2023年12月5日火曜日

ポツポツと

雨が降りそうな曇り空
歩いているとポツポツと雨が降り出しました。
とはいってもほんのわずかだったけど
これから天気は下り坂…
昨日、かかりつけの病院で新型コロナのワクチンを接種しました。
副反応は、注射をしたところに痛みがありますが、発熱はありません。
散歩に行くときはハンドルを回すときに軽い痛みを感じましたが、
夕方、買い物に出かけたときは忘れるくらいでした。
今でも、新型コロナを「ただの風邪」とネットに書き込む人がいるのですが……
風邪を侮って無理をすると肺炎になります。
養生訓 巻一 総論上
 畏れること


 健康を保って養生するのに、ただ一字大切なことがある。
これを実行すると長生きして病気をしない。
親には孝になり、君には忠になり、家を保ち身を保つ。
何をやっても間違わない。
その一字とは何か。
それは畏という字である。
畏れることは身を守る心法である。
ことごとに注意して気の動くままにせず、過失のないようにし、いつも天道を畏れ、慎んでしたがい、人欲を畏れて、慎んでがまんすることである。
私がこういうのは、畏れるということは、慎みに向かう出発点だからである。
畏れると慎みが生まれる。
畏れないと慎みがない。
だから朱子(しゅし)も晩年に、敬の字を説明して、敬は畏という字に近いといっている。
(『日本の名著14 貝原益軒』松田道雄責任編集 中公バックス 昭和58年)
3章 新型コロナウイルス
2 最初のコロナウイルスの発見
 風邪ウイルスの起源


 現在はヒトに単なる風邪を起こすウイルスでも、かつては「新型ウイルス」だったはずである。
二つの風邪ウイルスは、いつ、どのようにしてヒトに感染するようになったのだろうか。
2005年、ベルギー、ルーベン大学のリーン・ファイヘンらは、OC43ウイルスのゲノム解析の結果を発表した。
当時は、SARSの発生が契機となってヒトコロナウイルスへの関心が高まり、その一方でヒトゲノム計画が完了し、高速で塩基配列を読むことができる「次世代シークエンサー」による遺伝子解読技術が著しく進展していた時期であった。
(『ウイルスの世紀 なぜ繰り返し出現するのか』山内一也 みすず書房 2020年)
解析によると、OC43ウイルスのゲノムはウシコロナウイルスにきわめてよく似ていた。
遺伝子変異の速度に基づいた分子時計で解析した結果、両ウイルスは、1890年頃に共通の祖先ウイルスから分かれたと推定された。
ちょうど1870年から90年頃に世界各地のウシで肺炎が流行しており、その主な原因として、ウシコロナウイルスが疑われていた。
また、ヒトの間でも1889年から90年にかけて世界的に肺炎が流行していたことから、ファイヘンは、この流行がウシコロナウイルスの感染より起きた可能性を指摘している(*)。
この流行の原因は、それまではインフルエンザによると言われていた。
その根拠となったのは、1957年に起きたアジア風邪のパンデミックが、それまで流行していたH1N1インフルエンザウイルスではなく、H2N2という新しいタイプのインフルエンザウイルスによるとわかったことだった。
H2ウイルスは新型と考えられたが、オランダで70歳以上の高齢者の一部にH2ウイルスの抗体が見つかった。
そのため、1889年から90年にかけての肺炎はインフルエンザが原因だったと推測されたのである。
このほかにインフルエンザ説を支える証拠は皆無だった。
もし1889年から90年にヒトの間で流行したのが新型コロナウイルスだとすると、そのウイルスがヒトの間で感染し続けるうちに徐々に弱毒化し、風邪の原因ウイルスの一つになったと考えられる。
 もう一方の風邪ウイルスである299Eについては、2016年、ドイツ、ボン大学のクリスティアン・ドロステンらが、コウモリからラクダを介してヒトに感染するようになった可能性を報告している。
中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの調査研究の際、2014年から2015年にかけてサウジアラビアとケニアで採取したヒトコブラクダの咽頭ぬぐい液から、229Eに類似したウイルスの多量の遺伝子が検出されたためである。
また、229E類似ウイルスに対する抗体が、サウジアラビアとアラブ首長国連合のラクダの50%以上から検出され、このウイルスが中東地域のラクダに常在していることが示された。
これらのサンプルはすべて健康なラクダから採取されていたので、229E類似ウイルスはラクダに病気を起こしていないと考えられている。
また、サウジアラビアで採取した新鮮なサンプルから分離された229E類似ウイルスは、ヒトの受容体に結合できるアミノ酸配列が存在することから、ヒトに感染する能力があると推測された。
 彼らは、2009年、アフリカのコウモリからも229Eウイルスに近縁のウイルスを分離していた。
このコウモリのウイルスと229Eウイルス、およびラクダ由来の229E類似ウイルスについてゲノムの系統樹を作製した結果、コウモリのウイルスがラクダに感染して229E類似ウイルスの祖先が生まれたと推測された。
ラクダがアフリカ大陸に持ち込まれたのは、5000年以上前のことである。
そのため、それ以降にコウモリからラクダにウイルスが感染し、このラクダのウイルスがヒトの間でパンデミックを起こした結果、229Eウイルスが生まれた可能性がきわめて高いとドロステンは語っている。
 OC43ウイルスと229Eウイルスは、いずれもコウモリから身近な家畜を介してヒトに感染するようになり、ヒトのウイルスになったということになる。
 なお、風邪の原因としては、ほかに2004年にオランダでNL63ウイルスが、2005年に香港でHKU1ウイルスが分離されている。

*)この時の流行を岡本綺堂が随筆『江戸っ子の身の上』で次のように紹介している。「この春はインフルエンザが流行した。日本で初めてこの病が流行り出したのは明治23年(1890)の冬で、24年の春に至ってますます猖獗(しょうけつ)になった」「その当時はインフルエンザと呼ばずに普通はお染風といっていた」。
(『ウイルスの世紀 なぜ繰り返し出現するのか』山内一也 みすず書房 2020年)
今朝の父の一枚です(^^)/

第4章 落ちる、色付く、呼吸する。葉っぱの謎
 Q26樹木によって紅葉の色調が異なるのはどうしてか?


…前略…

紅葉の仕組みについて説明しておきましょう。
 葉はもともと、クロロフィル(緑)とカロテノイド(赤)が含まれていますが、クロロフィルのほうが多いので、通常、葉は緑色に見えます。
クロロフィルは、葉の細胞内の葉緑体の中にあり、太陽光エネルギーを生化学エネルギーに変える働きをしています。
葉緑体はその生化学エネルギーを使って光合成をしています。
 秋になって気温が下がると、葉緑体の働き(光合成活性)が低下し始めます。
光合成活性が低下すると、同じ太陽光の照度でも、強すぎる(光エネルギー過剰)状態になります。
過剰の光エネルギーは葉緑体で活性酸素を生ずるように作用し、これが葉緑体の機能をさらに低下させ、クロロフィルを分解するようになります。
こうして葉は老化していきます。
 葉が老化し始めると、植物は葉を落すために、柄(葉柄<ようへい>)の付け根(基部)に「離層」とよばれる細胞層をつくります。
離層がつくられると、葉と枝を結ぶ通路が遮断され、枝から葉への水の供給はストップするし、葉から枝への養分(糖など)の移動(転流)もできなくなって葉に糖がたまってきます。
このような状態になると、アントシアニンがよくつくられるようになります。
 アントシアニンが何を合図に合成されるのかはまだ明らかにされていませんが、一般に、太陽光が強いとき(晴天)、氷点にはならない程度の低温、そして軽い水不足が合成(紅葉)を促進します。
…後略…
(『これでナットク! 植物の謎』日本植物生理学会編  ブルバックス 2007年)