2016年6月28日火曜日

しとしと雨が降りつづき…

 薫(くん)じぬるはすや浄土(じょうど)の九品(ここのしな)

眼前の匂うような蓮の花を見て,極楽浄土にあるという九品(くぼん)の
蓮台(往生の九つの等級)の上品上生(じょうぼんじょうじょう)の蓮を想像する。
 (『捨女句集』捨女を読む会編著 和泉書院 2016年)
  スイレン科の多年草。
インド原産。
池沼、水田に栽培。
花は多弁で、紅、白、淡紅色など。
昼咲き、夜にしぼむ。
果実の入った花床がハチの巣に似ているところから「はちす」の名がある。
実と根茎は食用。

(『くさぐさの花』高橋治 朝日新聞社 1987年)
前向ける雀は白し朝ぐもり  中村草田男
(『日本の詩歌 19』中央公論社 1979年)
かくれ咲くひとつの蓮や稲の花  秋桜子
(『日本の詩歌 19』中央公論社 1979年)
蓮池の浮葉水こす五月雨
(『明治文学全集53 正岡子規集』筑摩書房 昭和50年)

蝸牛(かたつぶり)何おもふ角の長みじか

▼かたつむりよ、お前はその小さな角の片方を長くしたり短くしたり、
一長一短を決しかね、何を思い案じているのか、という揶揄。
(『蕪村全集 第一巻 発句』尾形仂・森田蘭/講談社 1992年)
ヤブミョウガ
ヤブカンゾウ
 巻第十一(寄物陳思) 2475
わがやどは甍(いらか)しだ草生(お)ひたれど恋忘(こひわす)れ草見るにいまだ生ひず

我が家の屋根にはシダ草が生えているが,恋忘れ草は見てもまだ生えて来ない。
▽「恋忘れ貝」は五例(964など)あり,「忘れ草」も334などに見えるが,「恋忘れ草」はここのみ。
(『万葉集(三)』佐竹昭広他校注 岩波文庫 2014年)
 巻第七 1255
  時に臨める
月草(つきくさ)に衣(ころも)そ染(し)むる君がため綵色(まだら)の衣摺(す)らむと思ひて

まず月草で衣を染めることだ。
あなたのために色どり美しい衣を摺ろうと思って。

時に臨める その折々の歌。民衆の生活上の折々。この歌は祭礼の折か。
綵色の衣 色模様の衣。
摺らむ こすり付けて染める。当時通常の染法。
(『万葉集(二)』中西進 講談社文庫 1980年)



ヒメガマのようです。
 糸蜻蛉(いととんぼ) 
灯心蜻蛉(とうしんとんぼ) とうせみ 豆娘(いととんぼ)
[名前の由来・文化]
体が糸のように細いところから名付けられた。
「灯心蜻蛉」は体が行灯(あんどん)の心(しん)のように細いため。
「とうすみ」とは「灯心」が転じたもの。

(『俳句の鳥・虫図鑑』復本一郎監修 成美堂出版 2005年)

露ちるやむさい此(この)世に用なしと
(『新訂 一茶俳句集』丸山一彦校注 岩波文庫 1990年)

 紫陽花(あぢさゐ)が地に頭(かしら)をば垂れたればさもせまほしくなりぬ雨の日
(『与謝野晶子歌集』与謝野晶子自選 岩波文庫 1985年)
バラ園のバラも萎れ始めていたけど
雨に濡れて生き生きしていました(o^^o)




 咲きあふれこぼるるときに容赦(ようしゃ)なく花はおのれを崩し終りぬ  斎藤 史
(『日本の詩歌 29 短歌集』中央公論社 1979年)

 昼顔に草鞋を直す別れ哉  正岡子規
(『現代日本文學全集6』筑摩書房 1955年)

 柘榴咲く傷すけられし人の言
(『しづ子 娼婦と呼ばれた俳人を追って』川村蘭太 新潮社 2011年)