2016年7月20日水曜日

夏空が広がり

 〔欠題詩群(二)〕

あかんぼが
生長するすがたはうたです,
ちよっとした眸
(め)のやりかた
わづかにものおどろき
はっとしてうんどうをやめたときのしせい,
あらゆるあたらしいけいけんを
おいしいものゝのようにたべてゆきます
おどろきながら
ぜんりょくをはりつめながら,
まいにちまいにち
あかんぼはいさましい発見者です,
だが
やがて おほきくなってしまいます,
なぜにんげんはおほきくならねばならぬのか
わたしはしりません
なぜ 神さまからとほざかることを
生長といふのか
わたしはしりません,
やがて,
どんなあかんぼでも
それみづからうたでないときがきます,
しかし,
それすらをも詩
(し)とするのは
ふかいふかいにんげんのかなしみでせう,
芽のいづるころは
それみづからがうたである
くさは
うたひながら芽になってくる
あたらしい芽のかたちは
くさのこころのリズムのかたちです,
あのままに
くさのこころはながれてゐます,
やがて
くさはおほきくなってしまふ,
そのときは
もはやくさみづからはうたではない
だが それすらを詩にするのは
ふかいにんげんのかなしみでせう

(『八木重吉全詩集1』)
   一番

あなたのお母さんは
人がどう言おうと
あなたには一番よいお母さん
わたしのお母さんは
人がどう思おうと
わたしには一番よいお母さん
だから世界中は
一番よいお母さんばかりだ

(『母 河野進詩集』聖恵授産所 1975年)
 蟬鳴くや報謝の銭の皆になる

○報謝 報恩を示す布施。
○皆になる なくなってしまう。尽きる。
井月自身の体験であろう。
(『井月句集』)
今朝はタイワンウチワヤンマに会えました(o^^o)


クサギ
夏の盛りに,枝先に花が丸く平らに集まって咲く。
個々の花は径2.5cm,花序の径は約20cmもある。
葉の異臭とは対照的に,花はジャスミンに似た芳香を放つ。
紅を帯びた袋状の萼から濃紅色の花筒が伸び,
5つに分かれた白い花びらが広がって長いしべを差しのべる。
つぼみは丸く膨らみ,夏の間に次々と開く。
甘い蜜は細い筒の奥にある。
届くのは,細いストローを持つ蛾や蝶だけだ。
白い色と芳香は闇を飛ぶ蛾へのメッセージ。
明るい昼に飛ぶアゲハ類には香りに加え,紅白の色の対比でアピールする。

(『野に咲く花の生態図鑑』)


  カマキリの目には偽瞳孔(ぎどうこう)という黒い点があり,
どこから見ても,この黒い点が見えるため,
まるでカマキリがこちらをにらんでいるように見えます。
しかし,これは本当の瞳孔ではなく,複数の人が同時に見ても,
どの人にもこの偽瞳孔を見ることができます。
 これは,筒状になった一つひとつの個眼のうち,
観察者と向きが一致したものだけ個眼の下にある
黒い部分が見えるために起こっているためです。
したがって,カマキリの複眼の電子顕微鏡写真では
表面の様子だけしか見えないために,
この偽瞳孔を写し出すことはできません。

(『昆虫の雑学事典』阿達直樹/日本実業出版社 2007年)
しょうじょうとんぼ【猩猩蜻蛉】
トンボ科の一種。
中形で,胸部は暗赤色,腹部は,雄は鮮赤色,雌は黄赤色。
翅は透明で,基部に黄赤色の斑紋がある。

(『広辞苑 第六版』)
 「クマゼミの羽化」(動画)
しょうじょう【猩猩】①㋐中国で,想像上の怪獣。
体は狗(いぬ)や猿の如く,声は小児の如く,
毛は長く朱紅色で,面貌人に類し,よく人語を解し,酒を好む。
㋑オラン-ウータンのこと。
②よく酒を好む人。大酒家。

(『広辞苑 第六版』)
今朝も暑いですが,湿気が60%程なので
風が吹くと涼しく感じます(o^^o)
夏雲の湧きて止むなき願望の内にいつしかわれを失ふ
(『中城ふみ子歌集』)
木の上から落ちたのかな(Fall in Love…(*^ー゜)♡)

オスの鳴き声に誘われたメスは,
鳴いているオスの近くにとまり,歩いてオスに接近していく。
それに気づいたオスは,鳴き声を「本鳴き」から
「誘い鳴き」という求愛のための鳴き方に変え,じりじりとメスに接近する。
オスはメスのすぐ下までやってきて,前足でメスの翅の先端をチョンチョンたたく。
この時,もしメスがオスを気に入らないと,
翅をばたつかせたりして交尾を拒否する。
しかしメスがじっとしていれば,オスは交尾することができる。

(『虫のおもしろ私生活』)
 早朝や夕方,小雨が降るような肌寒い日は,
いつもチョウがたくさん飛んでいるような場所に行っても,
空を舞うチョウの姿はほとんど見られない。
彼らは草の葉の裏などに,翅を閉じたままとまってじっとしているのだ。
体が小さいシジミチョウの仲間だと,頭を下にしていることが多い。

(『虫のおもしろ私生活』)
つゆ草の花を思へばうなかぶし我には見えし其の人おもほゆ 長塚節 
(『明治文學全集54 伊藤左千夫 長塚節集』筑摩書房 昭和52年)

な【項】首すじ。うなじ。
かぶし【傾し】《カブは頭》頭を傾ける。
「うな(首)かぶし汝(な)が泣かさまく」<記歌謡四>。

(『岩波古語辞典(旧版)』)

全身真っ赤になるのは大酒飲みよりも
下戸が飲めない酒を飲まされたときに赤くなる…
でも青くなるから
何時までも赤いのはやはり大酒飲みかな(*´∀`*)
河骨の蕾乏しき流れかな
(『明治文学全集53 正岡子規集』筑摩書房 昭和50年)