2016年10月28日金曜日

始終会えるからかな(^_-)

   十月の朝顔咲くや片思ひ  籏(はた) こと

 朝顔はだれでも知っている花である。
朝に咲く美しい花だからその名がついたが,英名もモーニング・グローリー。
その美しさは昼までとは持たず,午前中にしぼんでしまう。
普通は陰暦七月の七夕のころの花といわれ,牽牛(けんぎゅう)花の別名もある。
そして花言葉が「はかなき恋」だ。
 朝顔に仮託して思いを陳(の)べる寄物陳思の句である。
「正述心緒」「比喩(ひゆ)」とともに『万葉集』の相聞歌(そうもんか)の表現形式の一つだが,
俳句に適用されることも多い。
問題なのは10月に朝顔の花が咲いたことだ。
ずいぶん遅咲きで季節外れ,いくら美しく咲こうとも真っ当な評価はされないだろう。
それが<片思ひ>のやるせなさである。

  籏こと 1921~1966 東京生まれ。高女入学後の15歳で病床につき31歳まで入院。
石田波郷に師事。句集『命虔めり』。
(『きょうの一句 名句・秀句365日』村上護/新潮文庫 平成17年)

画像の朝顔はノアサガオで昼間でも咲いています(^^ゞ
花言葉は同じ「はかない恋・愛情の絆・明日も爽やかに」
    秋  

秋になって
けしきが だんだん うつくしくなってきた
ふざけたり
遊んだりしたくなった

(『八木重吉全詩集2』)

きつつきの木つつきし洞の暗くなりこの世にし遂にわれは不在なり  葛原妙子
(『現代の短歌』)

  コスモスに藍濃き衣を好み著(き)  三橋鷹女

 コスモスには全く同じつづりで宇宙という別の意味がある。
仏,独,スペイン語ではコスモスと濁らないが,英語ではコズモスと濁って宇宙を区別する人たちがいる。
途方もなく巨大なものと,衣(きぬ)ずれの風にもゆらぐほどの可憐な花が同じ名というのが面白い。

  コスモスを離れし蝶に谿(たに)深し  水原秋桜子

  コスモスに雨ありけらし朝日影  水原秋桜子

 この叙景の二句,単なる描写に止まっていない。
ストーリーがあって奥行きが深い。
殊に,後の句にはある種のエロティシズムが漂う。
 〝大正から昭和にかけての,やや古めかしいモダニズムといった感じの花である〟とは飯田龍太郎氏の言。

  コスモスや明治大正狭霧こめ  三橋鷹女

  コスモスの広きみだれに夜のとばり  中村汀女

 倒れ伏してまで美しい花は少ないが,そうなってもコスモスには風情がある。
圧倒的に美しいのはえびの高原である。
花がそよぐとあの霧島山系が揺らいで見える。

 キク科の一年草。
コスモスはギリシャ語の「飾り」「美しい」の意。
原産地メキシコから送られた先のスペインの植物園が名づけ親という。
のち英国で改良され、多くの品種が生まれた。
和名は「秋桜」。
(『くさぐさの花』高橋治/朝日新聞社 1987年)
四十雀すとんすとんとつゞけざま  田村木田 
(『図説俳句大歳時記 秋』角川書店 昭和39年)
(すとん「すとん」は踊り字)

今朝は,寒かったです。
四十雀も厚着をしているみたい(^^ )
しばらく行くと再び会えました♪
「シジュウ会えるカラ」と思えるくらい四十雀は,よく出会える小鳥です(^-^)

酔芙蓉紅(べに)ささやくと見る間かな
(『花句集』中村汀女 求龍堂 昭和58年)
白粉花咲かせチンドン稼業とす
(『俳句で綴る変哲半生記』)
  桃吹(ももふ)く 棉吹く
解説 ワタは花が終わると子房が発育してモモの実に似た形をした蒴果となる。
成熟して乾燥すると三つに裂けて,内部の白い棉毛を露出する。
これを開絮(かいじょ)と呼び,俳句では「桃吹く」または「棉吹く」という。
三,四日してから収穫する。

  山風に棉ふき出でてましろけれ  太田鴻村

(『図説俳句大歳時記 秋』角川書店 昭和39年)