋 動物

 モズは、開けた森や林、河畔の林、農耕地などに棲む。
動物食で、昆虫、節足動物、甲殻類、両生類、小型爬虫類、小型鳥類、小型哺乳類などを食べる。
樹上から地表の獲物を探して捕らえ、樹上に戻って獲物を食べる。
 モズの早贄(はやにえ)が知られている。
モズは捕らえた獲物を木の枝に突き刺し、あるいは木の股に挟む。
秋に初めての獲物を生け贄として捧げたという言い伝えがある。
早贄はモズ類のすべての行動である。
大阪市立大学と北海道大学の共同研究によって、早贄の消費が多いと繁殖期の雄の歌の質が高まり、相手を獲得しやすくなるということが明らかになった。
歌の魅力を高める栄養食として機能しているという。
また、早贄のほとんどが消費されること、気温の低い時期に消費量が多いことなどが判明している。
 早贄の位置によって冬の積雪量を占うことができるという説もある。
モズは本能的に積雪量を感知して、早贄を雪に隠れない位置に置くという説であるが、確認した論文はまだ見つけることができていない。
…後略…
(『季語の科学』尾池和夫 淡交社 令和3年)