梅の実がなりだした
色も香(か)も変(かわ)らぬ宿の花盛(ざか)り 変わらぬ宿の花盛り
誰(たれ)見はやさんとばかりに まためぐり来て小車(おぐるま)の
我とうき世に有明(ありあけ)の 尽きぬや恨(うら)みなるらん
よしそれとても春の夜の 夢の中(うち)なる夢なれや 夢の中なる夢なれや
年々歳々人は老い,故人となってゆく世の中に,
色も香も変らず咲き匂うているのはわが宿の桜だけ。
これを誰かが賞翫(しょうがん)することあろうかと,
それだけを頼みにして過ごすしばしの間に,
いつしか新しい年が小車(おぐるま)のようにめぐり来て,
みずからこの憂き世に住みおおせないのが何よりも恨めしい。
だがままよ,花の盛りとても所詮(しょせん)は春の夜の夢,
夢の中で見る夢のようにはかないものだ。
(『新訂 閑吟集』浅野健二校注 岩波文庫 1989年)
カンサイタンポポは寝坊なのかな…(*^ー゜)
今朝は,曇り空。夜には雨が降るみたい…
(『中城ふみ子歌集』菱川善夫編 平凡社 2004年)
髭をのばしているのではない(*゜∀゜*)
新居作りに忙しいシジュウカラ♀
さすたけの 君がすすむる うま酒(ざけ)に 我酔(われゑ)ひにけり
あなたがすすめてくれるおいしい酒に,
私はすっかり酔ってしまった,そのおいしい酒にね。
(『良寛 旅と人生』松本市壽編 角川文庫 2009年)
解良栄重(けらよししげ)の『良寛禅師奇話』2・3段にある話。
良寛さまはお酒が好きだった。
とはいうものの,度を過ごして酔狂になる様子は見たことがない。
また,好々爺(こうこうや)のお百姓さんとも
割りカンで酒を買ってきて飲むのが好きだった。
それも,あなたが一杯飲めば私も一杯というふうに,
杯(さかずき)の数も平等になるよう気を配っていた。
また,タバコも好んで吸っていた。
最初のうちはキセルやタバコ入れなど,自前のものを持たなかった。
人の持ち物を借りて吸い,のちに自前のものを使うようになった。
(『良寛 旅と人生』松本市壽編 角川文庫 2009年)
日本で最も身近なキク科の雑草の一つであろう。
都会の真ん中でも,ちょっとした隙間に生えて花を咲かせる。
春が主な花期であるが,夏でも秋でもずっと咲いていて,
タンポポのように白い冠毛(かんもう)を付けた
小さな果実を風に乗せて飛ばすので,
煉瓦の隙間であろうと何であろうと,
根を張ることができる場所ならどこにでも生える。
(『スキマの植物図鑑』塚谷裕一 中公新書 2014年)
植物にとって,居心地の良い,幸福な場所の一つが,
本書のテーマ,「スキマ」なのである。
ここでいうスキマとは,文字通り,コンクリートの裂け目,
アスファルトの割れ目,石垣の隙間,ブロック塀や電柱の根元,といった,
私たちの暮らしのごく身近な隙間のことだ。
ちょっと周囲に目を向けてみていただきたい。
大都会の真ん中であっても,そこには
豊穣(ほうじょう)な緑の世界が広がっているはずである。
埃っぽくて騒がしい環境のなかで,一見過酷に見えるそうした隙間は,
植物にとって,幸せな楽園であるのが見えてくるだろう。
その証拠に,じつにたくさんの種類の植物がこうした環境で暮らしている。
(『スキマの植物図鑑』塚谷裕一 中公新書 2014年)
山家集 上 春 89
年を経て 同じこずゑに 匂へども 花こそ人に あかれざりけれ
長年の間桜の花は同じ梢で咲きにおうけれども,人にあきられることはないよ。
自分も長年同じ所に住んでいるが,すっかり人にあきられて誰も訪れてはくれない。
(『山家集』西行著 後藤重郎校注 新潮社 1982年)
ハナカイドウ(花海棠/バラ科リンゴ(マルス)属)
原産地中国
4月鮮やかな淡紅色のの半八重の花を短枝の先から数個ずつ下垂し,
樹一面に咲かせる。
花柄が長く花が垂れ下がって咲くことから
スイシカイドウ(垂糸海棠)の別名を持つ。
中国では古くから親しまれ,日本への渡来は18世紀初め,
庭木や盆栽として利用されてきた。
(『庭木・街の木』解説:岡部誠・堀越禎一 写真:巽英明 小学館 1999年)
十市皇女(とをちのひめみこ)の薨(かむあが)りましし時に,
高市皇子尊(たけちのみこのみこと)の作りませる御歌
山振(やまぶき)の立ち儀(よそ)ひたる山清水(やましみづ)酌(く)みに行かめど道の知らなく
山吹の花が美しく飾っている山の泉を酌みに行って蘇(よみがえ)らせたいと思うのだが,
道を知らぬことよ。
〔日本書紀にいうことには「天武七年四月七日に十市皇女は突然発病して宮中で没した」という〕
(『万葉集(一)』中西進訳注 講談社文庫 1978年)
春の野原に一面に咲き広がる様子はとても気持ちのよいものです。
ゲンゲのようなマメ科の植物は空気中の窒素を取り入れて
肥料を作り出す能力を持っているので,
田を肥やすために昔から盛んに植えられてきました。
その歴史は古く,室町時代に中国からもたらされたのでそうです。
化学肥料が用いられるようになってすっかり影をひそめていたのですが,
最近有機農業が盛んになってきたことを受けて,
あちこちでゲンゲ畑の光景が復活しているようです。
吹く風も気持ちいい頃なので,ゲンゲ畑でちょっと一休みしてはいかがですか。
●分布:帰化植物(中国原産)
●花期:4月~6月
(『花のおもしろフィールド図鑑(春)』ピッキオ編著 実業之日本社 2001年)
たんぽぽも「生物季節観測」(大阪管区気象台)になっているのですよね(*^-^*)
ムラサキケマン
年を経て 同じこずゑに 匂へども 花こそ人に あかれざりけれ
長年の間桜の花は同じ梢で咲きにおうけれども,人にあきられることはないよ。
自分も長年同じ所に住んでいるが,すっかり人にあきられて誰も訪れてはくれない。
(『山家集』西行著 後藤重郎校注 新潮社 1982年)
原産地中国
4月鮮やかな淡紅色のの半八重の花を短枝の先から数個ずつ下垂し,
樹一面に咲かせる。
花柄が長く花が垂れ下がって咲くことから
スイシカイドウ(垂糸海棠)の別名を持つ。
中国では古くから親しまれ,日本への渡来は18世紀初め,
庭木や盆栽として利用されてきた。
(『庭木・街の木』解説:岡部誠・堀越禎一 写真:巽英明 小学館 1999年)
カワラヒワ
巻第二(挽歌) 158 十市皇女(とをちのひめみこ)の薨(かむあが)りましし時に,
高市皇子尊(たけちのみこのみこと)の作りませる御歌
山振(やまぶき)の立ち儀(よそ)ひたる山清水(やましみづ)酌(く)みに行かめど道の知らなく
山吹の花が美しく飾っている山の泉を酌みに行って蘇(よみがえ)らせたいと思うのだが,
道を知らぬことよ。
〔日本書紀にいうことには「天武七年四月七日に十市皇女は突然発病して宮中で没した」という〕
(『万葉集(一)』中西進訳注 講談社文庫 1978年)
シジュウカラ♂
アオジ♀
ゲンゲ マメ科春の野原に一面に咲き広がる様子はとても気持ちのよいものです。
ゲンゲのようなマメ科の植物は空気中の窒素を取り入れて
肥料を作り出す能力を持っているので,
田を肥やすために昔から盛んに植えられてきました。
その歴史は古く,室町時代に中国からもたらされたのでそうです。
化学肥料が用いられるようになってすっかり影をひそめていたのですが,
最近有機農業が盛んになってきたことを受けて,
あちこちでゲンゲ畑の光景が復活しているようです。
吹く風も気持ちいい頃なので,ゲンゲ畑でちょっと一休みしてはいかがですか。
●分布:帰化植物(中国原産)
●花期:4月~6月
(『花のおもしろフィールド図鑑(春)』ピッキオ編著 実業之日本社 2001年)