2023年7月29日土曜日

飲んでも…

今朝も危険な暑さ
歩いている途中で水分補給。
ゴクゴクと飲むのではなく、一旦、口の中に含み口腔内を少し冷やすつもりで飲んでいます。
発病前、山を歩いている時にしていた水分補給の仕方です。
水分補給をしてもすぐに汗になってしまう…

近畿地方 29日も各地で危険な暑さに 熱中症に厳重警戒を」(関西NHK)
バリバラ▽芥川賞作家と考える「愛と憎しみの読書バリアフリー」
冒頭に小沢一敬さんの朗読で

私は紙の本を憎んでいた。
目が見えること、
本が持てること、
ページがめくれること、
読書姿勢が保てること、
書店へ自由に買いに行けること、
――5つの健常性を満たすことを
  要求する読書文化の
  マチズモを憎んでいた。

その特権性に気づかない
「本好き」たちの無智な
傲慢さを憎んでいた。

ハンチバック』(市川沙央 文藝春秋 2023年)
読後感を小沢一敬さんが
すごく面白いんだけど それは面白いっていう単純なことではなくて
何か いろいろなことを考える面白さ。
ずっと口の中頭の中に味が残ってるって感じですね。


読書にバリアを感じる人が多いことを紹介していました。
2019年に「読書バリアフリー法」が施行されているのを知らなかった。

誰もが読書をできる社会を目指して~読書のカタチを選べる「読書バリアフリー法」~(啓発用リーフレット 文部科学省)

出版社の取り組みとして
紙の書籍、電子書籍、オーディオブック、点字版、テキストデータ
が、紹介されていました。
奈良里紗さんの話では、
読み上げが間違ってしまうことがあるんですね。
例えば「ヘンリーカズヨ」は誰かと小沢さんに質問されていたけど、
私も何のことか分らなかった???

視覚障がい者ライフサポート機構“viwa”

一方、私の場合は、電子書籍は苦手です。
注意力が散漫なので本を紹介している「試し読み」でも、途中でどこを読んでいるのか分らなくなることがある。
また、ネットで注文するよりも図書館や書店で本を手に取り内容を確かめて購入したいと思っています。

読書の方法は、これからも様々な方法が開発されて、選択の幅が広がるといいですね。
番組の最後に市川沙央さんが

私は障害者が読者と思われていない状況にドロドロとした怒りを持っていて
それをえいやー!とぶつけたのが「ハンチバック」という小説です。
この小説を通じて多くのかたに
読書バリアフリーの問題を知っていただいて
ちょっとでも現実に社会が動いてよくなったらうれしいです。
もうひとつ私が思うのは
本を読みたいのに読めない
これっておかしいでしょ?ということを
ちゃんと主張したほうがいいと思う
私は私で、これからも障害者を取り巻く理不尽さを
ペンの力で伝えていこうと思っています

バリバラ▽芥川賞作家と考える「愛と憎しみの読書バリアフリー」
7月17日に放送された
理想的本箱 君だけのブックガイド「初めてお葬式に行った時に読む本
3冊目を吉岡里帆さんが読んでくれました。
M・B・ゴフスタインの絵本。
谷川俊太郎さんが訳しています。
復刊された時に収録されたのが

 ブルック・ゴフスタインの最期のことば
 2017年11月~12月、コネティカット州ダンベリーにて。
 地域ホスピスでの訪問者との会話から抜粋。
 翻訳:安永麻里絵

ねえ、
私、良い人生を生きたと思うの。
素晴らしい、人生を。
12月20日は77になるのよ。
死ぬことは構わない。まったく。
別れたくない大切な人たちはいる、
もちろん。
でも――
死は、私の友達。
死と、希望。
希望。
(『おばあちゃんのはこぶね』M・B・ゴフスタイン著 谷川俊太郎訳 現代企画室 2018年)
死後の世界はきっとある。
でも、たとえ存在しなくても
泣きも嘆きもしないと思う、だって
そんな生を楽しんできたから。
死について書き続けて20年経つ。
闘いは好き。良き闘い。
ヤコブと天使のように
「祝福してくださるまでは離しません」って。
狂気と、驚嘆に満ち、栄光に輝いている。
何かをもっと、もっともっと
良くするために、闘うの。
特別な才能を与えられた存在だと
理解すること、ひとりひとり、誰もが。
あなたは何百万もの才を授かっていて、
そこから自由に選べるの。
だから大急ぎでどんどんやらなくちゃ
でないとすべてを使いきれないから。
私はクリエイティブなんかじゃない。
むしろその逆。
真実があって
私はその気配を感じるの。
だから私はその真実を
明らかにしなくちゃいけないの。
私も創られたもので、
私もまた色々なモノを創った。
私たちみんなの存在が、
真実を顕(あらわ)にする。
一本の木が、一枚の葉を出現させる、
それこそが真実。
(ああ、私はなんて素晴らしい時を
生きているのか。)
あなたがなすべき仕事がまだ、
残されている。
ねえ、よく聞いて――
私たちはそんな物語を紡いでいくのよ。
(『おばあちゃんのはこぶね』M・B・ゴフスタイン著 谷川俊太郎訳 現代企画室 2018年)
「はこぶね」に関連してもう一冊絵本を紹介。

 訳者あとがき

 「おっ、雨だ」とでもいいたげな、とぼけた表情で雨空を見上げる二羽のペンギンと、ちょっと不自然にふくらんだスーツケース。
この表紙絵からは、まさかこのペンギンたちが聖書に出てくる有名な物語、「ノアの箱舟」と関係しているとは思いもよらないだろう。
この雨こそ、人間に失望した神さまが、地上の生きものを滅亡させるために引き起こす大洪水のはじまりであり、二羽のペンギンは、それに乗れば助かるという、ノアが造った巨大な箱舟にこれからむかうところなのである。
やたらに大きなスーツケースを持って。
(『箱舟に8時集合!』ウルリヒ・フーブ 作 、イョルク・ミューレ 絵 、木本 栄 訳 岩波書店 2022年)
 しかし、いざ乗ろうとすると、すべてを取り仕切っている世話役の白いハトが、そのスーツケースの持ちこみに待ったをかける。
おまえたち、あやしい。
禁じられたなにかが入っているのではないか?というわけだ。
スーツケースを開けろとせまる白いハトと、大切な荷物(と秘密)を守ろうと、けんめいにきりぬけようとするペンギンたち。
らちがあかないまま箱舟が出航したあとも、スーツケースをめぐってくりひろげられる押し問答は、いつのまにか神の存在を問う、信仰の核心にせまる問答へと飛躍する。
 「証(あか)しなど求めずに、神を信じなくてはならない。(…)そこがかんじんなのだ」
 「『神を信じる』ということは、そこに意味があるのだ」

 このセリフをだれがいっているのかはさておき、「ノアの箱舟」に乗ったペンギンたちの知られざる試練と苦難を描いたドタバタ劇かと思いきや、このようにずっしりと重みのある、哲学的な言葉が語られているところに、はっとさせられる。
難解な理論や思想を唱(とな)えた偉大な哲学者たちの名前が頭のなかをよぎり、ドイツの作家ミヒャエル・エンデの遺稿集(いこうしゅう)で目にした短い一文が、まぶしい輝きをもって記憶によみがえる。
 「神の存在が証明できたら、神は存在しないことになる」(『 Der Niemandsgarten 』より)
 著者ウルリヒ・フーブの、淡々とした語り口ながらコミカルな会話のやりとりといい、画家イョルク・ミューレの、鳥たちのすっとぼけた表情やおなかのふくらみ具合がたまらなく魅力的なイラストといい、一見軽いタッチに見えるにもかかわらず、このストーリーはなかなか侮(あなど)れない、深い内容なのである。
 本書にさらなる深みを与えているのは、ジェンダーの視点がさりげなくとりこまれている点だろう。
とくに、箱舟を下りてからのノアとの語らいや、ハトとペンギンの仲睦(なかむつ)まじいシーンを通して、こう問いかけてくる。
神さまが男だなんて、だれが決めたのだろう?
そんなのはただの思いこみではないだろうか。
ハトとペンギンが、しかも雄同士(たぶん)がカップルになったっていいじゃないか。
本人たちがおたがいを大切に思っているのだから。
ありがちな通念(つうねん)をあえて問い直し、呪縛(じゅばく)から解き放そうとする、そんな著者の意図が伝わってくる。
 ところで、この作品がドイツで出版されたのは実は15年も前の2007年だったのだが、まったく色あせていないのは、やはり「ノアの箱舟」という古典的な題材と、ウルリヒ・フーブがつくりあげた四羽の主役たちの個性的なキャラのおかげだろうか。
もともと舞台俳優として活躍していたフーブが脚本や監督をてがけるようになり、2006年に子どもむけに上演した「 An der Arche um Acht 」(本書の原作となった芝居)が評判を呼んだことがきっかけで、出版社の目にとまったようだ。
かくして、まだ無名だったイョルク・ミューレにイラストの依頼が舞いこんだわけだが、フーブの文章とミューレの挿画(そうが)というコンビによる初めての作品は大当たりしてたちまちベストセラー入りを果たし、数々の賞を受賞した。
10年以上たったいまでも版を重ね続けるロングセラーであり、ミュージカルとしても上演される人気の演目であるばかりでなく、学校の教材にも採用されている。
また本書の人気はドイツだけに留(とど)まらず、すでに27か国に翻訳され、同タイトルの芝居も30か国で上演されているという。
 そして、この物語を日本の読者にも届けられる日がくるとは!
訳者のよろこびもひとしおだが、ペンギンたちとハトもきっといまごろ大はしゃぎして、あのペンギンダンスを踊っているのではないだろうか。
ひとくせもふたくせもある、ひねくれものだが愛すべき鳥たち。
箱舟に乗って、ようやく日本上陸を果たした四羽には、とびきりおいしいチーズケーキをごちそうしたいところだ。
 末筆ながら、翻訳にあたり、東京・ベルリンの遠距離を乗りこえ、なにからなにまでたいへんお世話になった岩波書店の愛宕裕子(あたごひろこ)さんに心から感謝申し上げます。
 2022年秋  木本 栄(ベルリン在住)
(『箱舟に8時集合!』ウルリヒ・フーブ 作 、イョルク・ミューレ 絵 、木本 栄 訳 岩波書店 2022年)

7月31日(月)に新型コロナのワクチンを接種の予定です。
危険な暑さが続くようなので副反応によってはブログの更新を休む日が長くなるかもしれません。