2021年4月2日金曜日

季節がはやすぎるなぁ…

今朝も暖かくてクマバチが元気に飛んでいました。
体が大きいので誤解されることが多いですが
オスには針がないですし、針を持っているメスも悪戯をしない限り刺されることはありません。
何故、オスには針がないか小学3年生の学習教材で知ることができます。
クマバチの体とその特徴」(小学校3年)

クマバチといえばすぐに思い出すのが藤の花。
ビックリしたのはもう藤の花が咲いていました( ゚Д゚)
  ふ じ

 マメ科の木本性つる植物で、わが国中部では5月に開花するが、紫色の蝶形花の垂れ下がった房(総状花序)は人の目を引かないではおかない。
もっとも花の色にはほかに白や淡紅色のものがあり、八重咲きのものもある。
 ふつうにフジというのは一名ノダフジのことで、大阪の野田が名所であったところからその名がある。
摂津名所図会』によれば太閤秀吉はここでフジの花見をしたという。
一方、ヤマフジまたはノフジというのはわが国中部以西に自生し、花期がノダフジよりも少し早い。
時に人家に植えらえることもある。
(『四季の博物誌』荒垣秀雄編 朝日文庫 1988年)
 ノダフジの学名はウィスタリア・フロリブンダ(ウィスターという人の名前にもとづく沢山の花)、ヤマフジの学名はウィスタリア・ブラキボトリス(短い房)というが、よくその特徴を表している。
両者のはっきりした見分け方はつるが左巻き(下から見上げて左巻きでのぼる)なのがノダフジ、右巻きがヤマフジで、花のない時でもはっきり区別できる。
 つる植物には一年生、多年生、草本性、木本性、常緑、落葉、つるとしてののぼり方の違いなどがある。
フジは多年生、落葉の木本性つる植物で、茎自身ではいのぼる性質があり、巻きひげを出してのぼるノブドウや吸盤で幹などに足場をつくりながらのぼるキヅタのようなつる植物とは、形態的にも生態的にもちがう。
 フジには長いつるになる枝と、短くてつるにならない枝と二種類があり、つるになる長い枝は節間が長く、葉がまばらにつく。
つるにならない短い枝は、節間が短く、葉がたくさんかたまって付く。
長い枝は木の幹に巻きつきながら伸び、次の年にはこの長い枝であるつるに多くの短い枝がついて葉をたくさん付け、年々着実に上昇していく。
コナラ、クヌギなどの比較的明るい林、マツやスギの若い造林地、竹林などに多く見られ、木の幹に食い込んで、締め上げるような格好になる。
竹の稈(かん)に巻きついたフジづるが竹を折ってしまうこともある。
こういう点から、フジはクズなどとともに林業的には有害な植物と考えられ、若い造林地でのつるきりの作業の対象になる。
造林地が古くなったり、二次林が遷移して暗い林になると、同じつる植物だが、テイカカズラのような暗いところでも平気なものに生活の場をゆずっていく。
 フジは林業上は歓迎されないが、花期に山を歩いていてその花の房に接した時にはほっと心がなごむ思いがする。  (沼田 真)
(『四季の博物誌』荒垣秀雄編 朝日文庫 1988年)
スズメが桜を訪れているのは、桜にとって害虫などをさがしているのだと思います。
フジが有害な植物になっているようにスズメも害鳥としてみられることがあります。
子育ての時期は、ヒナのために虫などを捕らえますし、冬の時期は草の種を食べてくれます。
その意味では、益鳥といえます。

スズメの成長」(中学)
  人間の近くで暮したいスズメ

 一方、スズメは常の人間の近くで暮したいらしい、という研究例もあります。
 古いところでは、内田清之助が大正時代に記した本に、「北海道の開拓に伴ってスズメが増えたという」などの記述があります。
これは畑を作ったことでスズメの餌場が増えたと解釈することもできますが、素直に、「スズメは人間の近くで暮すことを好む」と解釈することもできるのです。
実際、廃村になって住民がいなくなると、スズメが姿を消したという観察も、同書には記載されています。
これも農耕地が放棄された結果、スズメの好む環境がなくなったのだと考えることもできますが、そんなにわずかな間に農耕地が森林になったりはしません。
スズメが休耕田などの草地を利用することを考えても、しばらくは無人の村落に住み続けていいように思います。
してみると、スズメはどうやら、人間が近くで活動しているのが好きなのではないか、とも考えられるのです。
(『鳥類学者の目のツケドコロ』松原始 ベレ出版 2018年)
 これを裏づけるような研究があります。
植田・高木による、林内でのスズメの営巣の記録です。
スズメは民家の隙間に営巣することが多いのですが、この論文では、猛禽の巣に営巣した例が記録されています。
猛禽の巣は大きくて分厚く、枝を積み上げたものですから、その隙間にスズメが営巣したわけです。
  これだけなら「そいういう構造が好きなんだね」でおしまいですが、奇妙なのは、古巣ではなくてアクティブな巣、つまり、今まさに使っていて、頭上に猛禽がいるような巣に営巣した事例のほうが多かったことです。
トビならまだ大丈夫かもしれませんが、ツミの巣にも営巣しているのは驚きです。
ツミはハイタカ属の小型の猛禽で、スズメはばっちり、ツミの餌サイズですから、頭上に天敵がいる状況を好んで営巣しているようだ、ということなのです。
 これは極めて奇妙に思えますが、植田らは、ツミの巣に近づく外敵はツミが撃退してくれるので、スズメはその恩恵に預かることができるのだろう、と考察しています。
たしかに猛禽をガードマンにしておけば大抵の相手は手出しできませんが、それにしても大胆な。
とはいえ、猛禽の巣の本当に近くではあまり狩りをしないという意見もあるので、我々が考えるよりは安全なのかもしれません。
  スズメは減っているのか?

 スズメは基本的に何かの隙間に営巣する鳥ですが、人家近くの場合、屋根瓦の隙間や壁穴、戸袋の中、換気口といった空間に営巣することがよくあります。
昔の家は木造でスカスカでしたし、粗雑な物置小屋なんかもありましたから、スズメにとって営巣場所に困ることはなかったでしょう。
スズメにとって人里とは、水田の周囲で餌が採れて、人家を利用すれば営巣できて、しかも人間が外敵に対する防御になる、そういった場所だったわけです。
日本は長らく農業国であり、江戸時代には人口の過半数が農民であったことを考えれば、その頃の日本にはスズメの生息場所も多かったでしょう。
 現在は都市化によって人間の居住地域が広がりました。
ですが、どうやらスズメの数は減少しています。
スズメの個体数に関して三上修の一連の研究に詳しいのですが、ここで簡単に紹介しましょう。
 鳥の個体数が増えているか、減っているかを判断するのは簡単なことではありません。
「減っているんじゃないか」といった感覚はきっかけとして大事にすべきものですが、それが実際に減っているのか、減っていたとしても一地域や一時期だけなのか、広域的なものなのか、それを知るのは簡単ではありません。
また、鳥の個体数を調べるのも決して簡単なことではありません。
日本にいるスズメの数を全部数えるなどというのは非現実的です。
 スズメの個体数を調べるために三上らが行なった方法は、日本をいくつかの環境に区分し、環境ごとの平均的なスズメ密度を調べるという方法でした。
あとは環境ごとの面積を掛け算して、推定個体数を計算することができます。
実際には個体よりも巣を数える方が簡単だったとのことで、巣の数に基づいて計算されています。
  密度について面白いのは、農地と住宅地で平均値にあまり差がなく、やや住宅地に多いことです。
100メートル四方に農村で4.62巣、住宅地で4.91巣となっています。
一方、商用地、すなわち高度に都市化した環境では2.39巣と、明らかにスズメが少なくなっています。
また、スズメがいないと見なされる場所も調査されていますが、これはつまり、日本の面積の70%近くを占める森林です。
三上らの調査によって、人間の居住しない森林にはスズメがいないことを確認しています。
 この研究の結果、日本のスズメは700万から1100万巣で、もっともありそうなありそうな値として895万2347巣と推定されました。
ざっと900万巣ですが、スズメは一夫一妻なので、1800万羽と推定できます。
巣立ちビナがいる時期なら1ペアにつき、1,2羽のヒナを連れているので、ざっと数千万羽といったところだろうと推定しています。
当然、誤差はあるでしょうが、千万羽の単位……何百万羽や何億羽ではない、という推定は妥当なものだと考えられています。
 これを多いと感じるか、少ないと感じるかは人によるでしょうが、私はずいぶん少ないのだな、と思いました。
スズメはあれほど群れているように思うのは、日本の人口よりも少ないのです。
 では、増えているのか減っているのか。
過去に戻って調査を行うことはできないので、これについてはさまざまな方法で間接的に検証するしかありません。
例えば探鳥会の記録などです。
三上らは探鳥会の記録、農業被害統計、狩猟統計、鳥類標識調査から、スズメの個体数の変動の傾向を大づかみに把握しようとしました。
 ですが、これらの記録は完全ではありません。
探鳥会の記録は重要ですが、スズメのような普通種はきちんと計上されていない場合があります(ちなみにカラスも同じ理由で記録を探しにくい鳥です)。
ですが、長期間にわたって、同じ場所で同じ要領で調査を行っており、スズメもちゃんと記録している場所があったとのことです。
 これらの記録を見ると、記録された個体数はこの20年で減少、農業被害も狩猟統計も激減しています。
ですが、ここから即座に「スズメが減少した」と言えるわけではありません。
個体数の記録がある場所は限られていますから、日本全国で減少したとは言えません。
また、農業被害についてはスズメの餌が変わったとか、防鳥技術によって被害が減っただけかもしれません。
狩猟についても、狩猟人口が減ったために獲物も減っただけかもしれません。
三上らはこのような論拠が間接的であることを十分に考慮したうえで、それでもスズメは減っているだろうと結論しています。
(『鳥類学者の目のツケドコロ』松原始 ベレ出版 2018年)