2019年7月28日日曜日

台風が過ぎてくれて…

蒸し暑い朝、幼稚園くらいの女の子が
虫取りの網とカゴを持って元気に走っていきました。
その後を追いかける?ご夫婦を見ると
よく挨拶をするお二人でした。
お孫さんの元気さにはついていくのが大変そうでした(*´▽`*)
この猛烈な暑さ 週末まで続きそう 熱中症に十分注意して!
お江戸でござる 現代に活かしたい江戸の知恵』より
かかあ天下」の続きを転記しますφ(..)
 式亭三馬(しきていさんば<1776~1848>)の『浮世床(うきよどこ)』には、
どてらを着て懐に赤ん坊を入れてあやしている男性が出てきますが、
その様子は、とても手慣れた感じです。
江戸では少しも恥ずかしいことではありません。
(『お江戸でござる 現代に活かしたい江戸の知恵
  杉浦日向子監修 深笛義也構成 ワニブックス 2003年)
 家事育児は、手の空いた方がするのが当たり前で、
江戸では、男性に付加価値がないと妻をもらえません。
料理が上手、マッサージが上手など、
何か一芸に秀でていないといけないのです。
江戸の職業では、男女の区別はあまり無く、
江戸初期には、女性の大工もいたくらいです。
逆に、女性の仕事と思われるような、
仕立て屋・髪結いなどにも男性がいます。
 女性にしかできない仕事といえば、産婆でしょう。
とても大切にされた職業で、産婆に限っては、
大名行列の先を横切ることを許されています。
 妻たちは、才覚を働かせてアイディアビジネスも行っています。
野菜の切れ端などを使って漬け物を作ったり、
布の切れ端を使って巾着などの小間物(こまもの)を作ったりします。
仕入れにお金をかけず、サービスと愛嬌で売ってしまうのです。
妻のほうが収入の多い家も珍しくありません。
アルバイト的に洗濯や家事の代行業をするするなどしても、
単身赴任者が多い江戸では女性が一生働き口に困ることはありません。

 上流階級に行くほど、
女性は「家」という制度に押し込められた存在になってしまいますが、
家や財産、土地といった縛るもののない庶民は、自由な夫婦関係です。
男女が平等で、共によきパートナーとなっています。
 女性が結婚したいと思うのは、
おもしろく家を明るくしてくれる男性で、
収入はあまり関係ありません。
自信のない男性は、駄洒落(だじゃれ)をいくつか習ってから嫁をもらいます。
  浮気ぐせがひどい、博打ばかりやっている、酒ぐせが悪い、働かない
――そんな夫から妻は、三行半をもぎ取ろうとしますが、
それには様々な方法があります。
 最初に試みるのが、わざと女性が家事を怠ける、
浪費するなどして、三行半をうながす手です。
それでも駄目な場合は、夫からもらった櫛(くし)を投げて返します。
櫛は女性の貞節の象徴なので、
それを投げ返すのは「お前さんなんかもう見限ったよ」という意味なのです。
鈍感な夫でも、これをやられれば気がつきます。
それでも駄目なら、髪の先を切って夫に投げつけます。
普通はそれでおしまいです。
切り髪のまま、奥さんを家に置いておくわけにはいかないので、
三行半を書かざるをえません。

 板橋に「縁切り榎(えのき)」というものがあり、
ここに縁切りの願をかけに行くのも、一つの方法です。
その榎の木の皮を剥いできて、
亭主に飲ませると別れやすいといわれています。
いつも女性が来て皮を剥いでいくので、
皮が再生する暇がなく、ほとんど丸裸になっています。
お茶に、榎の皮がうっすらと浮かんでいたら、
亭主は気がつかなければいけません。
  それでも三行半を書いてもらえない時は、
関所、代官所、武家屋敷に駆け込んで離婚を願い出ます。
 最後の最後の手段が「駆け込み寺」とも呼ばれる縁切り寺に行くことで、
鎌倉松ケ岡(まつがおか)の東慶寺(とうけいじ)
上州世良田村(じょうしゅうせらたむら)の満徳寺(まんとくじ)の二つがあります。
 東慶寺は江戸から13里(50キロ強)なので、
女性の足なら二日半で行けます(満徳寺は21里)。
東慶寺は髪を切らなくてよく、2年間いると自然離婚が成立しますが、
満徳寺はきちんと剃髪(ていはつ)して、3年間いなければならないので、
東慶寺の方が人気があります。
 しかし、東慶寺での生活も楽ではありません。
入る時には5両以上の「冥加金(みょうがきん)」が必要で、
その額によって、三段階のランク付けがされます。
一番上の格が「上臈衆(じょうろうしゅう)」で、30両くらいかかります。
二番目が「お茶の間」、一番下が「御端(おはした)」で、
これはお金がなくても入れますが、厳しい仕事が待っています。
逃亡を企てる女性もいますが、たちまち捕まってしまいますし、
それが度重なると、寺法に違反したということで、
丸坊主丸裸にされ、門の外に突き出されてしまいます。
 ですから、寺に駆け込むのは、身投げする代わり、
つまり「死ぬよりまだまし」という、最後の最後の方法です。
「亭主が暴力的で、このままだと身の危険を感じる」といった場合の手段なのです。
 駆け込み寺に入る時、もし後ろから亭主が追いかけてきていたら、
草履でも簪(かんざし)でも、自分の身につけているものを、
門の中に投げ込みます。
それが入ればセーフです。
女性は保護され、亭主が勝手に中に入ることはできません。
 駆け込み寺には、今の家庭裁判所のような機能もあります。
二人並べて事情を聞いて説得し、
その結果、仲直りして二人で門を出てくることもあります。
中で別れることが決まった場合は、
男性が三行半を書いて離縁が成立します。
男性が三行半を拒否した場合に、女性はお寺に入ることになります。
 二人の話を聞いただけではわからない場合は、
仲人や実家の親たち、時には大家さんにまで呼出し状が行きます。
裁定には、一カ月くらいかかることもあります。
そんな時には寺に門前にそれ専門の宿屋があり、
そこに泊まることになります。
その費用は、当事者が全部支払うので、
莫大な出費になってしまいます。
このような面倒な手続きを逃れるために、
婚姻の条件として「三行半の先渡し」という方法が、
後々増えていくことになるのです。
(『お江戸でござる 現代に活かしたい江戸の知恵
  杉浦日向子監修 深笛義也構成 ワニブックス 2003年)
縁切榎」(板橋区)

東慶寺 歴史

縁切寺満徳寺
父もキリギリスの仲間に出会っていました(^^)v

26日の記事で紹介した三浦百惠さんの
時間の花束 Bouquet du temps 幸せな出逢いに包まれて
を購入しました(^^)v
キルトには興味がありますが、本を買うのは少し…(^^ゞ
でも、買ってよかったです。
キルトのことはもちろんですが、
引退してからの日々を綴っていて興味深かったです。
近影の写真を見ていると、とっても笑顔が素敵でした。
書店で平積みになっているので
立ち読みをされるといいと思いますよ(*´▽`*)