2025年9月14日日曜日

9月も中旬なんだけど

ショウリョウバッタ(精霊飛蝗)も大きくなっていて
もうすぐお彼岸(20日~26日)なのに
まだまだ猛烈な暑さが続いていますし、天気が不安定です。

季節外れの暑さ 15日も続く 局地的に激しい雨のおそれも」(NHK)
ETV特集「POP 大滝詠一 幸せな結末

ETV特集でこんな番組作りは初めてではないかな?
大瀧詠一は生前「自分は 詠み人知らずでいい」と語っていたそうだけど
紹介された曲、よく聞いていたのに大瀧詠一の曲だと知らずに聞いていた。

松本隆さんが
もう少し器用に生きてくれてたらもっと続いたのにと思うよね。
もう本当に頑固でさ。
でも僕は、もうちょっと長生きしてくれたらなんか
晩年、またケンカしながら一緒にお茶でも飲めると思うんだけど。


手塚治虫も水木しげるややなせたかしのように
寝坊するくらい体を休めていたら長生きしていたと思うのだけど…

地震のテロップが入っていたので
9月18日(木) 午前0:00~(17日水曜日)の再放送を録画します(^_-)
松本隆さんの言う「ケンカ」と、SNS上での「罵倒」とは質が違うよね。
現代は、相手をやり込めることが議論だと誤解している。
ケンカ(議論)は、相手を尊重し、真剣に何かを得ようとしてしている。
罵倒は、相手を愚弄し、時間を無駄にするだけで得るものがない。

朝ドラについて参考になる投稿をされている
ひぞっこneoさんが9月11日
僕は反省会タグは一生使いません。
と投稿されていた。
ドラマを楽しむよりもけなすことを楽しみとしている投稿はパスしています。
老い先短いので楽しくなる、心の糧になる言葉に出会いたいです。

梅原猛さんの伊藤若冲について語っているのを転記したいと思います。
図版を紹介できませんので転記する本か若冲の画集を参照してください。
 第5章 森の思想
 伊藤若冲の世界


 さて、前に名前を挙げましたが、もう一人、(宮沢)賢治と同じような思想を絵画によって表現した画家がいます。
伊藤若冲です。
若冲は、江戸時代の人です。
京都の青物問屋の息子で、若くして父が亡くなり、跡を継ぎました。
しかし、商売は自分に似合わないと言って弟に跡を継がせて隠居し、自分は絵描きになります。
(『人類哲学序説』梅原猛 岩波新書 2013年)
 若冲は、円山応挙と同時代の人間です。
応挙というのは素晴らしい、写実的な花鳥画を描く高名な画家でした。
それに対し、若冲は、「奇想の画家」として30年ほど前までは、一部の人にしか評価されず、忘れられた画家だったのです。
 アメリカの実業家ジョー・プライスは、江戸美術の世界的なコレクターとして知られていますが、彼はこの若冲の絵をたくさん購入し、世界に紹介しました。
また、美術史家の辻惟雄―私の友人であります―が、プライスと協力して若冲の再評価に尽力したのです。
そしていまや若冲は、北斎に代わって日本を代表する素晴らしい絵描きだと評価され、海外においても大変有名になりました。
 若冲は、京都・相国寺の大典和尚と大変親しく、その大典和尚のために相国寺に画を寄贈しました。
それが「動植綵絵(どうしょくさいえ)」です。
まことに素晴らしい絵です。
この絵は、明治22(1889)年、相国寺が経済的に困って、皇室がお買い上げになり、いまは宮内庁三の丸尚蔵館所蔵です。
 この「動植綵絵」は、相国寺にある「釈迦三尊図」の左右を飾る絵として描かれものです。
釈迦三尊というのは、真ん中が釈迦如来で、向かって右側が文殊菩薩、左側が普賢菩薩で、これは東福寺のものをほぼそのまま模写したものだと言われていますが、東福寺の絵よりはるかに華麗な出来栄えです。
その絵の左右を飾るのが「動植綵絵」ですが、これが三〇幅もあります。
動植綵絵が三〇幅あって、それらが釈迦、文殊、普賢の三幅の絵を中央にして左右を飾るものです。
三三だから観音菩薩の信仰を表す。
観音菩薩というのは、三三ものいろいろな姿に変わって人を救う仏です。
そう考えると「動植綵絵」の動植物はすなわち観音だということになります。
それら動植物が仏教の慈悲の心を表して、人を救っている。
つまり、植物も動物も、そのようにして人を救うのだと、そういう思想が若冲にあったと思います。
この三三体の絵は相国寺の最も重要な仏事である観音懺法(かんのんせんぽう)に使われたものです。
ちょうど賢治が日蓮の仏教の世界を童話で表現したように、若冲は禅の世界を絵画で表現しようとしたのです。
 最初のものが「老松孔雀図(ろうしょうくじゃくず)」。
松、孔雀、そして牡丹が描かれた華麗な図です。
孔雀は、善鳥として尊ばれますが、それが毒蛇を食べるというので、大変意志的なものを感じます。
そして、松。
松は、いつまでも枯れないので、永遠を表します。
その松に孔雀がとまっている。
そして、きれいな牡丹が爛漫と咲いている。
植物の王者、花の王者、それに鳥の王者を描いた、非常に絢爛たる絵です。
 「老松孔雀図」は「釈迦三尊図」の右側にあったものですが、左側は「老松白鳳(ろうしょうはくほう)図」になります。
彼はよく鳳凰を描いています。
これもその一つです。
この図についてではありませんが、ある図のなかで鳳凰について、若冲は次のように説明をしています。
   花鳥草虫各霊有り。

 花や、鳥や、草や、虫には霊がある。
これはそのまま「草木国土悉皆成仏(そうもくこくどしっかいじょうぶつ)」の思想につながります。

   真を認め方に初めて丹青を賦す。

 その真実の世界をつかまえて、初めてそれを絵に描く。

   九苞(くほう)の彩が羽観るに応ぜず、意を得てなんぞ形に画くを妨げんや。

 九色の美しい羽―鳳凰の美しい羽―は、見ることができない。
しかし、その気持ちをつかんで、これを形に描くのに何の差し支えがあろう。
 鳳凰とは、空想上の鳥で、鳥の王者と言うべきものだと思いますが、若冲の描く鳳凰は、実に華麗です。
この絵は、「白凰」なので羽も白ですが、その白も複雑な白色です。
山鳩が右手の上方にいて、太陽がその上に顔を出している。
 若冲は、鳥の絵をたくさん描いていているのですが、これらはすべて現実の鳥とは異なります。
鳳凰はもちろん実在の鳥ではないのですが、孔雀にしても鶏にしても、どこか現実の鳥とは思われないところがあります。
霊の国の鳥とでも言うのでしょうか、何か別の国、霊の国のもののように思います。
「草木国土悉皆成仏」という霊の国。
鳥や、動物や、植物を仏性を持っているものとして描いているように思えます。
写実的ではあるのですが、しかしやはり写生というものではない。
確かに抽象ではなく具象ではあるのです。
しかし、具象ではあるけれども、その具象は、むしろ霊の世界の動物、植物の具象画であるようにしか見えません。

 …つづく…

(『人類哲学序説』梅原猛 岩波新書 2013年)
今朝の父の一枚です(^^)/
カワウを撮していました。

 「世界最大の川は空にある?」つづき 

 それにしても地球全体に一様に広がる大気の中に、水蒸気の細長い流れの構造ができるのは不思議です。
大気の河は日本ではあまり知られていませんでしたが、欧米では冬季の大気の河について研究が活発に行われてきました。
冬季になると太平洋東部や大西洋では低気圧に伴う寒冷前線ができ、それに沿って大気の河が形成されます。
中緯度では偏西風が吹いていますので、大気の河は大洋の風下側の沿岸部に上陸し、そこで豪雨をもたらし災害が発生します。
 近年、日本付近でも梅雨前線に沿って大気の河が形成されることが分かってきました。
梅雨前線に沿って西から湿った空気が日本付近に延びてくることは以前から知られていて、その形から湿舌(しつぜつ)とよばれていました。
しかしこれは大気の河とは異なるもので、積乱雲の群れが活発に発生した結果として形成されるものです。
これに対して大気の河は積乱雲の群れが発生する原因となるものです。
たとえば2020年7月、熊本県の球磨川(くまがわ)の氾濫をもたらした線状降水帯は、西から流れ込んだ大気の河の中に形成されました。

 …つづく…

(『天気のからくり』坪木和久 新潮選書 2025年)