2019年4月30日火曜日

面白かったな(^^)v

今朝は、雨が降っていたので耳鼻科を受診しました。
天気が悪い日は耳鳴りがひどい。
例年の暦通りに開院してくださったので助かりました(^^)v
リハビリ散歩に行かなかったのですが
平成最後の日なので元号とは関係ありませんが(^^ゞ
面白かった本を紹介します。
蜜蜂と遠雷』は直木賞と本屋大賞を受賞した時に
話題となり興味があったのですが
単行本は分厚くてチョッとな…と諦めていました。
そして忘れていたのだけど先日Eテレで
「蜜蜂と遠雷」 若きピアニストたちの18日
が放送されて感動していたら文庫本が出ていました!(^^)!
文庫本になるまで待っていたのは布団の中で読めることと
カバンに入れて電車の車内などで読めるからなんですが
読み始めると考えが甘かったと痛感!
と言うのは読み始めたらグングン引き付けられ
上巻はすぐに読了してしまい、
下巻を布団の中で読んでいると目がさえてしまって
睡眠の乱れが起きた(^^;
読んでいると目がかすんでしまうことが何度も…
これを人前で読むのは無理だった!
映画化(10月上映予定)もされているようですが
この作品を映画化するのはハードルが高かっただろうな…
恩田陸さんの作品で映画化された「夜のピクニック」は見て面白かった。
でも、先に映画を見た後に、本を手に取ったので楽しく読んだのだけど
今回は、本が先でそれぞれのイメージが出来あがっている。
大変のプレッシャーだろうな…
『蜜蜂と遠雷』ピアノ全集[完全盤]
文中に出てくる専門用語はもちろん
曲もほとんど聞いたことがない(^-^;
検索するとちょっと高いけど欲しくなった。
恩田陸さんの短編「祝祭と掃苔 入賞者ツアー」も入っている。
追記)
#07 恩田陸」(時間デザイン)

「中高生のための本の読み方 
 第5回 ピアノの「音」を表現する 大橋崇行」(ひつじ書房)

ブレハッチ×恩田陸『蜜蜂と遠雷』対談「ショパン演奏に潜む苦悩と美学」”(AERA dot.)
次に友達が映画を見て感動したとメールをくれた
宮下奈都さんの『羊と鋼の森』も読みたくなりました。
こちらも知らないことばかりだけど
読んでいるとぐんぐん惹き込まれていった。
この中で、
「板鳥さんはどんな音を目指していますか」
と聞かれて、原民喜の「砂漠の花」の一節をあげておられた。
そのエッセーが全集に収録されているので転記しますφ(..)
(いつものことですが、原文通りではありません)

  沙漠の花

 堀辰雄氏から「牧歌」といふ署名入りの美しい本を送つて頂いた。
私は堀さんを遠くから敬愛するばかりで、
まだ一度もお目にかかつたことはないのだが、
これは荒涼としたなかに咲いてゐる花のやうにおもはれた。
この小品集を読んでゐると、ふと文体について私は考へさせられた。
 明るく静かに澄んで懐しい文体、
少しは甘えてゐるやうでありながら、
きびしく深いものを堪へてゐる文体、
夢のやうに美しいが現実のやうにたしかな文体……
私はこんな文体に憧れてゐる。
だが結局、文体はそれをつくりだす心の反映でしかないのだろう。
 私には四、五人の読者があればいゝと考へてゐる。
だが、はたして私自身は私の読者なのだろうか、
さう思ひながら、以前書いた作品を読み返してみた。
心をこめて書いたものはやはり自分を感動させることができるやうだつた。
私は自分で自分に感動できる人間になりたい。
リルケは最後の「悲歌」書上げたときかう云つてゐる。
「私はかくてこの物のために生き抜いて来たのです、すべてに堪へて。
 すべてに。そして必要だつたのは、これだつたのです。
 ただしこれだけだつたのです。
 でも、もうそれはあるのです。あるのですアーメン」
かういふことがいへる日が来たら、どんなにいいだらうか。
私も……。
 私は私の書きたいものだけ書き上げたら早くあの世に行きたい。
と、こんなことを友人に話したところ、
奥野信太郎さんから電話がかかつて来た。
「死んではいけませんよ、死んでは。元気を出しなさい」
 私が自殺でもするのかと気づかはれたのだが、
私についてはそんなに心配して頂けたのはうれしかつた。
「私はまるでどことも知れぬ所へゆく為に、
 無限の孤独のなかを横切つてゐる様な気がします。
 私自身が沙漠であり、同時に旅人であり、駱駝なのです」と、
作品を書くことのほかに何も人生から期待してゐないフローベールの手紙は私の心を鞭打つ。
 昔から、逞しい作家や偉い作家なら、ありあまるほどゐるやうだ。
だが、私にとつて、心惹かれる懐かしい作家はだんだん少なくなつて行くやうだ。
私が流転のなかで持ち歩いてゐる「マルテの手記」の余白に、
近頃かう書き込んでおいた。
昭和廿四年秋、私の途は既に決定されてゐるのであるまいか。
荒涼に耐へて、一すぢ懐しいものを滲ますことができれば何も望むところはなささうだ。
(『定本原民喜全集Ⅱ』青土社 1978年)